閉鎖的に完結するパゴ充とは
一人でも充実するソロ充、リッチでなくても充実するプア充、無趣味でも充実するノホビ充――何かがなくても充実させようとするライフスタイル●●充は多数存在しますが、その中に『パゴ充』があります。ガラパゴスのパゴです。
パゴ充とは
パゴ充とは ガラパゴス充 の略で、 閉鎖的に過ごしていても充実させる 生き方を指します。
閉鎖する対象として情報、知識、対人の 3 つがあります。
- 情報の閉鎖 …… テレビやニュースや SNS を見ない
- 知識の閉鎖 …… 本を読まない
- 対人の閉鎖 …… 人と付き合わない
別の言い方をすれば インプットを意図的に減らした生き方 とも言えます。
パゴ充の例
パゴ充な人の例をいくつか挙げます。
- テレビもスマホも持たず、ニュースも見ず SNS もしない、仙人みたいな人
- 平日は家と会社を往復し、休日も家にこもっている単身者
- 例: 小説執筆など一人でこなせる熱心な趣味を持つ人
- 子供をつくらず、友達と遊ばず、二人でのんびり暮らしている夫婦
- 例: 伊坂幸太郎の小説「魔王」の潤也・詩織夫妻
挙げればきりがありませんが、情報収集を抑え、知識の学習もやらず、対人関係も最小限に留める生き方は色々あります。ただし「全く見ない」という極端な例は、そうはないでしょう。
無自覚なパゴ充
パゴ充でない人が、意図的にパゴ充になることはあまりありません。情報も知識も対人関係も豊かな現代人がそれらを減らすなど、簡単なことではないからです。
しかしながら、世の中には 元からパゴ充な人達(無自覚なパゴ充) がいます。彼らは情報も知識も対人関係も乏しいですが、幸せそうに生きています。そんな人達に着目し、その特徴を捉えて、取り入れるために「パゴ充」という言葉が導入されました(僕が導入してみました)。
何かと慌ただしい現代人にとって、パゴ充という概念は「自らを軽くし、よりやりたいことに注力させる」ヒントになるという意味で重宝します。一種のミニマリズムとも言えるかもしれません。
パゴ充のメリット
パゴ充でいると何が嬉しいのでしょうか。
メリット1. 注意資源を温存できる
注意資源とは「何らかの判断を行うのに要する体力」を指す心理学用語で、これが不足すると何にも手がつかなくなります。睡眠しないと回復しません。
注意資源は日常生活でも消費しますが、特に情報の慌ただしい昨今では著しく消費しやすい傾向にあります。端的なのはスマホ――SNS やネットサーフィンですね。結果として、夕方くらいになると注意資源が枯渇して「何をするのもだるい」という状態に陥ります。勉強も、趣味も、何もできなくなります。
パゴ充は、言うなれば 注意資源を浪費しない生き方 とも言えます。情報と知識と対人をシャットアウトするわけですからね。SNS もしませんしネットサーフィンもしません。その分、資源も消費しないので疲れにくくなり、やりたいこと(たとえば趣味)に費やせます。
メリット2. 精神的に振り回されない
情報にせよ、知識にせよ、対人関係にせよ、人はこれらに精神的に振り回されます。
情報については悲惨なニュースを見たら心を痛めますし、理不尽なニュースを見たら腹が立ちますし、羨ましい人を見たら嫉妬で気が狂いそうになります。
知識もそうですよね。「知識は身に付けても害はない」と言いますが、ウソです。知れば知るほど心変わりが起き、やりたいことが増え、妄想も増えますし、辛いことを思い出させてきたり、また嫉妬や羨望なども生じます。
最後に対人関係については言わずもがな、なので飛ばします。
パゴ充ではこれらをシャットアウトするため、振り回されにくくなります。穏やかでいられます。
パゴ充のデメリット
容易に想像できますが、パゴ充にもデメリットはあります。
デメリット1. 無知ゆえの不利益を被る
パゴ充では情報や知識、対人関係などをシャットアウトしますが、これにより 無知になりやすい という弱点が生じます。
例:
- 帰りが雨なのに傘を持ってきてなかった
- → 「天気予報」を見ていれば済んでいたのに
- 一人暮らしの家事や都会ライフについて、頑張って自分で調べた
- → 詳しい人に聞けば数分で済んでいたのに
- たまに風俗やキャバクラで遊ぶ
- → 友達や恋人がいたら高額を払ってまで遊ぶ必要はなくなるのに
- 会社のパソコンが遅いせいで待ち時間が多く、毎日残業になる
- → 設定やツールについて知っていれば解決できていたのに
デメリット2. 出会いがない
パゴ充という形で外界から離れていると もっと楽しいこと、充実できること、成長できることと出会えなくなります。
例:
- 新しい趣味や娯楽に出会えない
- 今持っている仕事や趣味の実力を上達させることができない
- 承認や寂しさを満たすことができない
上記はすべて、情報・知識・人と出会えれば解決できることですが、パゴ充だと出会わないので解決しづらくなります。
パゴ充のコツ
パゴ充であり続けるためのコツを取り上げます。
コツ1. 「これさえあれば幸せ!」を持っていること
パゴ充は「余計なインプットをしない」がコンセプトですが、これはそもそも これさえあればいい、を持っている(だから「これ」以外をシャットアウトできる) とも言えます。
例:
- 1: 安全に暮らせる家がある
- 2: 一人きりで静かに暮らせる家がある
- 3: 頼れる家族(パートナーでも親でもシェアメイトでもいい)がいる
- 4: 一人で一日中暇を潰せるレベルの趣味がある
- 例1: 一日中読書していられる
- 例2: 一日中小説を書いていられる
- 5: 承認欲求を満たせる機会がある
- 仕事 or 何らかの趣味になるでしょう
やはりミニマリズムに通じるところがあります。ミニマリズムでも「自分にはコレがある!コレさえあればいい!」という明確な基準があるからこそ、(コレが関係しない)日常生活の事物をごっそり減らせます。
コツ2. 必要なことは必要な時に調べる
原始的な生活をしているのでもない限り、何らかの知識を調べる必要性はどうしても出てきますが、 必要なことは必要な時に調べる ようにします。
「~~について勉強しないとなぁ」「知っておいた方がいいんだよね、たぶん」などと考え、使うかどうかもわからないのに調べることがありますが、仕事や趣味などでよほど必要でない限りは、やめましょう。ストレスになります。パゴ充でいたいなら、こういうことはきっぱりと捨てて、「必要になったらその時に調べる。頑張る」くらいのスタンスを持ちます。
また、効率的に調べられるスキルを持っておくと便利です。
例:
- Google 検索(検索全般)
- Twitter や Instagram の検索(直近の出来事に対する感想を知りやすい)
- 図書館の使い方
- 詳しい人に尋ねる
- 仕事に詳しい先輩、同僚、他部署の人間
- 周辺地理に詳しい行きつけ定食屋のおばちゃん
コツ3. ニュースは見なくていい
毎日熱心にネットニュースやら新聞やらテレビやらを見る必要はありません。「これくらい知っておかないと」という心理的抵抗が生じるかもしれませんが、知っていたところで何の役にも立ちません。むしろ下手に知ったところで、どうしようもない現実にいちいち一喜一憂するだけです(しかも憂が多い)。教養やら政治やらで遊びたい、イキりたいのでもなければ、あえて見る必要は無い。
そもそも 本当に重要なニュースは嫌でも入ってきます。自分がたまに見ているメディアや普段関わっている人間関係などから自然と目や耳に入ります。
「それだけじゃ不安」というのであれば、仕方ないので、たまに覗きましょう。
例:
- 月に一度の病院待ち時間中に、ニュースサイトを見てみる
- 銭湯や定食屋に行った時に、テレビを見てみる
コツは ダラダラ見てしまわないよう、「時間が来たらおしまい」という状況下でチェックすること です。
コツ4. 自分の意思を尊重する
パゴ充とはその名のとおり、ガラパゴス諸島のように自らを充実させることです。ガラパゴス諸島が外界と交わらずに独自の発展を遂げているように、パゴ充に取り組む人も自分独自の生き方を過ごします。
パゴ充に取り組むと 「他の人と違うことをやっていて不安」「変わり者と言われる」といった心配が生じますが、心配ではなく尊重したい ところです。自分がやりたいこと、自分を満たせることがあるのなら、たとえ他の人と違っていても手を出していきたいところです。
おわりに
パゴ充という概念について紹介してみました。
僕も最近はインプット過多で、振り回されてばかりで、なんとかしたいなぁと思っています。それで今回、パゴ充という概念を考えてみました。進展があればまた取り上げます。