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「プア充 ―高収入は、要らない―」を読んで。内容まとめとソロ充を目指す僕が思ったこと

プア充本を読んだので、内容まとめと思ったことを書きます。

本について

プア充 ―高収入は、要らない―

プア充 ―高収入は、要らない―

プア充 ―高収入は、要らない―

プア充とは何か

まとめると年収 300 万円台で、リア充(パートナー)で、都会暮らしで、自炊派で、賃貸派だということです。

プア充は年収300万円である

プアという言葉からワーキングプアを連想しますが、そうではありません。サブタイトルに「高収入は要らない」とあるように、必要以上にリッチを目指さない だけであって、月収で言えば 25 万です。

プア充はリア充である

プア充に欠かせない要素として「対人関係」が挙げられます。具体的には愛するパートナー(妻や夫)や友人、その他多数の人間と助け合いながら生きることが欠かせないとされています。

プア充は都会暮らしである

田舎だと車が必須になりますが、車はお金がかかります。都会であれば電車がありますし、利便性も高いので車は要りません。その分、お金は浮きます。年収300万円で暮らすなら、車は諦めましょう。

たまに車が必要な時は、カーシェアやレンタカーに頼れば済みます。

プア充は自炊派である

外食はお金がかかります。外食ばかりしていては、年収300万円では暮らしていけません。自炊は必須です。

プア充は持ち家を持たない

持ち家を持ってしまうと、勤務地と会社に縛られてしまうため、転職という逃げ道が塞がれてしまいます。

プア充は年収300万円と健全な心身状態(規則正しい生活とストレスを溜めないこと)の維持が重要ですが、会社がブラックだったりするとそもそも維持できないので、逃げるしかありません。持ち家だと逃げづらいですが、賃貸だと引っ越せます。

なぜプア充を目指すのか

なぜプア充を目指すのでしょうか。それは高収入を目指すことが幸せにつながらないからです。

  • 高収入≒労働時間が多い
  • 働きすぎると心身的に不健康になりやすい
  • 働きすぎるとお金を使う時間もなければ、ゆとりを持って過ごす時間もない
  • 幸せは物質的・金銭的豊かさよりも精神的豊かさによるところが大きいが、働いているだけではこれは得られない
  • お金への執着はきりがないので、求めれば求まるほど抜け出せなくなる

そこまでして高収入を求める(高収入を手に入れるために粉骨砕身になって働く)意味がありますか?だったら最初から手を抜いて、最低限ゆとりのある暮らしができる年収300万円くらいでのんびり生きた方が賢くないですか?

ということです。

プア充について僕が思ったこと

批判多めです。

(Bad) リア充が必須要件なのは厳しくないですか

正直卑怯だなとは思いました。それができれば苦労はしない。

僕は大手ソフトウェア会社に就職し、学生時代は学業で首席を取ったり、ソフトウェア開発で本やウェブに載ったこともありましたが、それでも彼女をつくることはできませんでした。友人はともかく、パートナーを得ることは間違いなく人生における最難関ではないか?少なくとも僕には無理ゲーに感じました。

もしパートナーを得ることができる要領があるなら、正直頑張れば何でもできると思います。実際、僕の会社でも、パートナーを持つ方のポテンシャルは凄まじいです。長時間残業や不便な境遇にも平然と耐えますし、それで結果も出します。彼らが本気を出せば、エンジニアの僕など簡単に追い抜かされるでしょう。地頭といいますか、地力といいますか、根本的な違いを痛感します。

もし本書が、このようなポテンシャルの化物を前提としているのだとしたら、それは「年収500万円なんて楽勝だよ」「大企業に入社するなんて簡単だよ」というレベルの暴論だと僕は思います。

(Bad) いまいちリアリティに欠ける

本書はフィクションという形で進行していきます。年収450万円の主人公が、プア充の良さに気づいて、最終的に年収300万円の生活にシフトしていくという話なのですが、いかんせんフィクションなのでいまいちリアリティに欠ける印象がします。

個人的には「既にプア充をバリバリ実践している著者が、具体的なテクニックも含めてふんだんに解説する」ことを期待していたのですが、そうではありませんでしたね。著者が自らの経験で書いているのか、それとも想像によるところが大きいのか、いまいち判別しかねるところです。

(Bad) 具体的なテクニックがない

たとえば自炊時のオススメ食材や料理、年収300万が手に入る業種や会社や仕事あるいはその探し方、対人関係を豊かにするためのはじめの一歩など、具体的なテクニックがほとんどないので、「じゃあプア充を目指すとして何をすればいいの?」がさっぱりわかりません。

リアリティに欠けることもあり、よほど想像力が豊かか、あるいは柔軟な視点を持つ人でなければ「こんなの無理でしょ」で一蹴されかねないと思います。

(Bad) 趣味の話がない

これは持論ですが、人生を豊かにできるかどうかは趣味にかかっている と思っています。なので僕は「プア充ではどんな趣味をたしなむんだろう」と楽しみにしていました。

が、趣味についてはまさかのノータッチ。

趣味は要らないということでしょうか。だとしたら退屈すぎてとても幸福にはなれません。あるいは単に取り上げてないだけかもしれませんが、個人的には知りたい要素でしたので残念。

(Good) 取捨選択の発想は参考になる

年収を高望みしない、都会で暮らす、持ち家を持たない、規則正しさとストレスフリーには妥協しない――と、本書では多数の取捨選択をしています。

現代は慌ただしい上に不確かなので、よほど要領が良い者でなければすべてを手に入れることはできません。リソースは限られています。何かを求めるために、何かを切り捨てる必要があります。僕もそうでした。だから僕は人付き合いを捨ててソロ充を目指しましたし、昇進と高収入も捨ててストレスフリーを目指しましたし、車にも酒にもタバコにも手を出しません。

取捨選択は人生において重要な考え方だと思います。何もかも欲張って、過剰な努力と負担に晒され続けていると、いずれ死にます。耐えられるのなら問題ありませんが、中には耐えられない人もいます。壊れてからでは遅いです。自分について見つめ直し、取捨選択すること。本当に大切だと思います。本書を読んで、再認識できました。

おわりに

プア充という考え方について知れたのと、取捨選択という行動の重要性を再認識できたことは良かったです。

しかし、著者の経験ベースでの語りや具体的なテクニック紹介といったコンテンツがないのはマイナスです。今すぐ解決したい、という実用性は期待しない方が良いでしょう。

実用性うんぬんはさておき、「こんな考え方もあるんだ」という読み物としては面白いので、興味で読んでみるのはアリかなとは思います。