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なぜメモ帳でも Word でもなく Markdown で書くのか

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Markdown って何?簡単に書くならメモ帳でいいし、装飾したり図表入れたりしたいなら Word でいいよね?なんかよくわからない文法で書く Markdown。存在意義がわからない……。そんな疑問にお応えします。

文章を書くことには 2 つの側面がある

まず知っておくべきことは、文章を書くことには 2 つの側面があるということです。

  • (1) 書く
  • (2) 見せる

当たり前のことを言っていますが、大切なことです。

書く ですが、できるだけ簡単に書けることが重要です。そりゃ「<section>文章を書くことには 2 つの側面がある</section>」と書くよりは「■文章を書くことには 2 つの側面がある」と書いた方がラクチンですし、一番楽なのは「文章を書くことには 2 つの側面がある」です。

しかし、書きやすさだけでは駄目で、見せる ことも考えねばなりません。つまりできるだけ見やすい、読みやすいことも重要で、そのためには 見出し構造、箇条書き、太字や文字色などの装飾、画像表示、ハイパーリンク といった機能が必要になります。

当然ながら、見やすく見せるためには書く際にもひと手間必要です。

【まとめ】 見やすさと書く手間はトレードオフである。

メモ帳で良くない?

「文章を書きたいだけならメモ帳で良いのではないか?」

まずはこの疑問にお応えします。

結論を言うと、たぶんダメですね。簡単なメモなら問題ないでしょうが、もうちょっとしっかりした文章になると、もうダメです。 だって読みづらいんだもの……。

見出し構造も、文字サイズや文字装飾にないし、画像やハイパーリンクも無いですからね。せいぜい箇条書きが書ける程度です。

仮に仕事で使う手順書やマニュアル、あるいは小説のような長文コンテンツが、すべてメモ帳で書かれていたとしたらどうです?読みづらいですよね。それに、図が描かれているべき部分には「図 1 については image1.jpg を参照」と書かれていて、いちいち自分で見に行かなきゃいけないですしね。URL も同じです。自分でコピペして開かなきゃいけない。面倒くさすぎですよね。

【まとめ】 メモ帳はダメ。見づらいから。

じゃあ Word で良くない?

「見づらさと読みづらさを解消したいなら Word で良いんじゃない?」

続いてこちらの疑問にお応えします。

はい、確かに Word だと編集は自由自在です。(書く人のデザインセンスはさておき)いくらでも見やすく、読みやすく、便利に構成できるでしょう。

しかし Word には致命的な欠陥があります。書くのに時間がかかる んですね。

たとえばちょっとしたメモを Word で書くとしたらどうです?あるいは 2000 文字くらいのブログ記事を書くとしたら?逆に面倒くさくないですか。Word は高機能ですが、その分動作が重たい。ファイル開くのも遅いし、Word が立ち上がるのも遅いです。

加えて、Word は Windows でしか編集できず、たとえば Mac やスマホでは使えませんし、Windows でも Word を購入していなければやはり使えません。なんだかんだ万単位の買い物です。

(余談) さらに言えば Word は、Microsoft の独自技術で、技術的に他の形式に簡単には変換できないのも欠点です。たとえば、ある Word 文書をウェブページとして載せたいといった場合、素人では無理でしょう。手作業で、ウェブページ用の書き方で一から書き直すことになるはずです。そういう意味で、Word は(その扱いづらさゆえに)プログラマーから嫌われる存在でもあります。

結論として、Word だからすべてまかなえる、というほど単純な話でもないんですね。

【まとめ】 Word もダメ。高機能だが高価だし大げさすぎて、ちょっとした編集には向いていない。

折衷案として、HTML はいかが?

鋭い方や物知りな方なら、ここで折衷案についてひらめくでしょう。

「HTML を使えばいいんじゃない?」と。

HTML というのは「マークアップ言語」などとも呼ばれますが、要するに

  • <strong>太字</strong>

こんな風に書いておけば、表示時には

  • 太字

こんな風に太字になる(このブログでは見やすさのために下線も引いてますが)、という仕組みのことです。

つまり、書く時になんか特殊な文法を使ってひと手間かける ことによって 表示する時に見やすく表示する という仕組みです。メモ帳より書くのはひと手間( <strong> とか書かなきゃいけない)ですが、Word ほど手間ではない。でも、ある程度は見やすく表示できる……そんな折衷案になります。

ちなみにこの HTML、ウェブサイトで使われている仕組みでもあります。皆さんが見ているウェブページは、HTML で書かれていて、それをブラウザが解釈して、見やすく表示しています。たとえば <strong>太字</strong> と書いてあったら 太字 と表示する、みたいな変換をブラウザは頑張っています。

だからブラウザを使う皆さんには太字もそうですし、画像やハイパーリンク、さらには見出し構造や箇条書きなどもそれなりに見やすく見えています。

【まとめ】 HTML を使えば、ちょっとの手間でそこそこ見やすくできる。

でも HTML は書きづらい

しかし、そんな折衷案たる HTML にも欠点があります。

書きづらいんです

たとえば以下のような箇条書き、

  • リスト1
  • リスト2
    • リスト2-1
    • リスト2-2
  • リスト3

これを実現したい場合、HTML では以下のように書く必要があります。

<ul>
  <li>リスト1</li>
  <li>リスト2
    <ul>
      <li>リスト2-1</li>
      <li>リスト2-2</li>
    </ul>
  </li>
  <li>リスト3</li>
</ul>

……何の呪文やねん。

HTML で書くということは、このような呪文(文法)を覚えて、毎回書く必要があることを意味します。まず覚えるのが大変ですし、覚えたとしても書くこと自体がめちゃくちゃ面倒くさいんですよね。

【まとめ】 HTML は折衷案だが、書き方が面倒くさすぎる。

そして Markdown が登場した

Markdown は、HTML よりもずっと後に登場したマークアップ言語です。

その発想は HTML と同じで、「なんか特殊な書き方で書いたら、表示時に見やすく表示される」というもの。見出し構造、文字装飾、箇条書き、画像やハイパーリンクや表の表示などにも対応しています。

さきほどの箇条書きの例を見てみましょう。

  • リスト1
  • リスト2
    • リスト2-1
    • リスト2-2
  • リスト3

これでしたね。これを Markdown で書くと、どうなるでしょう。

- リスト1
- リスト2
  - リスト2-1
  - リスト2-2
- リスト3

たったこれだけです。HTML より何倍もラクチンですよね?

【まとめ】 Markdown は HTML よりも書くのがラクチン。

ここまでのまとめ

執筆というと大げさですが、Markdown を使うことで日々の「文章を書くという作業」がどのように変化するか、について順に見てみましょう。

まずメモ帳の場合ですが、

  • 書くのは簡単
  • でも読みづらい
    • ただのテキストの羅列だもの
    • 見出しも図表も文字装飾も何もない

書きやすさは最高ですが見やすさは最低です。

次に Word ですが、

  • 書くのは手間
  • でも読みやすい(編集次第で読みやすくできる)

編集次第で見やすくできるものの、Word という文書編集アプリ自体が動作が重たいし、Windows でしか動かないし、高価だし、と手段として大げさすぎるところがありました。

両者の折衷案として HTML がありました。

  • 書くのはメモ帳でいい
  • ただし特殊な文法を使って書く
    • この特殊な文法が非常に面倒くさい
  • 表示時は、その文法部分が見やすく変換されて表示されるので読みやすい

しかし、その文法とやらが、書くのが面倒くさいんですね。

そして最後、Markdown です。

  • 書くのはメモ帳でいい
  • ただし特殊な文法を使って書く
    • HTML よりもずっと書きやすい
  • 表示時は、その文法部分が見やすく変換されて表示されるので読みやすい

というわけで、HTML よりも優れた存在です。

Markdown を使うと、日々の文章執筆はどうなるか

イメージが湧きづらいので、Markdown で日々の文章作成がどうなるか――具体例を見てみましょう。

まず「書く」時は、Markdown 文法で書きます。

たとえば本ブログの、この記事を例にしますと、以下のような感じです。

# なぜメモ帳でも Word でもなく Markdown で書くのか
Markdown って何?簡単に書くならメモ帳でいいし、装飾したり図表入れたりしたいなら Word でいいよね?なんかよくわからない文法で書く Markdown。存在意義がわからない……。そんな疑問にお応えします。

[:contents]

## 文章を書くことには 2 つの側面がある
まず知っておくべきことは、文章を書くことには 2 つの側面があるということです。

- (1) 書く
- (2) 見せる

当たり前のことを言っていますが、大切なことです。

**書く** ですが、できるだけ簡単に書けることが重要です。……

文法が色々ありますね。「# ……」が大見出し、「## ……」が中見出しで、「[:contents]」が目次の自動挿入、「- ……」が箇条書きで、「書く」部分が太字です。

そして、書いた文章を見せる際は、専用の変換機構を通します。今回の例だと、はてなブログの投稿画面に投稿するだけです。そうすると、内部で Markdown 文法を見やすく変換して、表示してくれます。

どう表示されるかは、今あなたがこのブログを見ているとおりです。 ちゃんと見出し構造があり、目次があり、太字や箇条書きもありますよね

少なくともメモ帳でただテキストを書いただけのブツよりは圧倒的に見やすいはずです。

また、Word を使って書いたわけでもありません。僕の場合、1秒で書き始めることができます。Word ならこうはいきません。

Markdown とは

まとめましょう。

Markdown とは:

  • 書くとき:特殊な文法で書く
  • 読むとき:文法が見やすく変換されて表示されるので、見やすく読める
  • Markdown は、この特殊な文法が特に書きやすい

活用シーン:

  • 「見やすく読みたい文章」を書きたい時
  • 特に Word のような「大げさすぎる手段」を使いたくない時

具体的な活用例:

  • ブログ
  • 会議の議事録
  • 仕事に関するメモ
  • 小説や書籍の執筆

おわりに

Markdown の存在意義について語ってみました。

実際利用する時は、メモ帳ではなく「Markdown エディター」という専用のエディタで書くことになると思いますが、「なんか難しそう」とうろたえる必要はなく、単に

  • 書く時は専用の文法で書いて、
  • それを「変換して見やすく表示する」ための何らかの手段を使う

という、ただそれだけの話です。学習コストはそこそこ高いですが、覚えてしまうと非常に快適です。実際、僕はパソコンで書く文章のほとんどを Markdown で書いています。もう手放せません。

メモ帳だと見づらい、Word だと重たい……

そんな悩みを抱えている方は、Markdown に挑戦してみると幸せになれるかもしれません。