朝の余白で人生を変える、とはどういうことか
「朝の余白で人生を変える」を読みましたので知見と感想をまとめます。
本について
- 作者: 池田千恵
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2016/11/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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朝の余白で人生を変える(池田 千恵)
余白とは
早朝に 余白(時間的余裕) をつくることです。具体的数値には言及がありませんが、2 時間以上は欲しいです。
なぜ余白をつくるのか
余白を持っていないと、慌ただしい日常にただただ流されるだけになります。また、(特に予定がギチギチだと)予定が一つ狂えば総崩れとなってしまい、脆くて大変です。
逆に余白があれば――たとえば毎朝 2 時間くらい自由時間があれば、人生や直近の予定について考えたり、純粋に好きなことをして楽しんだりできます。そのようなことを行える、言うなれば 人生の「あそび」 を手に入れるために余白をつくります。
余白で何をするのか
大別すると二つあります。
1. セルフチューニングする
著者は以下のように述べています。
朝イチで自分を大事にし、心と身体のメンテナンスをする時間を、私は「セルフチューニング」の時間とよんでいます。……(中略)……毎日毎日、自分という「楽器」を調整することで、あなたが望む未来をつかんでいきましょう。
具体的には、以下のような行動です。
- 前日の反省と今日やることについて、腰を据えて考える(短期的)
- 将来の夢や自分の人生の意義について、腰を据えて考える(長期的)
2. のんびりする
朝は疲労もゼロで、静かで、朝日もあって気持ちいいので、のんびり過ごすにはうってつけです。
例:
- 散歩やジョギング → シャワー → ゆっくり朝ごはんの黄金コンボ
- (ホテル滞在時は)人のいないロビーやレストランでゆっくりセルフチューニング
- 手帳に妄想を自由に書き殴る
余白で具体的に何をするのか
大別ではなく、より具体的な行動として何をするか、という話です。
なお()内はカテゴリです。本書ではカテゴリとして「人生」「身体」「仕事」「勉強」「人間関係」があります。
頭の棚卸しをする(人生)
いつ、何をやりたいか、やるべきかをハッキリさせるために、頭の中を棚卸しします。
具体的には、以下の項目を週一ペースで手帳に書き出します。
- 連絡しなければいけないのに、まだの人
- やりかけプロジェクト
- 将来やりたいと思いつつ、まだ手付かずのこと
- 提出しなければならない課題
- 読む必要がある本や資料
手段としてはアナログな手帳がおすすめとされています。デジタルは多機能かつ誘惑が多くて脱線しやすいからです。
書き出す時のポイントは以下のとおりです。
- 気になったことはとにかく全部書く
- 「こんなに細かいことを書く必要があるのかな?」 ← ある。というか迷う時間がもったいないのでとりあえず書く
【コメント】 わかる方には「GTD の収集プロセス(を簡単にしたもの)」の一言で通じますかね。
妄想する(人生)
いきなり目標を立てる、と考えると手が動かないので、まずは「やりたいことを妄想する」くらいのつもりで、好き勝手に書き殴ってみます。そうすると目標も見えてきます。
ただ、そのままだと現実味のない妄想でしかありませんから、現実的にこなせるよう計画も必要です。5W1H 観点で考えてみることはおすすめです。What(何をやる?)、When(いつやる?)、Where(どこでやる?)、Who(誰とやる?、誰を巻き込む?)、Why(なぜやる?)、How(どうやってやる?)ですね。
また、具体的な数字で具体化することもオススメです。たとえばフルマラソン完走が目標なら、「まずは足腰を鍛える必要がある」 → 「月 100 キロ走ろう」 → 「とすると平日 1 日で 5 キロ走る必要があるな」というふうに、具体的に定めていきます。
最後に、目標達成に日々近づけているかどうかは、ちゃんと毎朝振り返りましょう。日々の進捗は手帳に記録しておくと振り返りもスムーズです。
森林浴ならぬ朝日欲をする(身体)
日光を浴びると体内時計がリセットされるので生活リズムが整いやすくなります。また、セロトニンという気持ちが前向きになれる物質も分泌されます。
もっとも日光を浴びるだけなら昼でもできますが、頭がリフレッシュしている朝だからこそ効果があります。朝日を浴びてリセットと前向きを手に入れれば、以後の余白もより生産的に過ごせるというものです。
朝イチで身体のメンテナンスを予約する(身体)
予約が必要な店を朝イチで使う(特に整体など身体のメンテナンスを行う系)と気持ち良いです。スタッフが疲れていないので、夜間の疲れている時間帯よりも、のびのびとサービスを受けられます。
著者は朝イチで整体に通っていたそう。骨盤矯正にもなるし、身体もシャキっとして一日が心地よいのだとか。
事務作業をあえてやる(仕事)
朝は「投資」に費やすべきですが、投資に絡む行動は重たいものも多く、気が滅入る時もあります。そんな時は、どうせ後でやらないといけない、でも下手にミスするとマズイような事務作業を、朝のうちにやってしまいましょう。
朝であれば頭はフレッシュなのでミスしづらいですし、ここで終わらせておけば後々(たとえば夕方などに)「ああ、あの作業残ってる」とブルーな気持ちにならずに済みます。
今日のデッドラインを設ける(仕事)
恋人とのデートを約束した日はものすごく効率的に働けます。鬼のように働きます。あれです、あれを目指しましょう。そのためにどうすればいいかというと、「今日は~~時に帰る!」というふうにデッドラインを設定するのです。
幸いにも、朝の余白があれば、~~時に帰るための計画や根拠もたっぷり検討できますから、現実的な計画として立てやすいです。
勉強する(勉強)
慌ただしい日中の後、夜に勉強するとなると、疲れていて集中もしづらいですし、リラックス時間もないのでストレスも溜まります。
勉強は朝にやりましょう。朝ならフレッシュな頭で望めますし、「朝に頑張った!」という実感と実績がありますので、夜はだらだらできます。
早朝に読書する(勉強)
自己啓発書やビジネス書などは早朝に読むのがオススメです。静かな環境とフレッシュな頭で集中して読めるのはもちろん、読んで得た知見をすぐに生かせる(たとえばこの後の仕事で試すなど)からです。
ひとりで過ごす(人間関係)
朝の余白を確保することのメリットは、半ば強制的にひとりになれることです。
※朝活コミュニティなど、余白を同志と過ごす過ごし方もありますが、ここでは想定しません。
デジタル全盛期の今、リアルの人間関係から SNS などネット上の関係まで、ただでさえ人間関係に揉まれていてストレスフルなわけですが、余白をひとりで過ごせば気分転換できます。もっというと、周囲からどう思われるか、といったことを気にせず、ただただ自分の本心と向き合えます。
感想
私が感じたことを Good と Bad でまとめます。
(Good) 早起きしたくなる
著者が余白を持つ生活について楽しそうに語っているので、無駄に試してみたくなります。一言で言えば「エモい」ですね。
朝活のモチベーションがいまいち上がらない場合に、本書を読んでみると、湧いてくるかもしれません。僕も少し湧きました。
(Good) 肩の荷が下りる
上記の続きです。というわけで、いつもは 6:30 起きなのですが、少し早めて 6:00 に起きている試みを何度か試してみました。真っ暗な景色が徐々に明るくなっていく様を見ながら、のんびりコーヒーを飲むだけでも至福でした。こういう「ゆとり」は大事だなぁと実感。
別に自分を鍛えたり高みを目指したりするために早起きしなくてもいい。別にやることはないけど、贅沢にのんびりする――そんな使い方も可能ですし、やってみると気持ちいいものです。何かと慌ただしい昨今ですが、だからこそ、大事なことなのかもしれません。そう気付かせてくれました。
(Bad) 内容に一貫性と必然性が感じられない
本書は元々コラムをまとめたということもあり、内容に一貫性は見られません。
また、一般的なライフハックを無理矢理朝活に当てはめたかのようないびつさ(別に朝活じゃなくても良くない?)も感じられます。一貫性や必然性を気にされる方には読むのがキツイかもしれません。
本書に向いている人、向いていない人
向いている人
- 早起きのモチベーションを高めたい人
- 早起きに関するネタやヒントや刺激を得たい人
向いていない人
- 早起きの意義、メリット・デメリットについて詳しく知りたい人
- 早起きに絡むハックやテクニックについて詳しく知りたい人
関連コンテンツ
本書で紹介されていたコンテンツへのリンクを貼っておきます。