タスク管理を構成する四つのアクション「EDVAアクション」
「タスク管理」という言葉の意味は広いですが、大きく分けると四つのアクションを踏んでいるのではないか、と思いました。これを EDVAアクション と呼びます。
タスク管理を E/D/V/A の各アクション単位で捉えると、「私に必要なのは E だ」「僕が言うタスク管理とは D と V のことかな」のように、タスク管理というものを捉えやすくなるのではないかと思います。果たして我が試みは成功するのか……。
では早速 EDVA アクションの説明に入っていきましょう。
なぜタスク管理を行うのか
最初に前提をおさらいしておきます。
そもそも、なぜタスク管理を行う必要があるのでしょうか?
答えは「目標を達成するため」です。
何か達成したい目標があるとします。
[何か達成したい目標]
これだけでは具体的にどうやって進めていけばいいかがわかりません。また、複数の目標を抱えている場合は、どれをどの順序で進めていけばいいかもわからなくなるでしょう。また、締切が設定されている場合、実施の配分も調整する必要もあります……と、こういった種々の障害があるわけですが、これを取り除くための手段がタスク管理です。
タスク管理では目標を「タスク」という単位に分割する、というアプローチを取ります。分割した個々のタスク一つずつを潰せば目標が完了します。これは、いかにして個々のタスクを潰すかを考えれば良いということです。その方法がタスク管理であり、そのタスク管理を支援するツールがタスク管理ツールです。
前提のおさらいは以上です。
続いて、このタスク管理で踏んでいく、EDVA と称される各アクションについて見ていきましょう。
(E)numerate
Enumerate とは「列挙する」ことです。
Enumerate アクションでは、目標を達成するために必要な タスクを洗い出します。
[目標1] | +--- タスク1 +--- タスク2 +--- タスク3 ...
この Enumerate アクションを、いかに丁寧に行うかが、タスク管理の成否を分けます。なんたって残りのアクションは全て「洗い出したタスクに対して」行うものですから。洗い出してなければ何もできません。
さて、この Enumerate ですが、ポイントがあります。いくつか示します。
- できるだけ細かく、具体的に洗い出すこと
- 階層的に洗い出すこと
- 例: タスク A はタスク A-1,A-2,A-3 から成る
(D)ecorate
Decorate とは「装飾(デコレート)する」ことです。
Decorate アクションでは、Enumerate アクションで洗い出したタスクを装飾します。何を装飾するかというと、属性 です。
属性については下記記事にて詳しくまとめていますが、
要するに「タスクを管理するために あると便利なパラメーター」のことです。
以下に簡単な例を示します。
[目標1] | +--- タスク1 優先度:高, 締切:2018/07/10, コンテキスト: パソコン +--- タスク2 優先度:低, 備考: 後の打ち合わせで「待った」がかかるかも? +--- タスク3 コンテキスト: 電話 ...
ここでは「優先度」「締切日」「備考」「コンテキスト」を装飾しています。これらがあると、たとえば「優先度の高いタスクのみ表示する」といったことも可能になります。
どんな属性を装飾するか……それはタスク管理の腕の見せ所です。
(V)isualize
Vizualize とは「可視化する」ことです。見える化ともいいます。
Visualize アクションでは、Enumerate アクションで洗い出し、Decorate アクションで装飾したタスクを可視化します。何を可視化するかというと 進捗(Progress) です。つまり、タスクに取り組んだ際の 状況や結果を記録し、わかりやすく表示する ということです。
以下は「タスクの完了状態」のみを表示した、かなり単純な例です。
[目標1] | +--- タスク1 未着手 +--- タスク2 完了 +--- タスク3 着手中 +--- タスク4 完了 +--- タスク5 完了
目標 1 の達成に必要なタスクが 5 個あり、そのうち 3 個が完了し、1 個が進行中で、もう 1 個は手付かずだとわかります。これは単純な例ですが、もっとタスク数が多くなってくるとありがたみが増します。
賢く Visualize する(かつちゃんと記録する)と、たとえタスクが何十以上あっても、。一目見ただけで現状が把握できるようになります。ツールを使うと、グラフや色分けなどでわかりやすく表示することもできます。現状がわかれば、次に何をするべきかも決めやすいです。
(A)utomize
Automize とは「自動化する」ことです。
Automize アクションでは、タスク管理に要する作業を自動化します。
例を挙げます。
- n 日毎に実行するルーチンタスクを、自動で n 日間隔で登録する
- 指定したタスクの実施時間が近づいてきたら、ポップアップで通知する
- 25分経ったらアラームを鳴らす
- 実行し終えたタスクのログを保存し、ボタン一発で集計・グラフ表示する
タスク管理では多数のタスクを操作する関係上、どうしてもタスク管理ツール上での操作が増えがちです。ここにかかる時間がバカになりませんが、自動化すれば軽減できます。
以下は私が毎日会社で行うルーチンタスクの一部ですが、
2 2018/07/06 Fri 1 勤怠入力 2 2018/07/06 Fri 1 メーラーとチャットアプリを起動 2 2018/07/06 Fri 1 今日の予定見る&タスクに落とす 2 2018/07/06 Fri b 朝一メールチェック 2 2018/07/06 Fri b 昼一メールチェック 2 2018/07/06 Fri b おやつタイムメールチェック 2 2018/07/06 Fri b 定時前メールチェック 2 2018/07/06 Fri b 昼休憩 2 2018/07/06 Fri z メーラーとチャットアプリを終了 2 2018/07/06 Fri z Daily データバックアップ 2 2018/07/06 Fri z ノートパソコンを仕舞って施錠する 2 2018/07/06 Fri z (雨の日) 傘を手元に持ってくる 2 2018/07/06 Fri z 週報原稿に書き足す
一部でも14個あります。これを毎日新規に登録し直すのはだるいです。ツール側に「ルーチンタスクが終わったら、自動で翌日にセットしてくれる」機能があると、かなり楽できます。
また、せっかくタスク管理ツールにタスクを入れているのに失念してしまうというケースもあります。人間なので忘れるのは致し方ありませんが、忘れて痛い目を見るには自分です。忘れないようにしたいものです。ここを自動化しておき、必要なタイミングで思い出させてくれるようになっていると安心です。
EDVA に分けて何が嬉しい?
長々と EDVA アクションについて説明してきました。こんな枠組みを作って何が嬉しいのでしょうか?
Ans: 「タスク管理について議論しやすくなる」
これかなぁと思っています。
たとえば「私が自作したタスク管理ツール Tritask は E と A に特化したものだ!」と話すことができます。EDVA を知っていれば、「ああ、Enumerate(列挙) と Automate(自動化) に焦点を当てているんだな」とわかります。
また、ご自身が取り組んでいるタスク管理について、E/D/V/A のどの点が弱いかを意識すれば、そこを集中的に改善しよう!と改善もしやすくなるのではないかと思います。
漠然と「タスク管理」と言うと、意味が広すぎて意味不明ですが、EDVA のようにもう少し小さく分割してやると、何かと扱いやすくなるのではないか。と、そう思うんですよね。
おわりに
今回はタスク管理を EVDA の四つのアクションで分けてみました。実用的な分類方法になってますでしょうか?
こういう「自分なりに体系化する」的なこと、結構好きなんですよね。タスク管理は絶対的な権威や理論が無い分、その余地が大いにあると思ってます。だからタスク管理が好きです。