「単にタスクを並べたリスト」からタスク管理に至るまでの旅
「タスク管理とはなにか」を知るための旅と称して、「ただタスクを書き並べただけのリスト」から何をどうすれば効果的なタスク管理になっていくのか、ということを段階を追って説明してみたいと思います。
スタート地点:単にタスクを並べただけのリスト
タスク管理とは所詮は「タスクを並べてリストにする」というルールで日々のタスクを管理する、というゲームです。しかし、ただテキトーに並べた TODO リストがすぐに破綻するように、このルールはとても難しいものです。
現実的に賢く運用するためには、様々なルールや仕組みを課す必要があります。
ではどんなルールや仕組みを課せば良いのでしょうか。
以下では、「想定される主な問題」と「それを解決するためのルール」という形で、一つずつ紹介していきます。
問題1. 今日やるタスクと明日やればいいタスクが混在している
問題
タスクリスト内のタスク数が多すぎる。
たとえばタスクリストに 200 個のタスクが並んでいたら、見る気も失せます。「今日やるべきタスクはどれか」を判断するのも困難です。
どうするか
Ans: タスクを 「今日やるもの」と「それ以外(明日以降にやるもの)」に分けます。
そうすると 200 個並んだ項目も、今日やるものは 20 個、それ以外は 180 個、というふうに分かれます。20 個であれば出来そうな気がしてきますよね。
用語で言うと
「今日やるもの」のタスクリストを デイリータスクリスト と呼びます。
デイリータスクリストには クローズドリスト(閉じたリスト) という性質があります。これは、一度中身を確定させたら、 以降はもう中身を変更しないということです。こうすれば慌ただしくリストの中身が変わるのを防げます。「今日はこれだけ終われば全部終わり」といったゴールがハッキリとわかります。
※いや、わかるというよりは、決める と言った方がいいかもしれません。タスク管理とは現実的な妥協を判断するということでもある(そのための判断材料をタスクという形で可視化する)ものですから。
以下は関連記事です。
ilovetaskmanagement.hatenablog.com
問題2. タスクの粒度がバラバラ
問題
リストに書いたタスク項目を読んでもピンと来たり来なかったりする(せいでいまいちスムーズに読めない・整理できない)
たとえば「電子書籍を執筆する」というタスクが書いてあっても、これでは粒度が粗すぎてどうすればいいかがさっぱりわかりません。逆に「電子書籍 ~~(仮)のはじめに、をとりあえず15分で書きなぐってみる」は、やることがハッキリしていて、粒度も細かい、良いタスクです。
理想は粒度の細かいタスクがずらりと並んでいて、どこを見ても何をすればいいかがすぐわかることですが、この粒度がバラバラだと混乱します。
どうするか
Ans: 混乱を防ぐためには 粒度を合わせる しかありません。粒度が粗いと何すればいいかがわかりませんので、小さい方に合わせます。
そのためには 粒度の粗いタスクを "あらかじめ" 粒度の細かなサブタスクに分解 しておいて、そのサブタスクをタスク管理する(つまりはタスクリストに書いておく)ようにします。
用語で言うと
このような作業は タスクの分解 や タスクの細分化 などと呼ばれます。
タスク管理ツール(タスクリストを効率的に扱うためのツール) によっては、タスクを階層関係で表現できるようになっており、階層関係をもって粒度を表現することができます。親子関係、サブタスク、プロジェクト といった言葉が使われることが多いです。
以下は階層関係の例です。
- 電子書籍を執筆する(ゴール)
- はじめにを書く(粒度が粗いタスク)
- とりあえず15分で書きなぐってみる(粒度が細かいタスク)
- ...
- はじめにを書く(粒度が粗いタスク)
タスクの分解作業ですが、タスク管理ツールとは別の手段で行うことも多いです。たとえば アウトライナー という、箇条書きと階層関係で文章をつくるツール(あるいは方法論)があります。また、階層関係によらずに発想重視であれこれ洗い出したい場合は マインドマップ や ブレインストーミング などの手法を使うケースもあります。
以下は関連記事です。
stressfree-fulfilling-solo.hatenablog.com
問題3. 繰り返されるタスクが多く管理が面倒
問題
高頻度で何度も繰り返すタスクがあるが、いちいちタスク管理するのがだるい。
仕事や日常生活の大半はルーチンワークから成ります。毎日やるもの、2日に1回くらいやるもの、一週間に一度やるもの etc――様々ですが、何十個と抱えていてもおかしくはありません。これらをすべてタスク管理するのは、とても大変なように思いますし、実際、記入するのも大変です。
たとえば毎日やるタスクが5個あった場合、デイリータスクリストには毎日それら5個分をタスクを記入することになります。また、n日に1回やるタスクについては、「今日はちょうどn日目に該当するから、デイリータスクとして記入しよう」「今日はn日目じゃないから記入しなくていい」といった判断も必要です。非常に面倒くさいですね。
どうするか
Ans: 頑張って管理するしかありません。
むしろ 管理して当たり前 です。タスク管理の主な恩恵は、この「何度も繰り返すタスク」を漏れなくかつ効率的に消化できるところにあります。
ただし、手作業で毎回書くのはだるいですから、そこはツールの力や運用方法を工夫して軽減する必要があります。
デジタルなツールだと「定期的に繰り返すタスク」のような機能がありますから、それで一発です。たとえば「頻度 = 毎日」にしておくと、自動的に翌日のデイリータスクリストにも登録されます。
アナログな手段(たとえば手帳や紙にタスクを書くなど)の場合だと、チェックリストを使うことになるでしょう。たとえば毎日やるタスクが5個あったとしたら、それら5個を書き並べたチェックリストAをつくり、デイリータスクリストには「Aに書かれている作業を全部消化する」と書きます。これなら登録数は1個で済みます。また、自分さえわかればいいので、「チェックリストA」とだけ書いておいても良いでしょう。
用語で説明すると
繰り返し実行するタスクは ルーチンタスク と呼びます。ルーチンタスクについては以下を参照してください。
ilovetaskmanagement.hatenablog.com
ilovetaskmanagement.hatenablog.com
タスク管理ツールでは 繰り返し や 定期 や Repeat といった言葉が使われます。一件のタスクそれぞれが「繰り返しタスクかどうか」「頻度(何日単位で繰り返すか」といった属性を持っています。
問題4. タスクを書くのがだるい
問題
そもそもタスクを書く(きちんと文章化する作業と、タスク管理ツールに記入する作業)のがしんどい。
どうするか
Ans: 慣れるしかありません。
そもそもタスク管理とは、「頭の中でふわっとしている事物」をハッキリさせるための手段です。ちゃんと言葉で表現し、さらに実行日・実行順序・階層関係・その他属性を適宜付与することで、システマチックに取り扱えるようにします。
システムです。仕組みです。形式化です。ゆえに、タスクを書くことから逃れることはできません。手を動かして、慣れるしかないのです。
必要な力として以下があるでしょう。
- タスクを捉える力
- ゴールを定める力
- 全体像を捉える力
- タスクを分解する力
- 何を、どの順番で実行すればよいかを洗い出す力
- 何をすればいいかが明確だという粒度で作業内容を表現する力
- タスクを記入する力
- 筆記スピード(手帳などアナログ手段の場合)
- タイピングスピード
- 文字入力の効率化スキル
- タスク管理ツールの習熟度
用語でいうと
特にありません。
問題5. 探しづらい
問題
タスクリストに並んでいる多数のタスクを毎回読む&今必要なタスクを抽出するのがしんどい
タスクリストによる生活が馴染んでくると何十何百、時には何千というタスクが並びます。一方で、「今は 10 分だけ暇が出来たから10分でできるタスクだけ知りたい」「今は集中力が最高だから他のタスクも終わらせておきたい、何をしよう……?」といった 特定のタスクだけを抽出したい ケースも多々あります。こんな時、ずらりと並んだタスクリストを全部見返すのは非現実的です。
どうするか
Ans: タスクにあらかじめ分類項目を付与 しておき、抽出時に ~~の分類項目が付いたタスクだけを表示 します。
たとえばすべてのタスクに「おおよその所要時間」を書いていたとしたら、その値を検索に引っ掛けて抽出することができます。
しかしながら、これは思っているほど簡単ではありません。
- タスク登録時に、分類項目も付けておく必要がある
- そもそもタスクリストに「分類項目の付与」と「指定した分類項目の付いたタスクのみ抽出する」機能が必要
- ≒タスク管理ツールを使うことになるでしょう
- そもそも「自分にとって必要な分類項目」の設計が必要
試行錯誤しても良いですが、幸いなことに先人の試行錯誤結果がすでに存在します。まずは先人の分類項目を参考にして取り入れ、それから自分流にアレンジしておくのが良いでしょう。
用語でいうと
まず広義で言えば 属性 です。
ilovetaskmanagement.hatenablog.com
タスクには様々な属性がありますが、これらの大半は結局のところ、あとで関連のあるもののみを抽出するために存在するのです。つまり属性≒分類項目なのです。
たとえば「実行日」も分類項目です。各タスクに実行日がついていることで、「12/25 にやるタスクのみ抽出する」といったことが簡単に行えます。そもそも問題1で取り上げたデイリータスクリストは、「実行日=今日のタスクのみ抽出」したリストです。
続いて、狭義で言うと コンテキスト です。
ilovetaskmanagement.hatenablog.com
コンテキストとは属性の一つで、タスクを実行する際の制約を表す言葉です。環境、手段、体調、好き嫌いなど多様なコンテキストがあります。コンテキストを上手く設定しておくと、「スマホだけで行えるタスク」「体調が不調でも行えるタスク」を抽出する、といったことができます。
ちなみにコンテキストの実体は タグ です。もっというとただの文字列データです。ただ、「任意の文字列を書いておいたら、後で検索して取り出せるよ」と言われても、用途が広すぎてどうしていいかわからないので、コンテキストという 「そのタスクを実行する際の制約」を書いておくといいよ というルールを課すのです。このルールは比較的わかりやすいですよね。
問題6. 「特定のタイミングでやるべき」タスクをやり漏らす
問題
「12/25 はパーティーに参加」や「15:00 から会議」といった "特定のタイミングでやるべきタスク" を忘れてしまう(あるいは忘れていたせいで準備が慌ただしくなる)。
自分が抱えるタスクを知るタイミングは「リストを見る時」だけです。これは言い換えれば、リストを見ていない時が長く続いてしまうと、その間に「特定のタイミングでやるべきタスク」を読み逃してしまうリスクがあるとも言えます。
どうするか
Ans: アプローチは二つあります。
一つ目はカレンダーです。いつ、何があるのかをカレンダーに記入しておき、これをこまめに確認するようにします。
二つ目はアラームをセットすることです。15:00 に会議があるなら、15:00 前にアラームが鳴るように設定しておけば たとえ別のタスクに集中していたとしても(だいたいは)気付けます。無理やり気付かせる、ともいえるでしょう。
用語でいうと
一つ目の カレンダー についてはあらためて語りはしません。問題は「カレンダーを見るのを忘れる」ことでしょうが、これは「カレンダーを確認する」という ルーチンタスク をリストに入れておけば解決できます。私は一日、朝と夜に二回ほどこのルーチンタスクを入れています。一日二回ほど見れば、(私の場合は)忘れません。
二つ目については リマインダー と呼ばれています。
以下は関連記事です。
ilovetaskmanagement.hatenablog.com
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問題7. すぐに脱線してしまう
問題
リストに書いていないことに何分、何十分とつい費やしてしまう(脱線してしまう)。
たとえば「Twitter にログインして通知を確認する」というタスクを入れていた場合、そのままタイムラインを読み進めてしまうと平気で何分、何十分と過ぎてしまいます。純粋に通知を確認して、返信するだけなら数分で終わるのに、です。
どうするか
Ans: 二つあります。
一つ目は タスクの記述を具体的にすること です。以下に例を示します。
上記の良い例では「通知を確認する」と具体的に記述されているため、通知を確認する以外の作業に脱線しづらくなります。もっと脱線を防ぎたいならば、
- Twitter にログインして通知を確認する(タイムラインは見るな!)
のように明示的に警告を書いておくと良いでしょう。
二つ目は 脱線に繋がる手段を仕組みとして絶つ ことです。今回の例で言えば、通知確認時にタイムラインを見てしまうのが問題なので、以下のようにします。
- (1) 通知一覧のページをブックマークする
- (2) タスクとしては「通知一覧ブックマークから Twitter にログインして通知を確認する」と記述する
こうすることで、ダイレクトに通知一覧を開けるのでタイムラインが目に入りません。
※ここではTwitter にログインして通知を確認する = Twitter にログイン → トップ画面から通知ページを開く、という手順を想定しています。このトップ画面にタイムラインが表示され、目に入ってしまうから、そもそもこのやり方をやめようという話です。
用語でいうと
特にありません。
問題8. 割り込みが多い
問題
リストに書いてないタスクが降ってきて予定どおりに行動できない、または せっかく集中しているのに止められてしまう。
たとえば上司の「ちょっといいかい?」や、後輩「ちょっといいですか?」、あるいは電話応対だったり、私生活ならばインターホンなどもあるでしょう。
こういった割り込みには二つの弊害があります。
- (1) せっかく集中していたのが台無しになる
- (2) (特に割り込み内容が時間を要する場合に)以後の予定全体が狂う
どうするか
Ans: あとで対応するようにします。
割り込み内容はなるべく効率的にリストに書いておき、あとで対応できるようにします。十数秒以内に終えるのが望ましいです。そのためには リストにタスクを素早く記述する要領 が必要です。これはタイピングスピードからタスク管理ツールへの習熟まで必要なので、意外と難しいことです。
ちなみに「あとで対応する、ができない割り込み」が多い場合、これはそもそも別問題です。タスク管理以前の問題です。そのような割り込みが起きないよう調整してください。調整ができないなら諦めるか、そのような職場からは逃げましょう。
用語でいうと
割り込みには 受動的な割り込み と 能動的な割り込み があります。
メールやチャットなど自分主体で確認できるものが受動的な割り込みです。これはあとで対処しやすいです。単にメールやチャットのチェックタイミングを ルーチンタスク として「1 日 n 回、特定のタイミングで行う」ようにしておくだけです。
以下は関連記事です。
ilovetaskmanagement.hatenablog.com
問題9. 「今日やるタスク」もまだまだ多い
問題
「今日やるタスク」の物量もまだまだ多く、次のタスクを選ぶ判断に時間と精神を要してしまってしんどい。
問題 1 ではタスクを「今日やる」と「明日以降」とに分け、「今日やる」のみ扱うことで今扱うべきタスクの物量を減らすことができました。しかしながら「今日やる」自体の物量も依然として多いことがあります。
たとえば「今日やる」のリストにタスクが 50 個あった場合、次のタスクを選択する時には最悪 50 個のタスクを眺める必要があります。一つ潰しても最悪 49 個、また一つ潰しても最悪 48 個……と、これは極端ですが、何十個ものタスクをいちいち相手にするのは骨が折れることです。
どうするか
Ans: 各タスクについて 「いつやるか」を定め、リストに順番として反映させましょう。
タスク(特にルーチンタスク)はおおよそ「いつ頃やるか」が決まっています。朝やるもの、昼前にやるもの、帰る前にやるもの etc―― タスク毎の、この「いつ頃やるか」を把握できれば、それらタスクをそのタイミングに実行するようリストに反映させることで、「次何やろうか」という判断の余地を減らせます。
もっというと リストに実行順序を持たせる ということであり、さらに言えば 上から順に実行できるようにする という理想を目指す、ということです。
用語で言うと
まず「いつ頃やるか」という性質は セクション と呼ばれます。
ilovetaskmanagement.hatenablog.com
セクションはタスク管理ツールがサポートしていることもありますので、サポートされていたら積極的に使ってみてください。
それから、上から順に実行するという仕組みは 直列タスクリスト と呼ばれます。発祥は TaskChute です。TaskChute のコンセプトについて以下あたりが参考になります。
TaskChute に関する記事を調べたり、TaskChute を実際に試したりすることで、この「セクション」と「直列タスクリスト」の感覚を養うことができます。
問題10. このままでいいんだろうか、と違和感がある
問題
「(一応、日々のタスクはタスクリストで漏れなく消化できているが)このままでいいんだろうか」。
タスクリストを日々適切に運用すると、次に遭遇するのが「なんかタスクリストに振り回されている気がする」「やり忘れは防げているが、毎日タスクが多すぎてどことなく慌ただしい」「このままでいいんだろうか」といった 違和感 です。
どうするか
Ans: 振り返りましょう。
違和感の原因は 自分の目標や理想との乖離 です。しかしながら、これの対処は簡単ではありません。以下の二つの壁に阻まれます。
- (1) そもそも目標や理想が何なのかが明確になっていない
- (2) (1) が明確だとしても、自分のいつ頃の何の行動が問題なのかが明確になっていない
これを対処するためは「目標や理想の明確化」と「定期的な進捗確認や反省」が必要です。具体的な手法は割愛しますが、タスク管理を使えば、これら作業を 定期的に行えるようコントロール できます。要するにタスクリストに「目標や理想を具体的にする」「進捗を確認する」といったタスクを追加すればいいのです。追加しておけば、リストを眺めた時に目に入り、対処できます。
用語でいうと
定期的な振り返りや整理を レビュー と呼びます。
レビューの例:
- 目標や理想を洗い出し、また修正するレビュー(月一、年一など低頻度)
- 日々の進捗を確認するレビュー(毎日、数日に一回、週一など割と高頻度)
- 日々のタスクリストを整理するレビュー(毎日など高頻度)
要するに定期的な確認や整理は何でもレビューになるのですが、共通するのは ルーチンタスク にて定期的に実行するよう整えることができる、ということです。レビューを行うルーチンタスクを積極的に盛り込みましょう。そうすれば忘れずに定期的にレビューを行う習慣が手にはいります。 タスクリストに入れておくだけで忘れずに習慣化できる ――これがタスクリストの強みであり、タスク管理の真髄です。
また、特に自分の能力を把握したい場合は ログ(タスク管理ツール上の過去のタスク実行記録) を見返すのもオススメです。もっとも、そのためには「ログを記録する能力を持つツール」と「ログが意味を成すほど毎日律儀に記録している」の二つが必要なのでハードルは高いですが、記録さえあれば自分を客観的かつ定量的に把握でき、次の行動を検討しやすくなります。
ログからわかることの例:
- 定時間勤務は 8 時間あるが、実際に働けるのはせいぜい 6 時間程度である
- 休日の家事は 1 時間で済むと思っていたが、実際は 2 時間近くかかっている
- Twitter をチェックするタスクは 5 分目標なのに、平均で 30 分かかっている
問題11. タスクリスト内の情報量が多すぎる、でも別に場所に書くと忘れてしまう
問題
タスクリストに入れておけば忘れないが、入れすぎると見づらくなるという "ジレンマ"。
タスクリストに慣れてくると、何でもかんでもリストに入れようとしますが、当然ながら入れすぎると情報量が増えて扱いづらくなります。リストがごちゃごちゃしてきます。なので、別の場所に書いて保存したりするのですが、そうすると今度はその存在を忘れてしまいます。
このようなジレンマはどう対処すればいいのでしょうか。
どうするか
Ans: 別の場所を見に行くようタスクで "指示" しましょう
たとえば掃除という家事をタスクリストでコントロールしたい場合、掃除箇所(仮に 15 箇所あるとします)すべてについてタスクを書いてしまうと、15 個のタスク項目が出現することになります。これでは見辛いですね。掃除だけならまだしも、タスクは掃除だけではありません。他のタスクについても、このようにすべて書いてしまうと、簡単にタスク数は 100 を超えます。タスクリストが肥大化してしまうのです。
これを防ぐために、以下のようにします。
- (1) 掃除箇所はタスクリストとは別のリストに書いておく
- (2) タスクリストには「掃除箇所リストを見て掃除する」というタスクを書く
こうすればタスクの数は 1 個です。このタスクを見れば、「掃除箇所リストを見て」と書いてあるので、掃除箇所リストを見ることになります。あとは掃除箇所リストに従って掃除することだけです。
このようにして、必要に応じて「こっちを見なさい」という指示タスクをつくります。そうすれば忘れません。
用語でいうと
このように、タスクリストから別の場所を参照させることを 誘導 や 転送 と呼びます。
ilovetaskmanagement.hatenablog.com
おわりに
「単にタスクを並べただけのリスト」も、ルールや運用を工夫することで現実的に便利なタスク管理手段となります。本記事では 11 の例を見てきました。
タスクリストやタスク管理というと、とても胡散臭い、あるいは面倒なものに聞こえますが、本質は「タスクを並べたリストをいかに機能させるか」という極めて単純な話です。ただ、そのために色々と工夫が必要ですよ、というだけの話です。
臆せず、自分なりにリストを上手く回し、運用するための仕組みを考えてみましょう。もちろん、一から考えるのはしんどいですから、適宜先人のアイデアも活用してください。本記事でも、基本的なアイデアは取り上げています。
(2020/04/04 追記) 粒度が大きい(小さい) → 粒度が粗い(細かい)、に表現を修正しました(ご指摘ありがとうございます)。