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タスクは時間管理マトリクスよりも MSE で分類する

タスクを分類する手法として時間管理マトリクス(緊急性と重要性の 2 軸で 4 分割したカテゴリに各タスクを入れる)が知られていますが、これはしばしば使いづらいです。代わりに MSE を使うと、うまくいくことがあります。

時間管理マトリクスが使いづらい理由

一言で言えば、7 つの習慣という思想を前提としているからです。

たとえば以下のような人は、時間管理マトリクスを活用しづらいです。

  • 既に生活が安定しており、向上心がなく、緊急という概念とも無縁な人
  • 第二領域(備えや鍛錬)ばかりに費やさず、ある程度は怠けて暮らしたい人
  • 第四領域(娯楽や暇つぶし)こそが重要で、ここに出来るだけ時間を費やしたい人
  • 「重要」の定義ができない人、するのが面倒くさい人、したくない人(現実逃避し続けている人)

MSE とは

MSE とはタスクを Must / Should / Else の 3 つのカテゴリに分ける分類手法です。

3 つのカテゴリとは「Must(やらなければいけない)」「Should(やるべき)」「Else(それ以外)」です。時間管理マトリクスよりもシンプルでわかりやすいですね。ただし、分ける際にリーサルという観点を使いますので、リーサルについては抑えておきましょう。

リーサルとは

リーサル(Lethal)とは直訳すると「死に至る」「致命傷の」といった意味であり、自分にとって致命的なダメージになる事柄を指します。

リーサルの例:

  • 解雇
  • 絶縁
  • 絶交
  • 逮捕
  • 自身の負傷や死亡
  • 配偶者の負傷や死亡
  • 顧客、上司、部下、チームメイトの信頼を失うこと
  • ……

何がリーサルかは人によって違いますが、リーサルとは問答無用で回避しなければならない(回避しないという選択肢が原則無い)ものです。

Must

やらなければならないタスクです。やらなければ即行でリーサルに至るか、そうでなくとも近いうちに至ってしまうため、やらないという選択肢はありません。

Must タスクの例:

  • 1: 食事、排泄、睡眠など生理欲求を満たす行動全般
  • 2: 鍵を掛けて出かけるなど安全を満たす行動全般
  • 3: その他リーサルに直結するタスク全般

ただし 3 については、同じ人であっても状況次第では Must ではなくなります。たとえば会社に所属しているうちは、出社することは Must になります(たいていは十数日以上の欠勤で解雇になります)が、プライベートで宝くじ 6 億円を当てて将来安泰になったとしたら、Must ではなくなるでしょう。

Should

やるべきタスクです。やらなくてもすぐにはリーサルには至りませんが、長い目で見るとリーサルに繋がりかねないため、やった方が良いタスクです。

Should タスクの例:

  • 受験勉強
  • 婚活
  • (今の会社がそう長くないとわかりきっている場合等における)転職活動やスキルアップ
  • 妻や夫のご機嫌取り
  • 7つの習慣でいう「刃を研ぐ」行為全般

何が Should であるかは注意深く判断しましょう。

  • 「やらないことリスト」を使う
  • 断捨離を行う
  • ミニマリズムに取り組む

諦めて思考停止するのは簡単ですが、諦めた途端、あなたの生活は Should だらけになります。本当に Should な Should タスクを見極めるためには、多くの場合、断捨離やミニマリズムといったレベルの抜本的な見直しが必要となります。

Else

Must でも Should でもないタスクです。やらなくてもリーサルに繋がらないので、最悪やらなくても構いません。

しかし Else タスクが完全に不要かというと、そうでもありません。Must と Should ばかりだと心身的に疲弊してしまうので、ガス抜きとして Else タスクが必要です。たとえ「今抱えている Must タスクや Should タスクが自分にとって楽しい」としてもです。

Else タスクは、「休憩」や「気分転換」と言い換えるとわかりやすいでしょう。1日1時間、できれば2時間は確保したいところです。

時間管理マトリクスと MSE の違い

時間管理マトリクスと MSE の違いについて取り上げます。どちらの分類手法が向いているかの判断になりましたら幸いです。

攻めか守りか

時間管理マトリクスでは第二領域(備えや鍛錬など自己投資)が最重要と捉えます。そのために第四領域(娯楽全般)は害悪だとみなします。攻めの人生ですね。

一方、MSE ではリーサルの回避や予防を最重要と捉えます。守りの人生と言えます。

判断に必要な軸の数

時間管理マトリクスでは緊急と重要の二軸があります。あなたにとって緊急とは何か、重要とは何かを事前に(あるいはその場で動的に)定義しなければなりません。

一方、MSE では軸はリーサルの一本です。すぐにリーサルに繋がるならやる、そう遠くないうちにリーサルに繋がりかねないなら可能な限りやる、リーサル無関係なら最悪やらなくてもいい――これだけです。無論、あなたにとってリーサルとは何かということはちゃんと向き合っておく必要があります。

知名度の違い

時間管理マトリクスは 7 つの習慣により提唱されたものであり、広く知られています。

一方、MSE は筆者がここで提案した概念であり、知名度はゼロに等しいです。