タスク管理の三種の神器はリスト、リマインダー、習慣化
タスク管理の本質は何かと言われたら、私はリストとリマインダーと習慣化の三点を挙げます。
(1)リスト
リスト とは項目を並べたものです。タスク(やるべきことややりたいこと)を並べるとタスクリストになります。TODO リストとも言いますね。
頭だけで全てのタスクを消化できるならリストを書く必要はありません。が、人間の記憶力と処理能力は貧弱なので、リストという形で外に出しながら全体像を洗い出すわけです。洗い出した後は、一つずつ消化していけばゴールです。たったそれだけのことです。
よく「TODO リストは破綻する」などといいますが、それはリストの作り方が下手だからです。テキトーに書いた項目が1000個並んでいては見る気も失せます。コツは 状況別、用途別に複数のリストを作り分ける こと、そして 状況や用途毎に使い分ける ことです。そうすれば破綻はしません。
(2)リマインダー
リストだけあれば十分か
では、リストだけあればタスク管理は機能するでしょうか。いいえ、まだ不十分です。
リストだけだと 「特定の日時やタイミングで実行しなければならないタスク」を実行し損ねてしまいます。
こんな経験はありませんか。
- 場所 XXX で日時 YYY に開かれるイベント ZZZ、参加したかったけど忘れてて YYY を過ぎていた
- 16:00 から買い物しなきゃいけないのに、趣味に熱中していたらいつの間にか 17:00 を過ぎていた
このような「タイミングを逃すとアウトなタスク」は、いくらタスクリストに入れていても、そのタイミングの前に読まなければ見逃してしまいます。リストだけでは補えません。
リマインダーとは
じゃあどうするかというと リマインダー に頼ります。
リマインダーとは指定日時に指定要件があることを教えてくれる仕組みです。たとえばスマホのアラーム機能に「16:00 から買い物する!」と書いて、16:00 にセットしておけば、16:00 になると音や振動で知らせてくれます。スマホが、自分に、教えてくれるというわけです。この システムの方から強制的に教えてくれる 仕組みがリマインダーです。
タイミングを逃すとアウトなタスクがあったら、とにかくリマインダーに突っ込みます。最初は設定が面倒でしょうが、忘れないためには致し方ありません。とはいえ設定が面倒だと続かないので、工夫は必要です。リマインダー用ツールも色々ありますし、また 通り道に置いておくことで思い出させる というテクニックもあります。上手く飼い馴らせば、もう逃すことはありません。
(3)習慣化
リストとリマインダーだけで十分か
リストとリマインダーの二つを紹介しました。この二つがあればタスク管理は十分でしょうか。いいえ、まだ足りません。
いくらリストを整備して、必要に応じてリマインダーを設定できるスキルがあったとしても、 リスト自体を読むことを忘れてしまっては 意味がありません。リストにはタスク(もちろん複数のリストに分散していることもあります)が入っています。逆を言えば、リストに目を通さない限り、何のタスクがあるかがわからないということです。
リストに目を通すタイミング もまた、整えないといけません。
習慣化とは
ではどういう風に整えればいいのでしょうか。答えは 習慣化する ことです。習慣化とは リストに(毎日高頻度で)目を通すような習慣をつくり、定着させること と言えます。
理想は以下のように、
- 一日の始めに、今日やるタスクをまとめたリストをつくる(あるいは昨日のうちにつくっていても良いですが)
- このリストに従ってタスクを消化していく
- この時、明日以降やるタスクが生じたら、明日以降やるリストに入れておきます
- 全部消化したら、この日はおしまい
- できれば明日やるリストをつくっておくと明日が楽です
という風に リストに始まり、リストに終わる 過ごし方をすることです。このような 必ず目を通す、生活のエントリーポイント(入口)となるリスト をつくる、ということです。これが習慣化です。
こうすれば絶対にタスクを見逃しません。もちろん、エントリーポイントリストに適切なタスクを書いてさえおけば、ですが。
エントリーポイントリストの運用例
タスクを逃さないためのエントリーポイントリスト運用方法の例を挙げます。
まずリストを二つ用意します。
- エントリーポイントリスト
- 明日以降やるタスクを書いたリスト(便宜上トゥモローリストと呼ばせて下さい)
次に、毎日の運用として以下の制約を課します。
- 一日のはじめに、エントリーポイントリストを開く
- エントリーポイントリストに載っているタスクを全て消化したら今日はおしまい
- タスクを一つ消化するたび、エントリーポイントリストを読み返し、整理する
- 例1: 終わったタスクを削除する
- 例2: 新たに思いついたタスクを記入する
- 例3: 状況が変わったのでいくつかのタスクをトゥモローに送る
そして、上記二つのリストを何日も機能させるために、エントリーポイントリストに以下のようなタスクを放り込んでおきます。
- 「今日やることを洗い出してエントリーポイントリストに書き並べる」
- 「明日以降やればいいことはトゥモローリストに書き並べる」
- 「今日やったタスクのうち、明日以降も行う可能性があるものを複製してトゥモローリストに入れておく」
以上です。
こうすれば毎日エントリーポイントリストベースで消化する、今日やらなくていいタスクはトゥモローリストに放り込んでおく、明日になったらまたその時のタスクを書き並べて消化していく……という生活が整います。これでもうタスクを忘れることはありませんし、今日やるタスクにだけ集中していけます。
エントリーポイントリストの応用例
簡単に応用例についても取り上げておきましょう。
Case1: エントリーポイントリストやトゥモローリストが長くなってきたら
別のリストを作りましょう。たとえば、
- いつかやりたいことリスト
- 旅行時にチェックするリスト
- 誰かからの連絡が来ないと先に進まないタスクのリスト(連絡待ちリスト)
などです。このように別リストを作ったら、あとはエントリーポイントリストから辿れるよう工夫してタスクを入れるだけです。
たとえばいつかやりたいことリストと連絡待ちリストについては、以下のようなタスクを置いておくと機能します。
- 「いつかやりたいことリストに目を通す(このタスクは毎週月木に実施)」
- 「連絡待ちリストを更新する(このタスクは毎日実施)」
また、旅行時にチェックするリストについては、旅行計画を立てる時に
- 「旅行時にチェックするリストを印刷する」
といったタスクをつくれば良いでしょう。
このように エントリーポイントリストからいかにして他のリストに辿るか という発想でタスクをつくっていくと上手くいきます。
おわりに
以上、三種の神器ということで、エントリーポイントリストとリマインダーについて書いてみました。これはいわゆる GTD にも通じるところがあります(GTD はもっと手順が煩雑です)が、本質は同じです。
- リストで管理する
- 漏らさないよう、必ず目を通すエントリーポイント(入り口)を持っておく
- タイミングを逃すとアウトなタスクはリマインダーで思い出させる
タスク管理に悩まれている方は、この三点を意識して整備してみてください。