ガラパゴスタ

楽する。楽しむ。生み出す。

ポメラは清書や下書きよりもブレストやメモや日記を書くのに適している

f:id:stakiran:20181218070641j:plain

ポメラ DM200 を買ってから一年が経過。ポメラにも得意不得意があるとわかりました。具体的にはブレストやメモや日記には適していますが、執筆の清書や下書きを書くのにはあまり向いていません。

ポメラが清書や下書きを書くのに向いていない理由

小説、ブログ記事、その他書籍などポメラで清書や下書き――つまりは本文を書こうとすると意外と苦戦します。なぜでしょうか。

一言で言えば パソコンほど環境面がリッチではない せいで 脳に負担がかかる からです。

パソコンは、能力が平凡な凡人でも執筆ができるほどの利便性を持っていますが、ポメラはこの水準には達していません。ゆえに、パソコンで書くことに慣れていて、かつパソコンほどの便利さがなければ書けないような人にとっては、ポメラだと役不足なのです。

もう少し詳しく見ていきます。

理由1. シングルウィンドウだから

パソコンはマルチウィンドウです。 画面上に複数のウィンドウを表示することで効率的に作業できます

一方、ポメラはシングルウィンドウです。一度に一つの文書あるいは設定画面しか開けません。

マルチウィンドウのメリットは 記憶を補完できる ところにあります。小説で言えば、原稿の横に設定資料やキャラクターの関係メモなど表示しておくことができ、一目で適宜確認できます。また、一時的に覚えておきたいことを別のウィンドウにささっとまとめておけば、やはり一目で確認できます。

一方、ポメラのようなシングルウィンドウだとこれができません。 今開いている内容以外の(執筆に必要な)情報を、すべて頭で覚えておく必要があります。もちろん「情報を書いたファイルを開けばいいじゃないか」というと、そのとおりなのですが、そのためには いったん原稿ファイルを閉じて、その情報ファイルを開いて見て、また原稿ファイルを開いて、執筆位置まで戻る(スクロールする) という面倒くさいプロセスが発生します。

このせいで、僕はポメラだけでは小説を完成させることができません。書いたことなんていちいち覚えてないし、何を書いたか確認するのもいちいち手間がかかる(原稿閉じて別ファイル開いて確認して閉じてまた原稿開く)せいで、書くことに集中できないんですよね。

※もしあなたが「いやいや覚えてるでしょ」というのであれば、あなたには物書きの才能があります。

理由2. 画面が小さいから

ポメラとパソコンでは画面サイズの差は明らかです。

パソコンの方がポメラの二倍、三倍、いやそれ以上の文章量を一度に表示できます。表示量が多ければ多いほど、記憶に頼る必要性は減り、楽をできます。

ポメラのように画面が小さいと、「えっと、ここより前はどんなこと書いたっけな……」 → スクロールして確認 → スクロールして戻ってきて執筆続行、という手順になりますが、これがパソコンのような大画面だと(該当箇所が離れすぎてなければ) 目視するだけで確認できます。(できる可能性が高くなります)

この差は大きいです。

よくわからない方は、ポメラで文字サイズを最大にしてから執筆してみてください。表示量が少なすぎてやりづらいはずです。

清書や下書きは全くできないのか

ここで「清書や下書きは全くできないのか」と思われるかもしれませんが、無論そんなことはありません。

いちいちファイルを開いて閉じてスクロールして……という手間が過剰に発生しない範囲なら、清書でも下書きでもできます。

たとえば僕の場合ですと、小説を書く際には以下のようにしています。

  • プロットを練る(殴り書きで)(ポメラ)
  • プロットを練る(一行一文で並べる)(ポメラ)
  • 大まかに本文を書く(ポメラ) ★ここまでポメラ
  • 下書き(パソコン)
  • 清書(パソコン)

「大まかに本文を書く」ところまでがポメラです。このフェーズでは会話文だけ書いたり、地の文も「Aが告白した」「ここでBとCがぶつかる」「Cが文句の嵐」と最低限だけ書いたりします。会話とキーワードで流れを書く とも言えますかね。細かい設定などは深く考えず、その場のノリや勢いを重視して、ガシガシと書く感じです。

そして、その後は全部パソコンで作業します。前後の辻褄合わせをしたり、「このキャラどういう設定だったっけ」というのを素早く確認したり、といったことが山程発生するので、ポメラ程度の能力では役不足なのです。

これは一例ですが、とにかく 情報を参照して思い出す手間が少ない範囲なら執筆もできる ということです。

ではポメラが向いているのはどんな用途か

清書や下書きに向いていないとすると、では、ポメラは一体どんな用途に向いているのでしょうか。

それは一言で言えば ブレストとメモと日記 です。詳しく見ていきます。

ブレスト

ブレストとはブレインストーミングの略で、要するに アイデア出し です。

※ビジネス用語では厳密な定義がありますが、ここでは単にアイデア出しを指すものとします。

何かを執筆する前は、コンセプト検討やらアウトライン設計やら舞台やキャラクター設定など、土台となる構造や要素を考えるわけですが、この作業にはブレストが適しています。つまりは 思いついたことをとにかく書き殴る ですね。

ポメラの場合、電源を入れて、新規作成をすれば、もう書けます。パソコンよりも圧倒的に速く起動します。記入スピードについても、タイピングなので手書きより圧倒的に速いですし、アウトライン機能を使えば見出し単位で情報を階層的にまとめることもできます。

メモ

メモとは 後で利用することを前提とした必要最小限の記録 です。

メモは通常、手書きで取るかと思いますが、手書きだと書くのが遅い上に、字も汚くて読みづらいのが難点です。この難点ゆえ、メモをついつい渋ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ポメラだとタイピングで書けますし、起動も速いので、手書きの難点をクリアできます。

日記

日記とは、その日の出来事や思いなどを雑多に記した文章です。

最大の性質は、実は 以前書いたことを覚えておかなくてもよい ことです。辻褄を合わせる必要がないとも言えます。その日のことをただただ書けばいい。それだけです。

このような用途では、ポメラでも事足ります。むしろパソコンのようなハイスペックで大きなデバイスは不要です。起動して、日記用のファイルを開いて、今日の日付を書いて、本文を書くだけです。

ブレストやメモの注意点

ブレストとメモについては、一つ注意点があります。

それは あとでファイルをパソコンにコピーして、パソコン上で整理をする ということです。間違ってもポメラだけで整理しようとしてはいけません。それができるほど記憶力に優れているならば、ポメラで清書や下書きも行えるでしょう。何ら問題はありません。

普通はそんな優れた記憶力は持ち合わせていません。だからこそ、パソコンという画面が大きく、マルチウィンドウで色んなウィンドウを同時に開いておける環境をフル活用して、記憶を補完するのです。

まとめ

長くなったのでまとめます。

執筆の性質について。

  • そもそも執筆とは高度な作業であり、前後関係の辻褄合わせのために情報を手軽に参照できる環境が必要である
  • パソコンの登場により、さして記憶力にすぐれない凡人でも執筆を行えるようになった
  • しかしこれはパソコンレベルの環境がなければ執筆が行えないことも意味する

ポメラについて。

  • ポメラはシングルウィンドウ、かつ画面もパソコンより小さいため、執筆を行えるには至らない
  • つまりポメラは清書や下書きには向いていない
  • ポメラが向いているのはブレスト、メモ、日記など

おわりに

ポメラの用途についてお話ししました。ポメラは清書や下書きよりもブレストやメモや日記に適している、という持論をまとめてみました。もし「なんかポメラだとスムーズに書けないんだよなぁ」という方は参考にしてみてください。

関連記事