不器用な凡人でもそこそこ快適に生きるための「大手企業 + 定時退社 + パラサイトシングル」戦略
結果論と言えばそれまでだが、僕という不器用な凡人以下の人間でもそこそこ快適な人生を入手できている。エッセンスは三点ほどあって、大手企業に勤めることと、パラサイトシングルをすることと、毎日定時退社をすること。
大手企業に勤める
外資系でない国内の大手企業、あるいはその傘下グループのこと。規模感としては「異業種の人でも名前を聞いたことがある」「全国に拠点がある」「従業員は千単位」「傘下グループ含めたら何万、何十万単位」という感じか。
大手企業は、一言で言えば学校生活の延長線みたいなもの。規則にうるさく、全体的に整っており、変化と融通には弱いが、ぬるま湯であり過ごしやすい。ただし部署や仕事によっては熱湯なこともある。
メリット
- 会社と社員のリテラシーが比較的高く、理不尽な事態に巻き込まれにくい
- ただし過酷な仕事は除く
- IT リテラシーと他のリテラシーは大体比例する ので、IT の詳しい・整った部署に行けば間違いはない
- 福利厚生が整っており、社会的な手続きが楽
- 税金計算
- 引っ越し
- 身分証明(保険証)
- 有能でなくても生きていける
- たとえば 不器用なぼっちでも配慮・放置などで生きられる
- 直近のチームメンバーや上司さえ納得させられれば生きていける
- ただし(特に)入社数年以内など若い時は「努力してもダメな奴」というストーリー・実演・事情が必要(でないとただの怠惰であり無能であることが認められず努力を強要される&叱責というストレス発散や暇つぶしの対象になる)
- 転勤すれば生活環境をごっそり変えられる
デメリット
- (特に平社員は)管理社会に組み敷かれており、自由がない
- 少なくともルール上は、いつ何をやるかが厳密に決められている
- =決められていない提案や活動は(たとえ有益であっても)一切認められない
- 非効率的、非生産的なルールや取り組みが多数存在し、かつ平社員一人では変えることもできないので、苦手・嫌悪している場合は(容易に転職理由になる程度には)疲弊する
- 昇進しないと給料が劇的に上がらない
- よほど優良か残業前提でもなければ 月手取り 20 万が上限 だろう
- 社員の大部分はネットの民ではなくリアルの民なので、ネットの民は何かと合わない
- 口頭至上主義(チャット等で非同期でやり取りすることを知らない、知っていても軽視する)
- 仕事関係、という割り切った付き合いが苦手で、すぐに飲みニケーションを始めとした「交友」に持ち込む
- 文章を(特に不特定多数に対して)残すことが苦手で、ノウハウを言語化しない・しても閉鎖的に留める傾向がある(のでノウハウが溜まらず教育や引き継ぎに弱い)
入社するためには
学生時代:
- 真面目に勉強して「新しい事物を学んで頭を動かすこと」に対する耐性をつけておく
- 最低限の質疑応答スキルは欲しい
- 接客業バイトで一人で働けるくらい
- 大学で普通に恋人ができるくらいの対人的要領 or 大学の授業を全部一人で乗り切れる程度の自律性、どちらか片方が欲しい
- 自己分析は遅くとも大学一年から始めて、 自分を言語化できるように しておく
- 人生の目的は?
- 将来はどんな生活がしたい?
- どんな性格?
- 譲れない価値観は?
- 得意なことと苦手なこと
- ……
- カード(自分が持つ大学生 100 人中 1 人レベルの経験、スキル、特技など) を洗い出しておく
- 僕の例1: タイピングが速く、PC の使い方にも詳しい
- 例2: ゲーセンでバイトしてる
- 例3: 大学周辺は散歩で探検し尽くした
- 例4: ロープスキッピング(なわとび)をしている
- 例5: 学業成績一位(偏差値 55 が偏差値 40~45 の学校に行って楽して取った感じだが)
- 例6: ゴールデンアイ N64 のやりこみ具合と詳しさ
- 例7: BMS、DJMAX など PC 音ゲーをしている
- ……
- 大学一年、二年でなるべく単位を稼ぐ
- 大学三年からは就活で忙しくなる
- 大学三年は週二日丸々休めるくらい にしておくと安心
- この水準だと大学一年はほぼフル講義になるが……
- 大学四年(研究室配属)はなるべく楽なところでいい
- どうせ一年間では本格的な研究スキルは身に付かない
就活:
- 自己分析とカードを参考に、自分が目指せる 現実的な希望 を固める
- 僕の例だと「プログラミングが好きなので IT 企業に入りたい、コミュニケーションや管理よりももくもく開発していたいので SE よりも開発職、経験者前提の大手やスタートアップは無理だから新卒募集してる超大手、でも超大手は MARCH 未満の僕には無理ゲーだからその子会社、あと実家から通いたいし都内に行く金もないから実家から通えるオフィスがある会社」 ← これくらいは欲しい
- 取り繕わない
- 例: コミュニケーション苦手なのに「ゲーセンバイトで鍛えたので人並以上です」みたいなキャラを演じない
- 取り繕ってもボロが出る
- 受ける企業は数を撃つ
- 自分を認めてくれる企業と出会えるのを待つ
- 僕の場合、10 社受けて面接通ったのは 1 社だけ
パラサイトシングル
パラサイトシングルは何とも言っても経済的・時間的コストを抑えられるのが大きい。将来独り立ちしたい人にとっては、数年で何百万円を貯めたり、勉強やら何やらで集中的に鍛えたりすることのできるボーナスタイムである。
メリット
- 貯金が溜まる
- 家賃、光熱費、食費などがかからない
- 時間が浮く
- 家事雑務や(一人暮らし時に必要となる)社会的手続き諸々が必要ない
- 孤独に毒されない
- 普段はぼっちでも、家族との対話でだいぶ中和されている
- 一人暮らしして完全にぼっちになる(対話による中和がなくなる)と、一度は体調を崩す
- それくらいに孤独は人間にとって負担の大きい状態であり、家族という中和手段の存在は大きい
デメリット
- 家族の干渉が煩わしい
- 風呂と食事の時間が決められている(おかげで生活習慣は身に付いたが)
- 「彼女つくれ」「もっとおしゃれしろ」「どこ行ってきたんや?」
- 家族の生活環境や生活リズムと合わずにストレス
- 僕は朝型だが家族は夜型
- 僕はシンプリストで潔癖気味だが家族はずぼら
- 僕は音に神経質だが家族は鈍感
- 一人になれない
- アダルトな趣味を嗜みにくい
パラサイトシングルとしての過ごし方
- 新人から数年くらいは貯金に徹する
- 仕事を真面目に頑張って要領や立ち回りを掴むことを重視
- 娯楽や趣味はお金を使わず、実家にあるもので対処する
- 一年間働かなくても生きていける くらい欲しい
- 溜まった後は一人暮らしするなり、居続けるなり
- 貯金があれば安心感が違う
- 転勤や嫌気など何かあっても行動できる
- ただし長居する場合は、以下に注意
- 親の老化に伴い、干渉や世話が増えてくる
- 年取ってから一人暮らしする要領を磨くのはしんどい
- 実家の近くで一人暮らし、などお試しをしてみるのも良い
毎日定時退社
毎日定時退社することで(会社や界隈の人間にしては)多大なる時間を手に入れることができる。時間を大切にしたい人にはおすすめできる。ただし、未だに残業前提派 + 容認派が多数派であるため、勝ち取るためには並々ならぬ工夫か、事情か、あるいは犠牲が必要となる。
メリット
- 時間を確保できる
- 一日数時間以上のゆとりが存在することは何かと大きい(人生の振り返りから勉強まで割と何でもできる)
- 生活リズムを固定化できる
- いつ終わるかわからない → 毎日定時に終わる、と固定されるので生活の予測がつきやすい
- もっと言えば予定、習慣、計画が組みやすい
- (滞在時間が短い分)会社の価値観に染まりづらくなる
- 井の中の蛙になって「会社や上司に従う以外の道がない……」に陥るのを防げる
- 会社を覆う非効率的、非生産的、不条理不合理な常識やルールに抗う・避ける行動ができる(染まってるとこういう行動をする発想さえ生まれず無自覚のうちに苦しむ)
デメリット
- 勝ち取るのが難しく、(よほど納得のいく事情がない場合)何らかの衝突や孤立は避けられない
- 昇進しづらく、給料も劇的に伸びない
- 昇格者を決める上の人は、残業してでも頑張ってきた世代だから
- ルール、チーム、ステークホルダーのリテラシーが不十分ゆえに「評価される程度に」愚直に仕事をすると必然的に毎日定時が不可能になるから
定時退社を手に入れるためには
→ 残業せずに毎日定時で帰るために必要な 10 の考え方や行動 - ガラパゴスタ
要点だけ挙げておくと、
- 無理ゲーからは逃げる
- 「あいつはああいう奴だ」を目指す
- 定時派であることを主張する
- 昇進や評価は諦める
- 仕事をすぐに終わらせない(終わったことを見せない)
- コミュニケーションはなるべく避ける
- ポテンシャルを申告する・主張する
- クリエイティブな仕事(締切までに成果を出す&手段は自由)を選ぶ
- 手段はできるだけ効率化する
- 必要なことだけをする(今やらなくてもいいことはやらない)
おわりに
僕の社会人生活をざっと振り返ると、こうなる。
大手企業入社 → パラサイトシングルで貯金 → 毎日定時退社しつつ趣味謳歌 → 東京転勤 → 毎日定時退社しつつ趣味謳歌 → 生活費キツイやばいどうしよ(今ここ)
途中で心身を壊しかけたりストレスでハゲてしまったりといったこともあったが、悪くない人生だとは思う。この先はどうなるのだろうか。四つ目のエッセンスとして何が出てくるのだろう。楽しみでもあり、不安でもある。