タスク管理におけるコンテキストとは何かを調べてみた
最近 GTD を始めた影響で、各種用語についても学び直しをしています。今回はコンテキストについて。
(1) 私の理解
- コンテキストとはタスクに付与する属性の一つで、そのタスクに付随する状況や制約や前提などを表現した情報のこと
- 例:
- 家: 自宅で行うという意味
- PC: PCを使うという意味
- 電話: 電話が必要、という意味
- コンテキストのメリット
- 「このコンテキストを持つタスクだけ見たい」場合にサクっとフィルタリングできる
- なぜコンテキストは必要か
- コンテキストを付けてないと、空き時間にタスクリストを眺める時にタスク全部を眺めることになり時間がかかる
- コンテキストを付けていると、「今は電車内だからコンテキスト @train の付いたタスクだけ眺めればいい」という風に、読む作業を省力化できる
(2) 調べてみる
では皆さんはどのように解釈しているのでしょうか。簡単に調べてみました。
「そのタスクを実行できる状況」
坂根さんの記事です。
今の状況的に実行できないタスクを見ても意味がないので、あらかじめタスクを「そのタスクを実行できる状況」別にまとめておいて、自分がその状況に遷移する時に当該コンテキストのタスクリストを確認しよう、というアプローチのようです。
外出前に「外出中」コンテキストのタスクを確認します。
(余談) 他、時間帯コンテキストについても言及されています。たとえば自宅というコンテキストでも、朝平日の自宅なのか、昼休日の自宅なのか、はだいぶ状況が違ってきます。そこで「朝平日」「昼休日」のように、時間帯をコンテキストにしてしまう、というアイデアです。人は時間帯ごとに決まった生活をしていることが多いので、時間帯コンテキストは案外上手く機能するようですね。
「コンテキストは絞り込みワードのようなもの」
小鳥遊さんの記事です。
GTDの「コンテキスト」を理解する - ForGetting Things Done
かなり広域な定義ですね。記事中では
状態という欄を設けています(赤枠)。誰がボールを持っているのか、それとも、誰もボールを持たないものなのかが表示される欄です。この状態欄がコンテキストだということに、最近気が付きました。
とあります。「状態」は「状況」ではないのでコンテキストではない、と思いがちですが、この定義だと「絞り込めるから状態もコンテキストになる」と言えます。
「時間帯」「場所」「イベント」「やりたいかどうか」「自分の調子」
ゆうびんやさんの記事です。
タスク管理に使えるコンテキスト5選。workflowyを例に添えて。 | 1UP Letters
コンテキストの具体例として5つほど紹介されています。
個人的にピンと来なかったものを取り上げておきます。
まず3番目の「イベント」について。一つ引用すると、
例えばデートに行くときに行きたいレストランがあるなら「レストラン @date」といったタグをつけておけば忘れません。
つまり「特定のイベント時に行うべき」あるいは「特定のイベント時に行うことのできる」といった意味合いですね。 @date だと「デート時に行うべき」とか「デート時に行える」という意味になります。
あとは5番目の「自分の調子」について。これは @good @bad @high @low などがあり、引用すると、
苦手なタスクをハイテンションの時や好調な時に終わらせられるようにタグをつけておきます。
といった使い方をするようです。つまり「特定の調子の時に行うべき」あるいは「この調子の時でも行うことのできる」といった意味合いですね。たとえば @good は「調子が良い時に行うべき」ですし、@low は「テンションが低い時でも行える」という意味になります。
「見たい時 "だけ" 見える様にする」
jMatsuzaki さんの記事です。
Nozbeでコンテキストを活用する3つのコツ | jMatsuzaki
コンテキストをフィルタリングの手段と捉えている点は他の方と同じですが、その点をストイックに捉えている点がユニークです。引用すると、
今やるべき事、もしくは今やりたい事以外のタスクが一つでもそこに存在していたなら改善の余地があると言う事です。
このレベルのストイックさです。これを実現するためのポイントも三つほど紹介されています。「コンテキストは必ず一つだけ付ける」「物理的な制約条件をコンテキストにする」「心理的なハードルをコンテキストにする」のようです。
特に目からうろこなのが一番目だと思いました。引用します。
「Home」と「PC」という2つのタグを付与した場合、事態はややこしくなります。なぜならあなたが家に居て、PCが他の家族に使用されている場合、「Webで電車の時刻を調べる」事は出来ないからです。つまり「Home」というコンテキストには今できないタスクが表示されてしまうのです。
これは私も思い当たりがあります。複数タグではありませんが、私は以前「電車内」というコンテキストを使っていました。が、普段の空いている路線の通勤時と、休日出かける時の満員電車内とでは、同じ電車内でも状況が全然違います。後者では本を読むことはおろか考え事もままなりません。 とあるコンテキスト下に居るにもかかわらず、実行できない という コンテキストミスマッチ が発生しているわけですね。
これを解消するにはどうしたらいいのでしょうか。jMatsuzaki さんは、上記 Home/PC とは別の例ですが、重要なタスクについては専用のコンテキストを設けています。引用すると、
「DTM」というのは私の作曲に使う道具です。これは家にしか無い道具ですが、「Home」というコンテキストとは別にしています。……(中略)……私は「Note」を使う時は本気で考え事をする時にしか使わない為、重要度、優先度、使うエネルギーの観点からコンテキストを別出ししているのです。
jMatsuzaki にとっては作曲と考え事が大事だから、専用に設けているのですね。
(3) 改めて私の理解をまとめる
調べてみると、コンテキストの解釈は人それぞれだとわかります。 自分にとって最適な解釈を採用すればいい んだなと思いました。
ここまでを踏まえて、改めて私の理解をまとめます。
- コンテキストとは、タスクを分類するためのタグ
- どんなタグを使うかは自分の生活と傾向と照らし合わせて厳選するべき
- コンテキストの性質は以下に大分類できる
- 物理的制約コンテキスト …… 特定の場所や道具が無いと実行できないもの
- 対人的制約コンテキスト …… 特定の人に連絡したり、人からの返事が来ないと実行できないもの
- コンディションコンテキスト …… やりたい/やりたくない、調子が良い時ならできそう/調子が悪くてもできる、など調子(コンディション)次第で実行可否が左右するもの
- プライマリコンテキスト …… 熱心や仕事や趣味など自分が最優先しているもの
ついでに私自身が使うコンテキストについて、見直してみます……と言いたいところですが、まだ GTD 始めて間もないので、ある程度運用が進んだらまた晒そうと思います。