タスク管理で使う「コンテキスト」の設計方法を実例ベースで紹介してみる
タスク管理に欠かせないのが「コンテキスト」ですが、皆さまは具体的にどんなコンテキストを使っているでしょうか?
私は最近 GTD を始めたのですが、このコンテキストにずいぶんと悩んでおります。悩んでてても始まらないので、重たい腰を上げて設計してみました。これを方法として紹介してみようと思います。
前提
- タスク管理におけるコンテキストについては理解しているものとします
- コンテキストの意義は 空いた時間にタスクリストを眺めて、次やるタスクを決める ……この選択を効率的に行えることにある、とします
- 厳しい〆切のもとで迅速に意思決定を下さねばならない、というタイトな状況は想定しません
(1) 自分自身が置かれている主要なコンテキストを洗い出す
洗い出す観点としては「自分が主に居る場所」「主に使っている道具」「自分の状態」「モード(ペルソナ)」「気分など精神状態」「直近の自由時間」などがあります。
私の場合、以下となりました。
- 頭働く
- 頭働かない
- 会社&自席&忙しい
- 会社&自席&忙しくない
- 会社&自席以外
- 仕事モードで移動中
- プライベートで移動中
- 待機中(飲食店、病院、ゲーセンでの待ち時間)
- 休憩中(ゲーセンやジムや屋外で体力的に死んでいる時)
- 10分も時間取れない
- 30分くらいなら時間取れる
- 1時間以上は時間取れる
ポイントは タスク管理ツールと向き合っていて「なんか上手く回せてないな」と感じた時を思い出すこと です。私の場合、「やりたいけど頭働かないから今はやりたくない」とか「所要時間ベースでフィルタリングできたら便利なのになー」とか思っていたので、その点を反映しています。
(2) それぞれにタグ名を付与する
(1) にて自分のコンテキストを洗い出したら、次はタグ名を付けてみましょう。
タグ名は、タスク管理ツールで実際に使う文字列となります。タグ名を付けてみることで実利用時のイメージがグンと思い浮かびやすくなります。
私の例を書いてみました。
- @high 頭働く
- @low 頭働かない
- @comp_busy 会社&自席&忙しい
- @comp_free 会社&自席&忙しくない
- @comp_out 会社&自席以外
- @move_comp 仕事モードで移動中
- @move_priv プライベートで移動中
- @wait 待機中(飲食店、病院、ゲーセンでの待ち時間)
- @rest 休憩中(ゲーセンやジムや屋外で体力的に死んでいる時)
- @10 10分も時間取れない
- @30 30分くらいなら時間取れる
- @60 1時間以上は時間取れる
@high や @10 あたりはわかりやすいですが、@comp_out と @move_comp あたりは長ったらしい上にややこしいですね……。
(3) 運用で使うことを想像して過不足を修正
タグ名を付けたら、実際に利活用シーンを想像してみましょう。想像とは「とあるコンテキスト下にいる時に、タスクリストを眺めて、次にやるタスクを決める」という行動を想像してみるということです。
- どんな時にタスクリストを眺められるでしょうか?
- タスクにどんなコンテキストが付いていたら読みやすいですか?
- どんなコンテキスト名なら付けやすいですか?
- 長ったらしかったり数が多かったらイヤですよね
以下、私の修正過程を取り上げてみます。長くなりますが、行きましょう。
まず (2) 時点のコンテキスト一覧です。
- @high 頭働く
- @low 頭働かない
- @comp_busy 会社&自席&忙しい
- @comp_free 会社&自席&忙しくない
- @comp_out 会社&自席以外
- @move_comp 仕事モードで移動中
- @move_priv プライベートで移動中
- @wait 待機中(飲食店、病院、ゲーセンでの待ち時間)
- @rest 休憩中(ゲーセンやジムや屋外で体力的に死んでいる時)
- @10 10分も時間取れない
- @30 30分くらいなら時間取れる
- @60 1時間以上は時間取れる
修正していきましょう。まず「どんな時にタスクリストを眺められるでしょうか?」を考えてみます。私の場合は単純明快で、 自宅か会社で PC を使っている時のみ 眺めることができます。スマホを持っていないので外出時などは読めません。
つまり「PC が使えない外出時はタスクリストを眺めない(眺めることができない)」という制約があります。なので、外出時にタスクリストを読む、というケースは想定しなくても良いと言えます。
- @high 頭働く
- @low 頭働かない
- @comp_busy 会社&自席&忙しい
- @comp_free 会社&自席&忙しくない
@comp_out 会社&自席以外@move_comp 仕事モードで移動中@move_priv プライベートで移動中@wait 待機中(飲食店、病院、ゲーセンでの待ち時間)@rest 休憩中(ゲーセンやジムや屋外で体力的に死んでいる時)- @10 10分も時間取れない
- @30 30分くらいなら時間取れる
- @60 1時間以上は時間取れる
一気にシンプルになりました。
続いて「タスクにどんなコンテキストが付いていたら読みやすいですか?」に答えてみます。実際に読むことを想像してみます。自宅や会社で、PC を使っている時に、タスクリストを読む……。その時に、どんなコンテキストが付いていたら、次やるタスクを効率的に選べるか。
まず上記では「@home 自宅で行えるもの」が足りません。
- @home 自宅で行えるもの ★追加
- @high 頭働く
- @low 頭働かない
- @comp_busy 会社&自席&忙しい
- @comp_free 会社&自席&忙しくない
- @10 10分も時間取れない
- @30 30分くらいなら時間取れる
- @60 1時間以上は時間取れる
ちょっと脱線します。見づらいので性質ごとに分類してみますね。
- 頭
- @high 頭働く
- @low 頭働かない
- 場所
- @home 自宅で行えるもの
- @comp_busy 会社&自席&忙しい
- @comp_free 会社&自席&忙しくない
- 空き時間
- @10 10分も時間取れない
- @30 30分くらいなら時間取れる
- @60 1時間以上は時間取れる
脱線戻ります。これで十分でしょうか。もう一度想像してみます。……まだ足りませんね。もうちょっとタスクの性質を細かく分けたいところです。そうですね、よくあるタスクを思い浮かべたり、ツールの過去ログを見返したりした限りだと、以下があると便利そうです。
- @buy 買い物
- @fun 楽しいこと(クリエイティブなこととか)
- @bore 楽しくないこと、退屈なこと(雑務や単調作業など)
- @find 調べる系(ニュアンスは survey ですが打ちづらいので find にしてます)
- @sns SNSや自分のアカウント確認など
改めてまとめてみます。
- 頭
- @high 頭働く
- @low 頭働かない
- 好み ★追加
- @fun 楽しいこと(クリエイティブなこととか)
- @bore 楽しくないこと、退屈なこと(雑務や単調作業など)
- 場所
- @home 自宅で行えるもの
- @comp_busy 会社&自席&忙しい
- @comp_free 会社&自席&忙しくない
- 空き時間
- @10 10分も時間取れない
- @30 30分くらいなら時間取れる
- @60 1時間以上は時間取れる
- よくやること ★追加
これでだいぶ絞り込みやすくなりました。いくつか想像してみましょう。まずはタスクにコンテキストを付ける時を想像します。
- @home @10 → 家で、10分以内にできること
- @buy @find @bore → 調査が必要で楽しくない買い物(おそらくやらねばならないことなのでしょう)
- @comp_free @30 @find → 会社で30分くらいでできそうな調べ物
だいぶ付けやすいですね。 @comp_free だけ長ったらしいのが気になりますが。とりあえず次に進みます。次は、タスクをフィルタリングする時を想像します。
- 「早くあがれそうなので買い物を済ませておきたい」
- → @buy
- 「今 10:15 か、11:30 の昼飯まで1時間ちょい、イヤなことを終わらせておくか」
- → @bore @10(イヤな小さなタスクをたくさん終わらせる)
- → @bore @30(イヤな大きめのタスクを終わらせる)
- 「まだ寝るのには早いが、頭は疲れてるから、楽しいやつを潰していこう」
- → @low @fun @10
- 「今日の通勤時にやるリストをつくるか。通勤は片道電車で20分だから……」
- → @10
割と使いやすいと思います。が、色々と改善点も見えてきます。ちょっと挙げてみますね。
- not 検索が欲しい
- 忙しい時はどうせ見れないので comp_busy は要らない
- comp_free のみにする
- さらにこれだと長いので comp にする
- 「@high 頭働く」は意味がわかりづらい
- 「@high 頭働く時じゃないとできない」
- 「@low 頭働かなくてもできる」
- これならわかりやすい
- 「@fun 楽しいこと」は要らない
- 楽しいことはいちいち明示しなくていい
- それよりも「嫌なこと」を明示したい。タスクリスト見る時は「ここいらでイヤなタスクをちょっとやっておくか」というシチュの方が圧倒的に多いはず。
- あー、でも、ご褒美タイムとして「楽しいタスクをやるぜー」というシチュもあるのでは?
熟考の結果、各改善点は以下のようにして取り入れることにしました。
- 「@nonet ネットが要らないタスク」を追加
- @comp_busy は削除
- @comp_free は @comp にリネーム
- @high と @low は意味をわかりやすく
- @fun はとりあえずそのまま残してみる
取り入れてみます。
- 頭
- @high 頭働く時じゃないとできない
- @low 頭働かない時でもできる
- 好み
- @fun 楽しいこと(クリエイティブなこととか)
- @bore 楽しくないこと、退屈なこと(雑務や単調作業など)
- 場所
- @home 自宅で行えるもの
- @comp 会社&自席&忙しくない時にできるもの
- 空き時間
- @10 10分も時間取れない
- @30 30分くらいなら時間取れる
- @60 1時間以上は時間取れる
- よくやること
- @nonet ネットが要らないもの
- @buy 買い物
- @find 調べる系(ニュアンスは survey ですが打ちづらいので find にしてます)
- @sns 自アカウントの各種通知確認や TL 確認など
かなり実用的そうなコンテキストになりました。これでしばらく運用してみたいと思います!
おわりに
コンテキストの設計方法を実例で取り上げてみました。参考になりましたら幸いです。
運用後の感想はまた後日、書きたいと思います。