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「TODOリストが要らない」という人は、TODOリストの意味を履き違えている

TODOリスト要不要論争は宗教論争みたいなものですが、僕はこう思います。「TODOリストが要らない」という人は、TODO リストの意味を履き違えているのではないか、と。

そもそも TODO とは何か

TODO とは 具体的に何をすればいいかがはっきりしている、粒度の小さな行動(アクション) です。

たとえば「キッチンの掃除」は TODO ではありません。粒度が荒く、具体的に何をすればいいかがわからない(あるいはやることが多数ある)からです。もう少し粒度を小さくした、「キッチンの床をほうきで掃く」であれば、TODO と言えます。

なぜ TODO リストをつくるのか

人は仕事から用事まで多数のタスクを抱えていますが、各々を分解すると何十という行動が必要になってきます。この行動の各々が TODO です。

さて、その何十という TODO を、頭の中だけで効率的に対処することができるでしょうか。

答えはノーです。

そこで登場するのが TODO リスト。

TODO を全部リストに洗い出しておき、それを見ながら次の行動を決めます。また、実施した TODO は潰しておけば(二重線を引くなど)、残りどれだけあるかも見えます。

つまり 頭の中だけでは扱いきれないから外に出す のが TODO リストの意義です。

TODO リストをつくると何が嬉しいのか

二つあります。

  • (1) TODO のやり忘れがなくなる
  • (2) 常に意識したり、思い出したり、判断に迷ったりする手間が減る

(1) については、TODO リストに TODO が全部書いてありますから、(あらかじめ全部洗い出しておき、かつ書いたそれを律儀に全部対処するとしたら)やり忘れることもなくなります。

(2) については、TODO リストを見て次の行動を決めれば済むので、頭でいちいち「次何しようかな」「今日はあとこれとこれをやっておかないと……」といった負担を負う必要がなくなる、という意味です。

それは TODO リストで管理することじゃない

TODO リストについて議論すると「締切を書かないとダメ」「優先度を可視化しないとダメ」といった意見が出てきますが、このような意見は TODO リストというものを履き違えています。

TODO リストは「ただの TODO の箇条書き」であって、締切や優先度といった高度なパラメーターは管理しません

もっと言えば、高度な管理を要する情報は別の手法で管理するべきです。たとえば、

  • 明日以降の予定 → カレンダー で管理する
  • 今日の予定 → リマインダー を設定するなどして忘れないようにする
  • 今日やりたいこと → 付箋 を貼る、今日やるリスト をつくる
  • 期限や担当者を含む仕事の単位 → タスク管理プロジェクト管理 用のツールや手法に頼る
  • ある仕事の完遂に必要な手順 → チェックリストマニュアル にまとめる
  • やりたいことや願望など → やりたいことリスト をつくる

などです。

FAQ

僕が考える TODO リストについて、ありそうな疑問を Q&A 形式でまとめてみました。

Q. やることを全部洗い出して全部対処していくのは無理では?

Ans: 別の問題だと思いますので適宜対処しましょう。

何度も言うように、TODO リストの意義は「頭だけでは追いつかないから、外に出して俯瞰する」ことです。逆を言えば、頭だけで日々を過ごすよりも効率的に過ごせるのなら、(たとえ10分程度の軽微な短縮であっても)それだけで意味があると言えます。別に自分が抱えるすべてを洗い出して対処する必要はありません。

それでも「無理だ」というのであれば、以下のいずれかによって阻まれていると考えられます。

  • (1) 洗い出しに要するコストが高すぎて面倒くさい(言語化や筆記が遅いなど)
  • (2) 頭で追いつくことも無理に洗い出そうとしている
  • (3) 抱えている仕事や用事が物理的に多い

(1) については、練習するなり手段を工夫するなりして慣れてください。個人的にはアナログ(手で書く)よりもデジタル(パソコンでタイピングする)の方が圧倒的に素早く、また修正もしやすくて便利です。

(2) については、手段が目的化するケースです。自分が既に頭でこなせていることを無理に管理しないようにしましょう。人は感覚や直感に強い生き物なので、基本的にそれらを尊重するべきです。ただ、それらだけでは上手くいかないことがある(例:やることが多すぎて頭が回らず効率的に対処できない)ので、システマチックな手段に頼ろう(例:箇条書きで外に出して俯瞰できるようにする)という話です。

(3) については、そもそも抱えている仕事や用事が物理的に多すぎるという別の問題ですので、なんとかして減らすしかありません。減らせない場合は、その場から逃げることも考えましょう(例:転職、絶交)。

Q. TODO だけでなく、もっと大局的・俯瞰的な単位での管理が必要では?

Ans: 必要ですが、それは頭で、あるいは TODO リスト以外の手段で管理します。

前項「それは TODO リストで管理することじゃない」でも述べたとおり、何でもかんでも TODO リストで管理することは間違いです。予定管理にはカレンダーを使う、など適切な手段を使いましょう。

そもそも「大体自分がどんな用事を抱えていて、各々の状況がどうなっているか」については おおよそ頭で把握していると思います。ただ、これだけだと「じゃあ次はどんな行動をしようか」を効率的に判断できないので、行動の一覧を横断的に TODO リストという形で外に出して、判断材料にしようというわけです。

TODO リストはあくまでも「具体的に行う細々とした行動のリスト」であり、その目的は目に見える形で可視化し、俯瞰できるようにするところにある、という点を強く意識しましょう。

Q. 有名人は TODO リストを使わないって聞くけど?

Ans: 彼らは宇宙人なので参考にしてはいけません。

世に名を残すような有名人は、先天的に頭の出来が違います。その証拠に、大人まで平凡だった人がいきなり有名になるなんてことはなく、有名人は幼少期から既に並外れたエピソードを持っていたりします。

彼らは TODO なんていちいち外に出さなくても、頭の中だけで素早く対処できるほどの桁違いのスペックがあります。あるいは、お金持ちなので秘書だの何だのに任せれば済む話です。ゆえに TODO リストなどという手法も必要ありません。

まとめ

  • TODO とは「具体的に何をすればいいかがはっきりしている、粒度の小さな行動(アクション)」
  • TODO リストの目的は、頭だけで対処しきれない行動の数々を、外に出して俯瞰できるようにすること
  • 予定、締切、優先度など高度なパラメーターは専用の手段で管理する(TODO リストの仕事ではない)

おわりに

TODO リスト要不要論争に関する、僕の意見を述べてみました。

TODO リストについて悩まされている方は、まず「TODO とは何なのか」「高度な管理をやろうとしてはいないか」あたりを見直してみると良いかもしれません。