タスクリスト作成時にテキストエディタを使う理由
私はタスクリストを作る時はテキストエディタを使っています。その理由を書き殴ります。
- 理由1: タスクを書くことに集中できるから
- 理由2: 階層構造を表現できるから
- 理由3: ある程度フリーフォーマットで書けるから
- 理由4: データの管理や加工が容易だから
- おまけ1: テキストエディタのデメリット
- おまけ2: 他の手段と不採用理由
理由1: タスクを書くことに集中できるから
動作が軽い
重たいツールは論外です。応答が 0.x 秒遅いだけで使う気が失せます。なぜって、タスクリスト(作成時)は原稿やプログラムコードのようにガシガシと修正するものだからです。0.x 秒の遅さでも、蓄積すれば多大な時間になります。何より、体感的に「少し遅い」という感触はストレスになります。
テキストエディタは動作が軽いので、動作の重さによるストレスはほとんどありません。
ショートカットキーでスピーディーに操作できる
テキストエディタを使うことに対する反論として「タスクの操作を何もかも手打ちするのが面倒くさい」が挙げられますが、こういった 操作の面倒くささはエディタ利用者の工夫次第で軽減できます。
たとえば初歩的な軽減方法として、
- Shift + ↑↓ で行選択
- Ctrl + C でコピー
- Ctrl + V で貼り付け
- 行頭で ← を押すと前行の行末に飛べる
- 行頭で ↓, ← と押すと行末に飛べる
- ……
などがあります。カーソルキーと修飾キーのコンボです。これだけで「行単位で素早く操作」できますので、一行一タスクとして洗い出す場合は、タスク単位での操作を素早く行えることになります。
一画面で完結している
画面やダイアログをクリック/タップさせる類のツールは、その性質上、スピーディーに操作できません。タスクを CRUD(Create/Read/Update/Delete) ――操作する度に画面遷移が走る、というのはそれだけでストレスです。
テキストエディタだと、画面は表示中の編集エリア一つですから 遷移のストレスがありません。
タスク操作に要する時間が短い
テキストエディタでは「タスクを操作する≒タスクについて書いた行を操作する」と言えますので、タスク操作に要する時間が短いです。
これが画面/ダイアログベースのツールになってくると、数秒で終わる処理に何十秒とかかったりします。たとえばタスクを複製したい場合、テキストエディタなら行のコピペで一発ですが、左記のツールではボタンを押して、フォームに複製後の名前を入力して……みたいな煩雑な手順になるでしょう。
繰り返しますが、タスクリスト作成という作業はガシガシと編集を伴うものです。タスクの操作に関する時間的コストは短いに越したことはないのです。たとえ1秒でも、0.x秒でも。
理由2: 階層構造を表現できるから
タスクはしばしば階層構造(サブタスクとか親子関係とか)を伴いますので、タスクリスト作成時にこれを扱えるかどうかは大きなポイントになります。もちろん、階層関係を設定する際の操作コストや処理時間も少ないに越したことはありません。
テキストエディタなら至ってシンプルです。
親タスク 子タスク1 子タスク2 子タスク3 ...
こんな風にインデントすればいいだけです。インデントスペースの挿入も Tab キーで一発ですし、「改行した時に前行のインデントを自動挿入する」的なオプションを使えば挿入を省くこともできます。
あるいは詳しい人なら アウトライン を導入することもできます。以下は Markdown 記法を用いて「親 → 子 → チェックリスト」の関係を書いたものですが、
# 親タスク ## 子タスク1 - チェックリスト1 - チェックリスト2 ... ## 子タスク2 - チェックリスト1 - チェックリスト2 ...
エディタの設定を工夫してやることで、上記を「左ペインに目次みたいに表示」させることができたりします。また、ショートカットキーで見出し(# 親タスク
とか ## 小タスク1
とか)単位でジャンプもできますし、D&D で並び替えもできます。要するに アウトラインプロセッサ を実現できます。
→ 技術者向けですが テキストエディタにアウトラインを導入して快適なテキスト編集を手に入れる という記事にて詳しく解説します。エディタは秀丸エディタです。
理由3: ある程度フリーフォーマットで書けるから
タスクリスト作成は創造的な作業であることも多いため、なるべくフリーフォーマットで書けることもまた重要です。
テキストエディタなら白紙上に文字を打つだけですから、ある程度はフリーフォーマットで書けます。
もちろんアナログなメモやお絵かき、その他マインドマップのように整った専用体系には勝てませんが。
理由4: データの管理や加工が容易だから
これはソフトウェア技術を知っている場合に限るのですが、テキストエディタだとタスクリストをテキストデータとして扱うため、管理や加工がしやすいです。管理としては、テキストファイルを単に管理するだけでいいですし、加工についてもテキストデータなので整形しやすい。スクリプトを書いて集計を取ることもできます。
一方、既存のツールだとデータは扱いづらい形式になっており、こうも簡単にはいきません。しっかりしたツールなら CSV などのフォーマットでエクスポートできるので大差はありませんが、エクスポートすらできないケースも往々にしてあります。
おまけ1: テキストエディタのデメリット
メリットだけでは胡散臭いのでデメリットも挙げておきます。
タスクに付加情報をつけるのがしんどい
タスク管理を円滑に行うためにタスクに 属性 を付与することが多いです。日付時刻、優先度、ラベルやタグなどですね。
しかしテキストエディタ上でのタスクリスト作成だと、タスク操作はエディットでしかありませんから、属性も当然ながら手打ちとなります。 2018/08/07(火)
のような日付情報に至っては一つ入力することさえ苦痛です。そのため属性に頼りづらくなります。
とはいえツールやスクリプトを工夫すればある程度は対処できます。まあ私の場合、細々と使い分けるのが面倒だったので テキストエディタベースのタスク管理ツール Tritask を作っちゃいましたが。
タスク管理ツールに流し込む手間がある
タスク管理ツール上でタスクリストを作成すると、すぐに運用開始できます。
一方、テキストエディタでタスクリストをつくると、それをツールに乗せる作業が別途必要となります。テキストエディタの操作性に浸かってると、これが存外辛いです。特に「あー、この部分、もうちょっと細分化が必要だ」となった場合に、いったんテキストエディタに戻ってリストを洗い直して、またツールに戻ってきて転記して……と慌ただしい立ち回りになります。
スマホ利用できない
テキストエディタは PC で使うエディタなので、スマホでは当然使えません。
一応スマホにもテキストエディタはありますが、PC 用ほど使いやすくはありません。ガシガシと編集していこうとするとストレスが溜まるだけです。
おまけ2: 他の手段と不採用理由
おまけとして、タスクリスト作成手段として他に考えられるものと、それらを採用しなかった理由(悪い点)も簡単に挙げておきます。
アナログ
良い点:
- 自由に書ける
悪い点:
- 書くスピードが致命的に遅い
- 字が汚くて読みづらい
- デジタルに取り込みづらく、タスク管理ツールに流し込めない
ワード
悪い点:
- 起動が遅い
- 動作が重い
- Windows + Office 環境でしか使えない
メモ帳
良い点:
- 起動も動作も軽い
悪い点:
- 機能が貧弱すぎてテキストエディタの恩恵が皆無に等しい
- ショートカットキー
- アウトライン機能
ブラウザベースのタスク管理ツール
良い点:
- 階層構造を表現できる(ツールによっては未サポートですが)
悪い点:
- 画面遷移を伴うためタスク操作に関する時間コストが高い
ポメラ
良い点:
- 起動も動作も軽い
- 階層構造を表現できる
- ある程度ショートカットキーも設定できて操作を省力化できる
悪い点:
- 機能が貧弱すぎてテキストエディタの恩恵があまりない
- PC にデータを転送するのが一手間で、ツールに取り込むのがだるい