「ミニマリストという生き方」を読んで。結局ミニマリズムとは何なのか
ミニマリズムについて知りたくて「ミニマリストという生き方」を読みました。総評はまあまあ満足です。ミニマリズムについて理解が深まったと思います。同時に、自分にとってミニマリズムとは何なのかを考える機会にもなりました。
- 読んだ本
- ミニマリズムとは何なのか
- ミニマリズムとは何か ~著者の定義~
- ミニマリズムとは何か ~僕の定義~
- 本書に向いている人・向いていない人
- 本書に登場したインタビュー対象者のアカウント
- おわりに
読んだ本
- 作者: 辰巳渚
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2016/02/12
- メディア: 単行本
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ミニマリストという生き方(辰巳 渚)
ミニマリズムとは何なのか
Ans: ヒントを散りばめたので、自分で探してください。
本書を読んで思ったのは「ミニマリズムって哲学なんだな」でしたね。
明確な定義があるわけではない。考案者が「ミニマリズムとは●●だ!」と言って広めたわけでもない。まして片付け術のような理論や方法論が確立されているわけでもない――
本書ではアメリカがルーツと簡単に紹介しているだけで、メインコンテンツはミニマリスト6人へのインタビュー(+筆者自身の認識)です。その上で、著者は「ミニマリズムは脱近代の現象だ」と捉え、従来のライフスタイルがどう変化しているのか、またミニマリズム的にはどのように向き合っていくのかという一種の提案をまとめています。
つまり、 ハッキリとした答えは示されません。
しかしながら、 ミニマリストたちに共通する考え方やものの見方は確かにあって、本書でも散りばめられています。そこがミニマリズムのコアなのでしょう。
ミニマリズムについて知りたければ、それらコアを読み(あるいは何がコアなのかを判断し)、自分なりに咀嚼するしかありません。そういう意味で、哲学なのかなぁと僕は思いました。
ミニマリズムとは何か ~著者の定義~
著者、辰巳渚さんの認識はこうです。
ミニマリストについては、
モノを減らすことを通して、人生に漕ぎ出す準備をしている人……(中略)……つまり、手段を生きている人である。いわば「泳ぎ方を覚えている人」のようなもの
ミニマリズムについては、
片づけの見かけを取ったマインドフルネス
ちなみに「マインドフルネス」とは、『”今ここ”にただ集中している心のあり方』だそうです。詳しくは以下を。
つまり、ミニマリズムとは モノを減らすというアプローチでマインドフルネスを探求すること であり、ミニマリズムに(意識的にせよ無意識にせよ)取り組んでいる人のことをミニマリストと呼ぶ……とでも言えそうですかね。
ミニマリズムとは何か ~僕の定義~
本書を読んだ上での、僕の定義です。
まず 人生は選択の連続である を前提とした上で、
ミニマリズムとは、己の人生を充実させるために、人生における選択肢(特に所持品の存在に起因するもの)をごっそり減らすことで選択に要する負担を減らすライフスタイルのこと。
こういうことかなと思いました。
モノには選択肢がつきまといます。 モノがあればあるほど使用、メンテナンス、掃除、移動、破棄といった手間 がありますし、また 「いつやろうか」といった判断や意識もたびたび発生します。無自覚な方も多いようですが、うっとうしいんですよね。モノが存在していること自体が、その時その時における選択肢を増やす要因になってしまっている。
そこで、ミニマリズムでは大胆にも (選択肢を増やしている原因たる)モノ自体をなくしてしまえ という考え方をします。もちろん、あらゆるモノをなくすと生きていけませんし、譲れないモノもあるでしょうから、何を捨てるかは吟味が必要です。それはすなわち 「自分にとって本当に大切なことは何か」という自問自答 をするとも言えます。
何が大切かは人それぞれです。本書のインタビュー対象者を見ても、「ただの清潔でおしゃれな部屋じゃん」という部屋から、「引っ越し10分くらいで済みそう」という部屋まで様々でした。また、全員自炊をされるようですが、僕は自炊はしないのでそういう系の道具は置いてませんし、本書を読んでも自炊する気にはなれません。
それでいいのだと思います。自分にとって ですから。
ちなみに、ミニマリズムはプア充にも似ていると思いました。
stressfree-fulfilling-solo.hatenablog.com
プア充は「モノを減らす」よりも「年収300万」に焦点を充てた生き方ですが、ミニマリズムは「モノ」に、プア充は「高収入」に目を向け、削減あるいは根絶しようとします。いずれにせよ、 従来では当たり前とされてきた依存に対するアンチテーゼ とでも言えるでしょうか。
本書に向いている人・向いていない人
僕が思う「本書を読むのに向いている人・向いていない人」を簡単にまとめてみました。
本書に向いている人
本書に向いてない人
- ミニマリズムとは何か、という厳密な定義を欲している方
- 自分で考えるのとかだるい!はっきりした結論が欲しい!という方
- ミニマリズムに関する詳しい歴史について知りたい方
- ミニマリストが取り組んでいる具体的な片づけ術について知りたい方
本書に登場したインタビュー対象者のアカウント
最後に、本書に登場したインタビュー対象者のアカウントを紹介して終わりたいと思います。
ちなみに五組中、四組。詳しい紹介は本書に委ねるとして、リンクだけ貼っておきます。
小島よしおさん
https://twitter.com/yoshiopiiya
おふみさん
ただし上記ブログは今年11月14日で終了(食べ物に関する絵日記として続けるそうです)し、以下ライブドアブログに移転するそうです。
肘さん
みどりさん
おわりに
ミニマリズムについて自分なりに考えてみたくなる一冊でした。
Amazon でレビューするとしたら、4か5を付けますかね。まあまあ高評価です。たぶん僕が元々ミニマリズム的な暮らし(モノの少なさというより取捨選択についてストイックなところ)をしているのと、こういう「自分であれこれ咀嚼する余地がある」ネタが好き、というのもあると思いますが。
ともあれ、内容は人を選ぶ本ではありますが、刺さる人には刺さるので、気になった方はぜひ。