ガラパゴスタ

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動線の転送

リマインダーにはアクティブとパッシブの二種類があり、パッシブとは 動線(リマインドしたいことを通り道に置いておけば通る時に自然と気づける) である、とお話しました。

動線の運用としてしばしば問題になるのが「リマインドしたいことを配置しづらい」ことです。今回はこの問題について見ていきます。

動線に配置しづらい問題

たとえば外出時にリマインドさせるため「ドア」という動線に注目したとします。さて、あなたは「リマインドしたいこと」をどうやって「ドア」に配置しますか?

例を挙げると、

  • ドアやドアノブに付箋を貼り付ける
  • (持参したい品の場合) それを袋に入れてドアノブに引っ掛けておく

などがあります。これでも上手く行くことがありますが、たまに以下のようなことが発生します。

  • 外出前にチェックしたい点が多すぎて、付箋に書ききれない
  • 持参したい物品が大きくて、部屋の隅にしかおける場所が無いため、ドア前に配置できない

こうなると「今日は配置しなくていいや」「まあ思い出すでしょ」と手抜きが発生してしまいます。これは高確率で忘れます。私もよく忘れます。

このような場合、どうすればいいのでしょう。

解決方法: 動線を転送する

動線に配置しづらい問題を解決する一手法として 動線の転送 があります。

結論から書くと、

  • 「~~を見ろ!」という付箋をドアノブに貼り付ける
  • リマインドしたいことは ~~ の方にまとめて配置しておく

このように二段階の運用にすることです。

ちなみに転送は三段階以上でも問題ありません。

例. 上述の問題二点を解決する

上述で挙げた問題二点について、動線の転送で解決する例を取り上げます。

まず問題二点を再載しておきます。

  • 外出前にチェックしたい点が多すぎて、付箋に書ききれない
  • 持参したい物品が大きくて、部屋の隅にしかおける場所が無いため、ドア前に配置できない

これを動線の転送で解決すると、以下のようになるでしょう。

  • (1) ドアノブに「外出前チェックリストを見て全部消化しろ!」と書いた付箋を貼る
  • (2) 「外出前チェックリスト」に、外出前にチェックしたいことを書く
    • 例1. 「財布とスマホと定期入れは持っているか?」
    • 例2. 「今日は部屋の隅に置いた物品を持参するんだよね?忘れず運んでね」

こうしておくと、いざ外出する時には、ドアノブの指示を見る → 外出前チェックリストに従って処理する、というフローとなり、(チェックリストに漏れさえなければ)見逃しもなくなります。

動線の転送、の課題

この「動線の転送」という手法ですが、課題もあります。

課題1. チェックリストへの追加を忘れてしまう

外出先チェックリストにリマインド内容を書くのを忘れてしまうと、見逃してしまいます。

ここは書き漏らさないよう工夫するしかありません。たとえば「明後日、お土産を会社に持っていく」をリマインドしたいなら、そうだと思ったタイミングで、すぐさまチェックリストに書き加えておきます。

気づいた時点で書き込んでしまうことが重要です。これを「まあ後で書くよ」などとサボってしまうと、忘れてしまいます。「まあ後で」は悪いクセです。タスク管理の敵です。面倒くさくても、すぐに書き加えることを心掛けると、忘れることを防げます。書き加える作業が手間なら、手間にならないよう整備なり練習なりするべきでしょう。

課題2. チェックリストに従うことをサボってしまう

これもありがちですが、外出時にちゃんとチェックリストは見ているのに「あーもう面倒くさいから今日はいいや」などと考えてサボってしまう現象も発生します。

これは心がけの問題なので「怠けずにちゃんとやりましょう」としか言えませんが、あえて言うなら 簡単にチェックできることだけ追加する を徹底すると良いと思います。たとえば「財布や定期入れは持ったか?」「今日は別オフィスに行く日だぞ?ネクタイ要るぞ?付けてるか?」程度の軽さです。

逆に「今日はAちゃんの誕生日だから何をどこで買うか検討して定時前のアラームを設定する」くらい重たいタスクだと、やる気が出ません。そういうことは外出前に練っておくべきです。ちゃんと準備できていれば、チェックリストには「Aちゃん誕生日プレゼント買う用アラームをオンにする」くらいの追加で済みます。

(余談)「転送」というアイデアは重要

話は逸れますが余談を。

本記事では「転送」と表現しましたが、このアイデア、タスク管理においては超重要だと思っています。タスク管理と聞くと、ついつい一つの道具で済ませようと考えてしまいますが、シチュエーションは様々なので、一つに押し込めるやり方は破綻します。

それよりも、適切なやり方を複数用意しておいて、それらを 漏らさず利用できるよう転送の仕組みを入れる 方が実現しやすいです。

タスク管理に悩んでいる方は、転送という視点で見直してみると、捗るかもしれません。

おわりに

動線の転送について紹介しました。参考になりましたら幸いです。

p.s. この「転送」という考え方、既にどなたかが提唱している気がするのですが、どこかで紹介されていたりするのかな。あるいはタスク管理という広い話の一部としては紹介しているが、転送自体に焦点を当てた情報源はまだ無い、という状況?……個人的に、転送についてはもっと理論やノウハウを知りたいところではあります。どうやって探せばいいんだろ?