効率と能率の違いについて。基本的には「効率」で良いという話
似た言葉として「効率」と「能率」があります。意味の違いや使い分けはどうなっているのでしょうか。調べてみたところ、基本的には「効率」を使えば良さそうだとわかりました。
まずは辞書の定義を見てみよう
定義と言えば国語辞書ですね。見てみましょう。
まずは 効率(こうりつ)とは - コトバンク より、デジタル大辞泉の解説を。
使った労力に対する、得られた成果の割合。
続いて 能率(ノウリツ)とは - コトバンク より、同じくデジタル大辞泉の解説。
一定時間内にできる仕事の割合。
なるほど、つまり式で表すと以下のようになりますかね。
- 効率 = 成果 / 労力
- 能率 = 成果 / 時間
つまり 分母が労力だと効率で、時間だと能率 だと。
労力と時間について
次に気になるのが「労力とは」「時間とは」ですね。この点もはっきりさせておくべきでしょう。
というのも、たとえば
「かかった時間も労力の一部とみなすとしたら、時間は労力の一部(部分集合/サブセット)になる」
↓
「能率は効率の一部である?」
↓
「え、じゃあ能率って言葉の意味なくない?効率で良くない?」
のような解釈ができてしまうからです。
というわけで、調べようとしたのですが、定義の沼(言葉遊び)に終止しました。
英語で調べてみると
視点を変えて、英語(和英辞典)で調べてみました。
どちらも efficiency でした。
ならば、と今度は efficiency を英和辞典で調べてみます。
能率(性)、効果的な働き、効率の良さ、効率(性)
どっちやねん。
結論としては、英語圏では区別がない と言えそうですね。
「能率」ってなんじゃらほい?
ここまで辞書ベースで調べてみると、どうも 能率という言葉は、効率という言葉よりも「より意味が限定的になっている」 ニュアンスがあります。
どこで、能率という言葉について、さらに調べてみました。結果としてわかったのは、
分野、界隈、仕事によっては「用語として」定義されていることがある
ということでした。
たとえば製造業では「能率」という用語があります。 能率 生産管理 業界用語集 - 統合ERP生産管理システム rBOM によると、
能率とは、予想される標準生産数量に対する、実際の生産数量の比率(パーセンテージ)である。
これは製造業における定義ですから、効率とは言いません。「予想される標準生産数量に対する、実際の生産数量の比率(パーセンテージ)」を「能率」と名付けよう!と決めたわけですから、これは能率です。
利用頻度も見てみる
ついでに Google で検索候補数も比較してみましょう。
「効率」が「能率」よりも 31 倍多く使われています。多数派は「効率」ですね。
たしかに日常的にも「効率」を使いますよね。「能率」とはあまり言いません。
まとめ
効率と能率の違いについて、まとめます。
- 基本的に同義なので、通じやすい「効率」を使えば良い
- ただし分野、界隈、仕事によっては 用語として「能率」が定義されている ことがあるので、その場合はそれに従う
というわけで、基本的に「効率」を使えば良い!というのが僕の結論です。