リア充、ネト充、キョロ充、ソロ充――「●●充」用語の違い
リア充、ネト充、キョロ充、ソロ充……●●充という言葉がたくさんあって紛らわしいので、違いをわかりやすくまとめてみました。
すべての原点『リア充』
●●充という言葉の原点は リア充 です。リアル充実組 の略だとされています。
リア充は 2005 年頃に生まれたネットスラング(ネット用語)で、恋人がいて友達もいるような羨ましい奴 を指す言葉です。
リア充とは嫉妬の言葉
人は無いものに嫉妬します。容姿が優れている、スタイルが良い、頭が偉い、運動神経がすごい……など。中には専用の言葉が割り当てられているものもあります。「イケメン」「金持ち」「天才」などですね。
リア充もこういった言葉と同じです。
リア充という言葉が生まれた時代背景
リア充の誕生について理解するには、当時の状況について押さえておくと良いでしょう。
当時はパソコンを使っていればオタクやマニアと言われるような時代でした。 SNS もスマホもありませんでした。
そんな時代ゆえに、学生らは「充実した人生≒恋人がいて友達も多い」という見方しかできず、また他の生き方も知られてなかったんですね。そういうわけで、恋人や友達が手に入らない人達は、「恋人がいて友達も多い奴ら」に嫉妬することになります。
問題は、そのような嫉妬をする人達が「どこで発散するか」です。話せる友達もいないし、家族に愚痴るわけにもいきません。
幸いにも当時は 2ちゃんねる という Web サイト(掲示板とかBBSと呼びます)がありました。2ちゃんねるは、スレ(スレッド。部屋)に誰でも匿名でメッセージを書き込める場所で、リア充の対極に位置する人たちの溜まり場になっていました。
2ちゃんねるには「大学生活版」という大学ネタを扱う場所があって、そこで「リア充が~~」などと雑談されていたわけです。
リア充に対抗して生まれた概念
リア充という言葉に対抗してつくられたのが、リア充以外の「●●充」 です。
つまり「リア充じゃないけど●●で充実してるからいいんだよ!」という、ある種の自虐や開き直りです。
では、●●について見ていきましょう。
オタ充
「俺はオタク趣味で充実してるからいいんだよ。オタク充実、オタ充だ!」
オタクという言葉の意味については割愛しますが、何らかの対象に傾注している人を指します。アニメ、マンガ、ゲーム、小説などのフィクション(特に特定のキャラクター)を愛しているとか、鉄オタ(鉄道)やミリオタ(ミリタリー = 軍事)なんかもありますね。
エア充
「俺には●●ちゃん(二次元のキャラクター)がいるからいいもん!エア友達、エア恋人、エア充だ!」
これはオタ充の下位概念ですが、エア充があります。エアとはエアギターとかエアですが、エア充においてはギターではなく友達や恋人が対象です。
平たくいえば 脳内友達、脳内彼女 です。
ネト充
「別に現実で恋人や友達がいなくても、ネットでいるからいいもん。ネットで充実、ネト充!」
これは(リア充が登場した時代と比べると)比較的新しい概念です。
2005 年以来、情報技術が発達してくると、オンラインゲームという「世界中の人とリアルタイムに繋がって遊ぶゲーム」が登場しました。ここでは 自分の素性を隠し、架空の名前や性格を演じながらも チャットという形で他の人と会話もでき、交流を深めることができました。中には結婚という概念もあり、ゲーム中で挙式をあげるという事例もありました。
これはもはやリア充みたいなものです。ただ居場所が現実かネットかが違うだけ。ネットだけでも満たされている。むしろネットでこそ満たされる……それがネト充です。
※ちなみにネットで親しくなった後、現実で顔合わせするケースもあります。そのような場は「オフ会」と呼ばれました。
ソロ充
「アイツ、いつもぼっちだけど、なんか楽しそうだよなぁ。ソロ(ひとり)で充実している。ソロ充だ」
これも(リア充が登場した時代と比べると)新しい概念です。
リア充という概念が定着しだす一方、人々はある現象に気付きます。いつもぼっちなのに、なんか楽しそうで充実してる奴 の存在です。
長らく、そのような人を指す言葉はありませんでしたが、次第にソロ充という言葉が使われ始めます。(下記参考サイトによると「しょこたん」こと中川翔子さんによって広まったらしいですが)
この言葉の意味は明確には定まってない(リア充のように特定のコミュニティから生まれて育まれたものではない)のですが、ともあれ、ソロ充という「ソロでも充実できる」という概念が観測できる程度には、世の中は多様になってきたと言えます。
リア充の下位概念
リア充っぽいけどリア充になりきれていない……そんな人も観測され始めます。
それがキョロ充です。
キョロ充
キョロ充とは リア充もどき の一種です。
この言葉を初めて見ると
「キョロが充実している?キョロって何?」
と考えがちですが、~~が充実、という観点からは離れてください。キョロ充とは 人目を気にしてキョロキョロしている 様を指した言葉です。
リア充の中には、無理してリア充になろうとしている人がいます。彼らは一見するとリア充グループにいるのでリア充に見えますが、スペックも要領も本物のリア充には劣っており、ついていくのが大変なため、ちゃんと自分がリア充できてるかが常に心配で、それにゆえに人目を気にしてキョロキョロします。
また、キョロ充は常に誰かと一緒に行動しないと気が済まないなど、小心者の性格をしているため、一緒に行動できそうな奴を探してキョロキョロしている のも特徴です。
●●充という名前付けに乗っかった新用語
一方、●●充という言葉に乗っかって新語をつくった人もいます。
プア充
プア充とは 残業三昧とか昇進とかせずに年収 300 万くらいでまったり生きていこうよ、を提唱した言葉 です。発祥は島田さんという人が書いた本です。プア充について詳しくは以下をどうぞ。
- 「プア充 ―高収入は、要らない―」を読んで。内容まとめとソロ充を目指す僕が思ったこと - ストレスフリーなソロ充ライフ
- 彼女いない歴=年齢の平社員おじさんが語るプア充の誤解とサンプル - ストレスフリーなソロ充ライフ
プアというと貧困層を連想しますが、そんなことはなく、あくまで「めちゃくちゃ働いたり昇進目指したりする生活(によって稼げる年収 400 万以上)」と比べてプア、という意味です。
その他の●●充
その他にも●●充という言葉は多数存在しますが、上記以外は ●●界隈のみで、かろうじて通じる程度の用語 だと考えれば良いでしょう。
以下に一例を挙げます。
- マビ充 …… オンライン RPG のマビノギ
- スカ充 …… Skype(スカイプ)
- スラ充 …… ダンスラ(DANCERUSH STARDOM)
- ...
他にもたくさんあるでしょうが、●●に携わっている人にしか通じない、ローカルな用語であることには変わりません。
しかし共通するニュアンスはあります。 「別にリア充じゃないけど、●●で充実してるからいいもん!」 です。
おわりに
●●充について解説してみました。
4行でまとめます。
- すべてのルーツは「リア充」にある
- リア充 = 恋人がいて友達もたくさんいるような奴ら
- 2005 年頃に生まれた概念(現在 2019 年から見返すと古い)
- これ以外の「●●充」は「別にリア充じゃないけど●●で充実してるからいいもん」という自虐、開き直り
- ただしキョロ充やプア充など例外もある
「●●充」について、なんとなくわかっていただけたら幸いです。