大手企業でも(昇進しなければ)そんなに給料は高くないです
大手企業は給料が高いイメージがありますが、高い給料をもらってるのは上にのさばってる老人たちと、若手で早々に出世しているごく一部の優秀 or 会社に捧げられるタフな人だけです。
もしお金が欲しくて大手企業を目指しているのなら、考え直した方が良いかもしれません。
一人の大手企業平社員として厳しいリアルをお伝えします。
僕が勤めてる会社について
まずは僕の現状について軽くまとめておきます。
全般情報
いわゆる IT 企業です。
業界大手です。知名度については、業界人ならよほど無知でない限りは知られてる程度にはあります。
規模で言えば、従業員は数千以上の単位で、日本全国や海外にもオフィスがあります。
給料はどのくらい?
月手取りは 17~18 万 くらいです。年で言えば(平均 17.5 万として)210 万 ですね。
残業すればその分増えます。残業時は時給で言えば 2000 円くらいかな。
ボーナスは半期で、手取りの2ヶ月分くらいあります。35 万くらいですね。これが年 2 回あるので、計 70 万。
トータルすると、年の手取りは(毎日定時退社で) 210 + 70 = 280 万。僕はほとんど残業しない勢ですが、それでもゼロにはできず、+20 万くらいあります。
結論として、 年の手取りで 300 万円 くらいです。
※ちなみに各種税金を引かれてるので、年収で言えば 400 万くらいです
大手企業の給料の上がり方
次に給料の上がり方ですが、基本的に年功序列です。勤続が長いほど給料は増えます。
ただし平社員のままだとほとんど上がりません。せいぜい月 17~18 万が、18~20 万になる程度。
一方、昇進すると年 100 万単位でグーンと上昇します。昇進すると平社員 → 係長 → 課長 → 部長 → ……と上がっていくわけですが、僕の所感ではこんなイメージ。
役職 | 年の手取り額 |
---|---|
平社員 | 300 万 |
係長 | 400~500 万 |
課長 | 500~700 万 |
部長 | 700~1000 万 |
つまり 給料を上げられるかどうかは昇進できるかどうか次第 です。
(本題) 大手企業で昇進するのが簡単ではない理由
ところがどっこい、今の時代、大手企業で昇進するのは簡単ではありません。
その理由を見ていきましょう。
昇進が難しい理由(1):上がたくさんいて狭き門だから
大手企業は一言で言えば 超高齢化社会ならぬ超管理職社会 です。五人に一人は管理職、なんてことも珍しくない。
※管理職とは部下を持ち、現場を離れ、管理業務を主に行う人です。役職で言えば課長以上ですね。
大手企業というのは昔の好景気で業績を上げて、そのままあぐらに座り、自分達の既得権益を守っているような、まあよくある大組織の典型例です。高給取りのくせに大して使えない管理職がたくさんいます。かといって日本では無闇にクビにはできません(たまにリストラが起きますが、あれはよほどの事態に行使される稀なケースです)。
つまり上が詰まってて、昇進する空き席が無いんですね。今の若手にとっては超狭き門……。
優秀な人でも平社員→係長→課長まで 10 年はかかるでしょう。僕の例で言うと、こんな感じ。
- 勤続 10 年で、同期は 50 人 くらい
- うち、現在係長(一回昇進した)の人は 5 人くらい
- 現在課長(二回昇進した)の人はゼロ
10 年経ったのに 昇進率はたったの 10% ですよ。
昇進が難しい理由(2):結局は社内政治ゲー・残業ゲーだから
大手企業は昇格条件がしっかりと整っていることも多いですが、 昇進は結局のところ上の話し合いで決まります。
当然ながら、気に入られてない人が昇進することはありませんし、何が悪いのか、なぜダメなのかといったフィードバックや透明性もありません。
で、気に入られるためにはどうすればいいかというと 社内政治 と 残業 なんですね。
そもそも大手企業の上に居座る人たちは、古い価値観に縛られた古い人たちです。 純粋な成果や仕事関係ではなく人間関係の機微や気分を持ち込みます し、長時間残業の根性論精神論こそが偉い と思ってます。加えて、彼ら自身も平然と会社で閉鎖的に社内政治と残業に勤しんでいるだけで、井の中の蛙なので、イマドキの働き方なんてものも知りません。当然ならが提案しても通じませんし、何なら嫌われます。
彼らに嫌われたらおしまいです。昇格会議で議題になることすらなく、永遠に平社員のままでしょう。
逆に、彼らに好かれたら、これほど簡単なことはない(まあ昇格条件で資格やら何やら必要なので、口先だけ人間もある程度は頑張らないといけないのですが)。
このことを肌でわかっているからこそ、社員は社内政治に精を出し、我慢して残業します。特に家庭を持つ人はお金が必要ですからね。昇進しないとこの先やっていけない。お金のためなら仕方ないんです。
逆を言えば 社内政治や残業が苦手な人は、おそらく昇進できない ということです。
僕もそうです。僕は以下のとおり(クセは強いが)優秀な社員のはずですが、
- 社内では珍しいプログラマー気質
- 対人関係や社会性には難があるが、技術と仕事術には優れている
- 技術的に「部署内では他に誰にもできないこと」を成し遂げてきた
- ここ一年は残業当たり前の開発業務を毎日定時退社で完遂してきた
これでも未だに昇進できてません。ランクで言うと、このへん。
新人 平社員レベル1 ★勤続10年でもまだココです…… 平社員レベル2 係長 課長
理由は単純で、社内政治も残業もしてないからです。普通に上司に議論ふっかけますし、毎日定時退社ですので……。
Q: 平社員でももっと給料高い大手あるんじゃないの?
ここでこのような疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
「いや、大手なら平社員でも給料はもっと高いでしょ?」
残念ながら、それはただの大手ではなく 超大手 あるいは 超優良大手 ですね。
そして、そういった企業には凡人は入れません。そうですね、僕の感覚では MARCH くらいサクっと入って、友達彼女もそつなく作って、人並以上の特技もあって……くらいのポテンシャルがあって、なおかつ努力を続けないとダメだと思います。
僕みたいに受験勉強を頑張ってもセンター試験(たった三科目)で 6 割取れなかったり、ダンスラというダンスゲームでプレイ時間 200 超えのベテランで基礎も持ってるのに 動画再生数がその辺の初心者よりも弱かったり ……と、 努力してても成果が出ないようなポンコツでは、まず太刀打ちできません。才能や要領というものは確実に存在します……と語りだすと逸れるのでこのくらいにして。
ともかく、大手はこんなもんだと思います。 大手と「超大手」や「超優良大手」とは全くも別物 ですからね。
おわりに
大手企業でもそんなに給料は高くない(高くならない)です。そのカラクリとして「昇進しないと給料が増えないシステム」「でも超管理職社会やら社内政治残業ゲーやらで昇進むずい」だとお伝えしました。
既に大企業安泰説は神話となりつつありますが、大企業高給説もとうに神話である と僕は感じています。
無論、昇進できそうな人なら何の心配もありません。しかし、そうでない人は「大企業に行けばいずれ高給になる」という夢は見ないようにしましょう。
本記事が大手企業を目指す皆さんや、既に勤めている若手の皆さんの参考になれば幸いです。