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残業せずに毎日定時で帰るために必要な 10 の考え方や行動

僕は毎日定時で帰りたいのですが、そう簡単にもいかない。というわけで昔からあれこれ試行錯誤してきました。ある程度ポイントがわかってきたので、今回まとめてみました。

1. 無理ゲーからは逃げる

無理ゲーとは「難易度が高すぎてクリアが困難なゲーム」を指す言葉ですが、ここでは 「残業を避けられない環境下」で残業しないことを目指す、という無理難題 を指します。

たとえば(担任と担当教科と部活動を持つ)教員は、どうしても残業が発生します。生徒の時間割と部活顧問を一通り終えた時点で定時を過ぎており、そこから授業資料作成だの採点だのとさらに仕事が続くからです。

また、定時で帰れている職種や会社だからといっても安心はできず、早い話、明らかに仕事量が多ければ、どう頑張っても残業に突入してしまいます。僕の会社の管理職はこのタイプですね。課長以上で毎日定時で帰っている人を、僕は一人として見たことがありません。今まで何百人と見てきたにもかかわらず、です。

このような無理ゲーのもとで努力したところで、残業はなくなりません。 無理ゲーには勝てません。疲弊するだけです

無理ゲーとの付き合い方はただ一つ――潔く逃げることです。場合によっては異動や転職も必要でしょうが、無理ゲーで疲弊するよりははるかにマシです。無理ゲーに費やすくらいなら、次の環境に行くための努力をした方が有意義です。

僕も(転職はまだありませんが)異動は何回もしてきました。元々パラサイトシングルで、ひとりで家事をするなど夢にも思っていませんでしたが、異動以外に無理ゲーを避ける手段がなかったので、(ちょうど東京で要員募集があったこともあり)思い切って上京しました。

ひとり暮らしに慣れるのは大変でしたが、今は定時を勝ち取れています。一方、前の部署にいる人達は今も残業ばかりしているみたいですね。逃げてよかったと思います。

2. 「あいつはああいう奴だ」を目指す

子供の世話が忙しくて毎日定時で返っているシングルマザーさん――

僕は毎日彼女を羨ましく思っていましたが、あれこそが目指すべき姿です。

あの人は残業しない人だ

残業を避けたいなら、周囲からそのように認識されれば良いのです。

ここで「私だけ定時で帰るのも……」「先輩は既にたくさん働いてるのに……」みたいな罪悪感は必要ありません。元々向き不向きや能力や生活事情の差があるわけで、どうしても仕事量の偏りは生じます。残業したくない自分は『仕事量が少ない側の社員』に属することになる――それだけです。そういう奴だと思われるだけです。容認されます。実際、周囲にそういう方が既にいらっしゃるのではないですか。

「残業しない」というと、周囲とバトルするイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうとも限りません。あの人は残業しない人だ――そう思われるだけで定時を勝ち取れるケースもままあります。

3. 定時派であることを主張する

まず大前提として 「残業はイヤだ」「毎日定時で帰りたい」といった価値観を理解できる人は少ない です。ゆえに こちらからしつこく主張しない限り、まず認識してもらえません。そして認識されていないと、平気で仕事をたくさん振られたり、定時後に打ち合わせを入れられたりします。「定時過ぎてるんですが」と言っても「だから何?」でおしまいです。

このようなことを防ぐためには、「私は定時派です」と主張し続ける必要があります。

その際、理由は必要ありません。何が大切かは人それぞれですし、そもそも定時派を理解できない人達には「子供の世話がある」「介護があります」「重たい病気で通院しています」などやむを得ないメジャーな事情でもない限りは、「仕事の方が大事だろ」で一蹴されます。残業が出来ない理由を論じても意味がありません。

必要なのは 残業はしたくない、定時で帰りたい、という継続的な意思表示 です。2. にも通じますが、自分が定時派であるということをしつこく伝えて、認識してもらうことです。

ここで「そんなのわがままだよなぁ……」と渋る気持ちが出るかもしれませんが、問題ありません。定時までは社員の義務ですが、残業は違うからです。強制力はありません。もし会社の規則に『命令が出たら残業しなければならない』旨があったとしても、「その命令(私に残業させる命令)の正当性を感じません」という理屈で抗います。あるいは「こなせる能力や適性がありません」でも良いでしょう(詳しくは 7. で後述します)。

わがままでいいんです。残業してでもバリバリ働きたい人もいれば、毎日定時で帰りたい人もいる。色んな人がいます。多様性です。ダイバーシティです。主張し続ければ、なんだかんだ容認してもらえます。

逆に、主張し続けても容認されない場合はさっさと逃げましょう。そのような環境は 1. の無理ゲーです

4. 昇進や評価は諦める

ストイックな成果主義でもない限り、評価は多かれ少なかれ『上に気に入られるかどうか』 です。

「うちはちゃんと評価基準やルールがあるよ?」

という方もいらっしゃるかもしれませんが、それって機能していますか?自分を評価する上司や、さらにその上の人達が例外なくそれら基準やルールを理解し、適切に運用していますか?そもそも 適切に運用されているかどうかを確かめる術はありますか? ――……ありません。ブラックボックスになっているはずです。

システムやプログラムで全自動で決めるはずもありませんから、最終的には 上が集まって誰を昇進させるかを決めるしかありません。無論、ある程度の能力や要件は考慮されますが、人間ですからね、判断する人達の好みが投影されるのは致し方ありません。

上記の前提を踏まえた上で、では、毎日定時で帰っている者が評価されるかどうかを考えてみましょう。

答えはノーです。評価されません

少なくとも僕は見たことがありません。(狭い観測範囲で恐縮ですが)僕が入社して以来、昇進した人は例外なく残業をしています。しかも人並以上に多い。いずれも優秀な方です。結果も出してます。

一方、毎日定時退社の僕は、いまだに一番下の平社員です。最近は「そこいらの社員だと数人がかりで、残業して苦しんでようやくこなせるレベルの業務」を、毎日定時帰りで遅延なく仕上げたのに、評価されませんでした。効率や生産性といった指標は通じないのです。今、上にいる人達は、そういう人達なのです。

――……もっともこれは僕の観測範囲でしかありませんが、まがいなりにも仕事や勉強会などで色々と見てきた感触では、大体似たようなものだと感じています。

まとめます。

毎日定時帰りだと(上に気に入られないので)昇進できません

つまり頑張っても無駄だということです。というわけで昇進や高評価は諦めましょう。程々に仕事をして、毎日定時で帰ってプライベートを充実させようじゃありませんか。

どうしてもお金が欲しいなら、気に入られるために定時派を捨てるか、あるいは成果主義の会社に転職するしかないでしょう。

5. 仕事をすぐに終わらせない(終わったことを見せない)

締切が一ヶ月後の仕事を一つ抱えているとします。これは二週間くらいで完了できるとします。あなたならどうしますか?

ここで二週間で終わらせて報告するのは悪手です。「こいつはできる奴だ」と誤認されて、二倍の仕事量が降ってきます。そうなると定時退社は叶わなくなります。 定時で帰りたくて効率化しているのに仕事が増える のです。

じゃあどうすればいいのかいうと、(たとえ二週間で終わるとしても)一ヶ月かかったように見せる のがベストです。報告では「計画通りに一ヶ月で終わりそう」「今は二週間経ってますが、進捗は 5 割くらいです」というふうに、上手いこと作文しましょう。よほど「さすがに能力低すぎでしょ」と思われない限り、主張が正当ならば受け入れられます。

もしここで「毎日定時で帰っているね」「もう少し頼みたいことがあるんだけど」と言われたら、2. や 3. を思い出してください。自分は定時派であるということを主張してください。たとえ周囲が残業していようとも、自分だって仕事はしています。なら文句はないはずです。堂々としましょう。

6. コミュニケーションはなるべく避ける

あなたの周囲にこんな人はいませんか?

  • 会議や打ち合わせで仕事した気になっている人
  • 外国人と英語で会話して仕事した気になっている人
  • あちこち色んな人に連絡を取って仕事した気になっている人

無論、彼らも必要だからそうしているわけですが、コミュニケーション自体は手段に過ぎません。そして 人とのコミュニケーションは手間暇がかかることの筆頭です。ゆえに、なるべくコミュニケーションせずに仕事を進められるようにするべきなのですが、このことがわからず、手段に溺れている人が多数いらっしゃいます。

毎日定時で帰りたいのなら、コミュニケーションというコストの大きな作業をいかにして避けるかを考えるべきです。

  • そもそも大量のコミュニケーションが必要な仕事には近づかない
  • お互いに時間を奪われる口頭ではなく、お互いのペースで進められるメールやチャットを使う
  • 会議や打ち合わせは積極的に減らす提案をする
    • 例1. 資料を展開するだけで済みませんか?
    • 例2. 毎週ではなく二週に一度くらいで十分だと思うのですが
  • 会議や打ち合わせはシステマチックに進める
  • 渉外事や調整事は他の人に任せる

どれも重要ですが、ここでは一つ、最後について少し取り上げます。

仕事には多かれ少なかれコミュニケーションが発生しますし、この慌ただしい昨今、渉外や調整といった作業も平然と平社員に降り掛かってきます。僕の周囲でも、みんな他部署の人やらお客さんやらと何度もコミュニケーションを取っています。それだけで何時間取られるか。定時が遠のきます。というか、誰も定時退社できていません。

一方、僕はそのあたりの仕事を他の人に任せてます。というより、僕は「言いたいことを平気で言う」「口調がフランクすぎる」「礼儀がなっていない」というキャラなので、誰も僕をコミュニケーションの場に立たせようとはしません。誰かが肩代わりしてくれます。

つまり、こういうことです。

みんな:

  外 <---> 自分

僕の場合:

  外 <---> 上司やリーダー <----> 自分

おかげで、僕はリーダーや上司と絡むだけで済みます。

「新人でもあるまいし、待遇が甘いのでは」とはそのとおりですが、向いていないのだから仕方ありません。ここで無理に僕にやらせても、トラブルになって返ってくるだけです。実際、僕は今まで何度も迷惑をかけました。明らかに向いてない。

だから今では「過去にこんなことがありました(つまり向いてないのでやらせないでね)」と主張するようにしています。

7. ポテンシャルを申告する・主張する

残業で押し通すことがまかり通る原因の一つは、 なんだかんだそれで解決できてしまう からだと思います。つまり「やればできる」ですね。

しかし、だからといって時間と心身をすり減らすのはたまったものではありません。少なくとも僕はイヤです。そもそも 僕は月 50 時間の残業にも耐えられなかった。(精神面ですが)カウンセリングや病院に通う事態になりました。

「やればできるでしょ」は、他の人はともかく、少なくとも僕には通じません。

だから僕は 「やってもできません」ということを申告・主張する ようにしています。具体的には、

  • 過去にこういうことがありました
  • 僕はこういう人生を歩んできたので、こういう特徴があります
  • 僕は~~を持っていません。普通の人が当たり前に持っているのに、です。なぜかというと……

このように 露悪的なアピールをしています。わざと欠点をさらけ出します。

そもそも定時を超えた仕事量は「まあできるでしょ」と思われているから課されるのであって、逆を言えば「こいつには無理だ」と思われれば課されません。まさにそこを狙います。「無理だ」と思わせる のです。そのための判断材料を、こちらから積極的に提供する、とでも言えばいいでしょうか。

僕の会社はソフトウェア会社です。僕はソフトウェアエンジニアとして、創造的に技術を駆使して物事を解決したいと考えています。しかし実態はシステムエンジニアが大半です。つまり「多くのステークホルダーとのコミュニケーション」や「既に構築されたシステムの保守や改造」といった、つまらない仕事ばかりです。そもそもこれらは 本質的に時間のかかる仕事です。真面目に関われば定時退社は夢のまた夢です。

※別のたとえをするなら、僕は作家として働きたいのであって、編集者として働きたいわけではないということです。

だから僕は近づかないようにしています。また、近寄らせないために、「僕はシステムエンジニアリングに関する仕事には向いてませんよ」ということを日頃からアピールしています。

(余談) 逆に僕はソフトウェアエンジニアリングの方は向いていますよ、こんな特技もありますよ、こんなツールや文書をつくってますよ、といったこともアピールしています。そうやって僕は自分に向いた仕事が引き寄せ、向いていない仕事を遠ざけるようにしています(さらに言えば、たとえ向いた仕事でも明らかに物量が多い、難易度が高すぎるものは避けます)。これは定時退社というより「好きな仕事をする」の話ですが、定時でも 1 日の 1/3 くらいは働いているので、できる限り好きなことをしていたいですよね。

8. クリエイティブな仕事(締切までに成果を出す&手段は自由)を選ぶ

残業を避けられるかどうかのポイントの一つは「仕事を選ぶ」ことだと思います。というのも、仕事自体の性質や制約ゆえに、必然的に残業に突入してしまうケースがあるからです。その典型が 1. でも述べた無理ゲーです。

では、どんな仕事なら毎日定時を実現しやすいかというと、僕は クリエイティブな仕事 だと思います。クリエイティブな仕事とは、ここでは以下二つを満たすものと考えます。

  • (1) 締切までに成果を出せばよい
  • (2) 成果を出すための手段は自由

このような仕事であれば、成果さえできてしまえば、あとはもう(締切までは)自由 です。働いているように見せつつも、勉強やら改善やらで有意義に悠々自適に過ごし、定時になったら帰る――そんな生活が手に入ります。

文句を言われる筋合いはありません。ちゃんと成果は出していますし、そもそも「この期間までのこの成果を出す」という取り決めをしたはずです。成果を出しさえすれば、あとは自由に過ごしていいんです。もちろん、だからといって露骨に遊んでいては悪目立ちしますから、目立たないように、こっそりと。

ここで、

「そんな仕事なんてないよ」

とツッコミが来るかもしれません。たしかに、僕はソフトウェア会社(デスクワークでソフトウェアを扱う)ということもあって、このような仕事はちらほらあるのですが、会社や職種によっては難しいかもしれません。参考までに、クリエイディブな仕事として、たとえば以下があります。

  • 何らかの調査を行い、結果を報告する仕事
  • 何らかの改善を行い、結果を報告する仕事
  • 何らかのものづくり(プログラム、システム、ドキュメント)を行う仕事

9. 手段はできるだけ効率化する

仕事で利用している手段はできるだけ効率化したいところです。

典型的なのはパソコンでしょうか。たとえば、これは実例ですが、ちゃんとメンテナンス・カスタマイズしたパソコンと、何もしていないパソコンとでは 毎日一時間以上もの待ち時間の差が生じます。僕はちゃんとしているので、待ち時間は少ないです。一方、無知な社員さんは、ファイル一つ開くだけで何十秒も待っていたりしていて、本当に見ていて気の毒です。

パソコンの話ばかりで恐縮ですが、もし仕事でパソコンを常用されている方は、真面目に一通り勉強してみることをおすすめします。この先、何十、何百、何千時間とパソコンは触ることになりますが、ここを効率化できれば相当の時間を節約できます。また、待つというイライラも減るのでストレスも減ります。

行動として以下が挙げられます。

  • パソコンのカスタマイズ方法を学ぶ
    • 例1. Windows はこんな仕組みになっている……
    • 例2. この設定は、ここから変えることができる……
  • 便利なツールは積極的に試す
  • タスク管理など仕事術を学ぶ、また術を運用するためのツールも学ぶ
  • 可能ならプログラミングも学び、作業の自動化をする

10. 必要なことだけをする(今やらなくてもいいことはやらない)

仕事は多数の手順から成りますが、そのすべてが必要とは限りません。

今も手順もとりあえず疑ってみて、不要なものはどんどん省くことが大事です。この視点を日常的に取り入れるかどうかも、定時で帰れるかどうかの分かれ道になると僕は思います。

一つ例を挙げます。

自社で製作したソフトウェアの紹介ページ文言をつくる仕事をしているとします。文言をつくった後は、有識者にレビューをしてもらう手順になっていますが、今までは Word でキレイに見た目を整えてから見てもらっていました。

でもこれ、非効率的ですよね。見た目を整えるのは文言が完成した後でいいはずです

まずは文言だけをレビューしてもらうべきです。それこそテキストファイルで構いません。そうすれば資料作成も文言を書く分だけで済みます。見た目を整える分の作業は要りません。もしやり直しが入ったとしても、また文言を直すだけです。 見た目を整えるコストはありません

そして、文言でオーケーが出たら、今度は見た目を整えればいいのです。

――……別の例を言えば漫画家と編集者ですね。 ネームを提出する際、いきなり完成原稿で出すことはしないと思います。ネームはラフに描きますよね。それと同じです。ですが、仕事になると、盲目的に完成原稿を作ろうとする人の何と多いことか。

このようにして、不要な手順は省いていくと、仕事にかかる時間を減らせます。ごっそり減らせることも多いです。というのも、仕事のやり方というものは大体が(特に古くから存在している組織だと) 『定時退社という意識が皆無な、昔の人達』がつくったもの だからです。無駄がたくさんあります。

盲目的にならず、削れるポイントがないか常に注目してみましょう。

おわりに

残業せずに毎日定時で帰るためのポイントを 10 個ほど挙げてみました。

色々と面倒くさいですが、まだまだ残業前提(というより時間に対する意識が甘い)な価値観が圧倒的に多数派です。これくらい露骨な考え方や行動をしなければ勝ち取れません。

本当に残業がイヤで、毎日定時退社したいのならば、妥協せずに行動していきましょう。無理ゲーさえ回避すれば、意外と勝ち取れるものです。ただし、4. でも挙げたように、出世コースから外れるなどデメリットもあることはご注意ください。

ではまた。

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今回は取り上げませんでしたが、タスク管理も重要だと思っています。言うなればたくさんの「やること」を漏れなく、必要なタイミングで、必要最小限に実施するシステムです。

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記事中にて「人とのコミュニケーションは手間暇がかかることの筆頭」と書きましたが、以下記事はその理由(僕にとってなぜ苦労するのか)の一つをまとめたものです。

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