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スーパーフレックスが落ち着いてきたので感想を書く

スーパーフレックスが導入されてからだいぶ落ち着いてきたので感想を書く。

スーパーフレックスとは

まずはおさらい。

定義を書いても仕方ないので、働き方の歴史をレベル1、2、3に分けて比較する。レベル 3 がスーパーフレックス。

※勤務時間は一例なので適当に読み替えてほしい

レベル1: 勤務時間固定

9時から17時まではとにかく勤務しろ! という融通の利かない勤務体系。

平日に用事がある場合は詰む。たとえ上司の許しを得ても、会社制度的には「サボり」になってしまう。評価は落ちるしボーナスにも響く。

だから用事がある場合は 休暇を取得する しかなかった。

レベル2: フレックスタイム

9時から17時だとさすがにキツいみたいなので コアタイム(10時から15時)を設けたよ。コアタイム中はとにかく勤務してね という、少し融通の利いた勤務体系。

コアタイムの範囲は会社によってまちまちだが、たいてい朝と夕方が切り詰められているので 朝の通勤ラッシュを避ける のと 平日の用事を夕方から済ませる のには重宝する。

ただし「所定労働時間」というものがあって、

1 日 8 時間 x 平日分(月次第だが 18~22 日)は労働しろよ?じゃないと足りない分がサボりになるからな?

という罠がある。もっと言えば フレックスで 1 時間早く帰ったら、別の日に 1 時間残業して埋めなきゃいけない。少なくとも所定労働時間分は埋めなきゃサボりがついてしまう。

このフレックスタイムは長らく主流であったが、コアタイムでもなんだかんだキツい。

レベル3: スーパーフレックス

(健康管理の理由で深夜と早朝は認めないけどそれ以外なら)いつ勤務してもいいよ! という、割と融通の利く勤務体系。

「所定労働時間」は相変わらず存在するので、1 日 8 時間 x 平日分の労働時間は変わらない。

でもコアタイムがない分、かなり自由に働ける。「今日は早朝から夕方、明日は昼から夜」なんてこともできるし、「今日は 2 時間しか働けないや」「でも来週残業して挽回しよう」なんてことも可能。素晴らしい。

スーパーフレックスの理想と現実

そんな素晴らしそうなスーパーフレックスだが、現実はそう甘くない。

理想と現実、と題して比較してみる。

理想:夜型生活もできるレベルで自由だぜ!

現実: 夜型生活は無理

少し上述したが、健康管理の理由で そもそも深夜や早朝に働くことは認められていない。よく見る例は「朝 5 時から夜 22 時まで」だろうか。早寝早起きの朝型人間は可能だが、夜起きて昼寝る夜型生活には対応していない。

また、今後対応することもないと思う。というのも、この 深夜早朝時間帯を解禁してしまうと、働きすぎが加速してしまう から。無理やり規制しないと過労死しちゃうような仕事中毒マンは意外と多い。現実的な対処法としては「特定の時間帯を無理やり封じることで睡眠させる」しかない。だから、いくらスーパーフレックスと言えど、この線は死守され続けるだろう。

(2019/10/05 追記) もちろん仕事によっては夜勤が必要なケースもある。ここで言っているのは「深夜早朝時間帯の勤務者はとにかく常にゼロになる」ではなく、あくまでスーパーフレックスとして夜型生活を選ぶことが(業務上・心身の性質上などやむを得ない事情がなければ)原則できないという話。

理想:毎日 4 時間労働で済むぜ!

現実: 所定労働時間分は働く必要がある

細かい法律の話はおいといて、所定労働時間とは 1 日 8 時間 x 平日分は働かないとダメ というもの。

たとえば先月 2019 年 9 月は平日が 19 日あったので、8 x 19 = 152 時間は働かないといけない。仮にスーパーフレックスで 1 日 4 時間しか働いてない日があったとしたら、別の日で +4 時間分残業して、計 152 時間には届かせないといけない

152 に届かないと「サボり」になる。サボりになったら評定にも傷がつく。ボーナスにも響くだろう。

ここを変えるのは容易ではない。なんたって就業規則として決められてるし、入社時にも契約として交わされたわけで。

理想:勤務時間は俺が自由に決める!最高!ヒャッホウ!

現実: 部門やチームで足並みを揃えさせられる

一人でもくもく働けるかというとそうではなく、やっぱり仕事だから、どうしてもチームメンバーや部門とのコミュニケーションが多発 する。当然、各自がバラバラに勤務していると「A さんがまだログインしてない……」「え?これから大事な会議があるのに退勤?」なんてことになる。

これに対処するには、結局のところ 部門やチームの単位でコアタイムを導入するしかない

結論として、自分一人で自由に勤務時間を決められるほどの裁量は与えられない。もちろん「会社はスーパーフレックス許してるんだから俺の勝手だ!」と開き直るのは勝手だが、どうなっても知らないぞー。そこまでやる勇気は僕もさすがに僕も無かった。

スーパーフレックスとは、つまりどういうことか

色々書いたが、スーパーフレックスとはこれだ!というのを一言でまとめたい。

スーパーフレックスとは コアタイムを取っ払ったことにより、用事がある時にいちいち休暇にせずに済むようになった 勤務体系のことである。

従来のレベル 1 なら休暇にするしかなかったし、レベル 2 のただのフレックスでも「コアタイムの外だけで足りない場合」はやはり休暇にするしかなかった。これは会社制度としてそうなっていて、休暇にしないと「サボり」がついてしまうから致し方のないことだった。

しかしレベル 3 のスーパーフレックスなら、休暇にしなくてもいい。別の日に残業でカバーすればいいし、元から残業がある人なら自然に相殺できる。会社制度としても許されており、サボりがつけられることもない。

スーパーフレックスで変わったこと

ここからはスーパーフレックスにより、僕や周囲がどう変わったかについて雑多に書く。

用事で休む人が増えた

家族の都合とか、通院とか、そういう用事を使いやすくなったので、皆が休む回数は明らかに増えた。といっても一人あたり月 0~2 回 → 月 1~3 回くらいの感触だが。

ちなみに僕は休まない。休むなら相変わらず休暇を使う。だって 毎日定時退社勢の僕は残業したくないもん。仮に 2 時間早く帰ったとしたら、別の日で 2 時間残業しなきゃいけない。キツすぎる。あるいは 1 日 15 分ずつとかで詰めてもいいけど、そういうのを計算するのも面倒くさい。

チャイムが廃止された

始業と昼休憩と終業のチャイムが鳴らなくなった。

今までチャイムを聞いて切り替えていたので、いざ鳴らなくなるとどうも調子が狂う

特に僕は毎日定時で帰っている&休憩中は小説マンなので、自分でリマインダーを仕込む等しないと、「あ、定時から 10 分過ぎてる」「昼休憩とうに済んでるわ」なんてことになりかねない。なった。

慣れるまでに半月くらいは要した。

昼休憩の消灯が廃止された

昼休憩中の消灯も廃止された。

僕としては本読んだり小説書いたりしているので僥倖である。判断としても正しいと思う。眩しいのが嫌ならアイマスクでもしてりゃいいんだから。

細かい休憩時間がなくなった

今までは始業直前、就業直後に強制的に 15 分の休憩が含まれており、この時間を働いても給与にカウントされなかった。この強制休憩もなくなった。

僕は少し早く来て集中するタイプなので、朝の 15 分が地味に痛かった。時給換算で 1500 円くらいなので、1500 x 20 / (60/15) = 7500 円。月 7500 円くらい違う。給料少ない平社員の僕には結構でかい。

上司や先輩の在席率が減った

スーパーフレックスにより融通が利きやすくなったので、上司や先輩といった「(仕事もプライベートも)本質的に忙しい」人達は在席率が目に見えて減った。

これも僕としては僥倖である。僕は ゆるめの締切を 上手いこと作文して 設定してもらい、早めに成果出すところまでさっさと終わらせて時間を浮かせ、浮いた時間を勉強と改善で楽しむ という過ごし方をしているので、上司や先輩がいると正直楽しみづらい。彼らがいないと、遠慮なく楽しめる。

会議が減った

「やたらと大人数を定期的に参加させる」のが典型的な大企業病なのだが、スーパーフレックスにより予定が合いづらくなったので、会議開催は自然と減っていった。

おわりに

以上、スーパーフレックスに揉まれてる一人の平社員として感想を書いてみた。