ライフハック勉強会@渋谷編に参加してきました
ライフハック心理学でお馴染みの佐々木正悟さん主催「ライフハック勉強会(渋谷編)」に参加してきたので、レポートを書きます。1.6万文字くらいでお届けします(長すぎィ!
- はじめに
- 受付完了まで
- 15:50 受付完了
- 16:00 開始
- 16:05 佐々木さんのターン
- 16:15 やままさんのターン
- 16:45 佐々木さんのターン
- 17:30 Tak.さんのターン
- 18:03 クロージング
- おわりに
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はじめに
今回の勉強会に関する情報と、本記事の前提について。
出典: 11月17日 ライフハック勉強会02@渋谷編(東京都)
勉強会について
事前情報はこちらです。
最初はその名のとおりライフハックがテーマだったらしいのですが、急遽出版記念イベントになったそうです。引用しておくと、
11-17(土)の「ライフハック勉強会」を緊急に『やめられなくなる、小さな習慣』の出版記念イベントとさせていただきます。
記念イベントというと勉強会というよりは懇親会というイメージなのですが、告知文曰く、きちんと勉強会コンテンツも用意されている模様。「習慣化」をテーマに、以下が語られます。
- 佐々木さん:「習慣化の連鎖反応」で効果大だったと思われるもの全てについて
- Tak. さん:アウトライナーを使う習慣 or アウトライナーを使ってどんなことをどのように習慣化しているか
- やままさん:アクセスアップするようにブログを書く習慣として効果がある方法
Tak.さん と やままさん はスペシャルゲストです。Tak.さんはアウトライナー本を 3 冊出されているアウトライナーマスターで、やままさんは月間 10 万PVのブロガーさん。
本記事の書き方について
日記みたいに時系列で長々と書きたいと思います。
最初は端的にまとめようと思いましたが、書きたいことが多数あって、観点Aでまとめると観点Bが書けない……というふうに葛藤が生じてしまい。だったらもう全部入れてしまえ、と開き直ることにしました。
本記事の内容について
内容としましては「とある ライフハック勉強会 の、 習慣をテーマにした回 に関する内容まとめと所感」といったテイストになります。
まとめも所感も、僕の主観で書きます。一応補足などは加えてわかりやすく書いたつもりではいますが、人によっては(特にライフハックやタスク管理についてご存知なければ)「難しすぎる」と感じるかもしれません。また、既に詳しい人にとっては逆に「簡単すぎてつまらない」かもしれません。
この点につきましては、内容をお読みいただいて「おおよそのレベル感」や「僕が見ている視点」などを判断いただければと。
想定読者
想定する読者さんについては、以下のとおり。
- (1) 何らかの情報収集を目的としている方
適当に拾い読みしていただければと思います。
- (2) 日記という読み物を楽しみたい方
一から読んでいただければ。ただし長いので覚悟してください(苦笑
受付完了まで
では早速、ここからはひたすら書き殴っていきます。
15:30 渋谷駅到着
渋谷駅と言えば「ダンジョン駅」の一つで、僕は久しぶり(前回は何年も前なので実質はじめてに等しい)に来ました。印象としては キレイに、かつ親切に整っているな ですね。周辺地図も、案内板も、数が多い上に、大きい表示で見やすく、以下を発動することなく(意訳:人に訊くまでもなく)出れました。
stressfree-fulfilling-solo.hatenablog.com
ただ、地下深かったので結構歩きましたね。毎日通勤していればこれだけで運動になるんじゃないでしょうか。
15:40 会場到着
渋谷駅周辺は迷う自信しかありませんでしたが、 宮益坂を登った先 というわかりやすい場所にあったので助かりました。要するにでっかい交差点の、坂道になっている方をひたすら進めばいいだけですから。
会場ビルに到着。ごく普通の雑居ビルです。
会場の 3F に行きます。既に空いてたので入場。
佐々木さんと Tak. さんがいらっしゃってました。挨拶します。僕が一番乗りのようです。お名前を訊かれたので、登録しておいた名前で答えておきました。特に名簿などはなく、口頭確認で済むようです。
座席は自由。適当に陣取って、僕は持参した MacBookAir を立ち上げます。飲料よし、糖分補給用のアメよし。今日はガチです。ひたすらメモをする所存です。
15:50 受付完了
実は受付は完了していませんでした。名簿を持った女性スタッフの方に声をかけられ、もう一度名前を答えます。
それからもぼちぼち人が集まり始めます。僕はメモ環境を整えるために MacBookAir とにらめっこしてました。
16:00 開始
始まりました。
参加者は 7 人くらい。
運営陣は 佐々木さん と、スペシャルゲストとして Tak.さん と やままさん の 3 名。ネット上で何度もお見かけしている方々が目の前にいらっしゃるというのが中々に非現実的で、僕は今まで何かのファンになったことはないのですが、ファンが本人を前にテンションマックスになる気持ちはこんな感じなのかなと思いながら、高ぶる気持ちを自制していました。
※(余談) 僕はタスク管理とブログが趣味で、御三方のアカウントは元々見ていました。そこでちょうど勉強会告知があったので、「一度参加してみたかったし参加してみるか」と思って参加したのが今回の経緯です
あと、発表者ではありませんでしたが、女性が 1 名。先ほどの名簿の方ですね。実はずっと気になっていたのですが、僕がふと思い浮かんだのが、 Taskuma 作者の Sayaka Tomi さんではないか、ということでした。あの TaskChute スマホ版のデファクトスタンダードになっているたすくまの作者さん。僕はエンジニアということもあって、ツール開発者に目がないところがありまして、僕にとってはものすごいビッグネームなのです。 TaskChute の大橋さん、 TaskChute Cloud の jMatsuzaki さん、そして Taskuma ことたすくまの Sayaka Tomi さん。TaskChute 界隈のビッグスリーですよ。まさかこんなところでお会いできるとは……しかし、確証はなかったので、訊くのは控えておきました。
会場としては、 25 人くらい詰め込める中規模会議室に 12 人くらい、でしたかね(数えてないので正確な人数はうろ覚え)。席も広く、僕はテーブル一つを占有できてました。快適です。
16:05 佐々木さんのターン
佐々木さんの自己紹介から始まりました。
出版本について
累計出版冊数は 50 冊以上。ものすごいお方です。僕は (両の手で数え切れる程度しか売れてない)130 ページくらいの電子書籍 を一冊書いただけですが、それだけでも大変でした。50 冊……気が遠くなる数字です。
過去出版した本について、簡単なコメントがありました。曰く、
- 時期によってトレンドは異なる
- (タスク管理本が並んでいる画面を指さして)この時期はタスク管理がトレンドだったのでタスク管理本が多い
- ちなみに タスク管理はもうオワコン
マジかよ……。僕は タスク管理に恋してる とかいうふざけた名前のブログをつくるほどにはタスク管理が好きなのですが、なるほど、どおりでタスク管理本が少ないわけだ。内心一人で悲しんでました。
自己紹介の後は、参加者からの質問(の一部)をピックアップし、簡単に答えていきます。
質問1. 起きてやりたかったことは何?
これは本勉強会(『やめられなくなる、小さな習慣』の出版記念イベント)の前提である同書を読んでいること前提の質問でした。(ちなみに僕は勉強会のつもりで参加したので読んでません)
なんでも「必ずやるリスト」という、「これだけは毎日絶対にやれ」を指示したリストなるものがあるようで、その一環として「朝起きてからすぐに何をやるか」という観点があるようです(読んでないので推測です)。
うろ覚えですが、そこから「朝起きてから何をやりたいか」という話になって、その答えとして質問者さんの回答と佐々木さんの回答の二つが展開されました。
質問者さんは会社員の方で、「朝はゆっくり過ごしたい」とのこと。(これは佐々木さんが質問者さんに尋ねていました)
佐々木さんは「最近は本を読むか散歩。昔はいきなり仕事をしていたこともある」とのことでした。
ちなみに僕は「朝は頭がフレッシュなのでいきなり創作(ブログやらプログラミングやら)したい」派ですね。今も実際にやってます。会社に行く前の一時間くらいで毎日あれこれ書いてます。これがしたいがために朝食を効率化しているほどです。
stressfree-fulfilling-solo.hatenablog.com
たった二例でしたが、人によって違うんだなあと興味深かったです。
質問2. スマホを持っている生活ってどんな感じ?
これは僕の質問でした。
非常に漠然とした質問で申し訳なかったのですが、僕はスマホを持っていないので「スマホがある生活」について聞いてみたかったんですよね。
漠然として質問にもかかわず、佐々木さんはちゃんと回答してくれました。しかも僕が一番知りたかった「 タスク管理にどっぷり浸かっているという前提における、スマホがある生活について」という、ニュアンスのところもちゃんと汲み取ってもらえたという。的確すぎてビックリしていました。
さて、回答ですが、佐々木さん曰く、
「今やっていることの半分くらいはスマホ」
なんだとか。昔はタスクを紙にも書き出したり、 check*pad を使っていた時期もあるようでしたが、大変だったと。紙に書くのは当然手間がかかりますし、check*pad はデジタルツールですが、これだけですべてのタスクを管理することはできず、どうしてもタスクの管理先が分散してしまう(複数のツールを行ったり来たりするハメになる)、と。
それがたすくまの出現により一変。iPhone 一台に集約できるようになった。おかげで日常生活におけるタスク(やること)をすべてインプットし、整理し、ここを見るだけで、いつ何をやればいいという制御つまりはタスク管理を「現実的な手間で」実現できるようになったと。
スマホは(もっというとたすくまは)それだけ偉大だってことですね。
話は変わりますが、佐々木さんからは僕と同じ臭い(効率化に余念がない、非効率的なことはストレスフルで耐えられない)がしました。その佐々木さんが、スマホに頼っているという事実。僕はスマホはストレスフルだと思っていて、手を出していないのですが、佐々木さんのような方が頼っているとなれば話は別。 ストレスフリーなポータブルタスク管理ツールになりえるポテンシャルがある ということです。そして、それは 少なくとも佐々木さんが証明している。スマホを買う動機が一つ増えました。ありがとうございます。
まだ開始 10 分ですが、僕はホクホクしていました。この点がわかっただけでも参加した価値がありました。
16:15 やままさんのターン
言いたいことやまやまです のやままさんです。はてなブログで 9~10 万 PV /月を叩き出している凄いお方です。
実は僕が最近始めたこのブログは、やままさんをかなり参考にしています。特に「このブログについて」の案内ページの内容は正直 パク ものすごく参考になりました。ありがとうございます。
さて、やままさんの話ですが、この凄いブログがどうやって実現されているのか、ということがたっぷり語られました。
執筆時間
毎日一時間くらい書いているそうです。時間帯は 20 ~ 22 時あたり。
一時間で一記事……速いですね。ブログをやっているとわかるのですが、記事執筆って平気で数時間かかりますからね。一時間で一本書ける秘訣はどこにあるのでしょうか。
秘訣1. 仕事
ブログを書きたいがために、早く帰れる仕事に転職したそうです。
大事だと思います。よくあるのが、時間捻出をするために「そもそも残業三昧な居場所でなんとか頑張ろうとする」ことなんですが、無理ゲーは無理ゲーです。無理ゲーに挑んでも消耗して結局諦めるだけなので、だったらさっさと居場所を変えてしまおうという話です。僕もほとんど定時退社ですが、無理ゲーには近寄らず、近寄らせず、を頑なに通しています。
秘訣2. 写真の加工
やままさんのメインコンテンツは食レポ(現在は雑記ブログという位置づけです)なのですが、食レポには写真が必要です。
この写真が、ブログでは地味に時間かかる存在なんですよね。撮影して、データを取り込んで、加工もして、ブログにアップロードして……と手間です。僕も最近このブログを始めてて、写真には苦戦してます。記事だけだと 15 分で書けても、画像のせいでさらに 15 分増えるとかざらです。
で、やままさんがこの部分をどうしているかというと、 電車移動中などにスマホで画像編集や(ブログへの)アップロードまで済ませてしまう のだそう。
……スマホ、やはり便利なんですね。移動時間を有効活用していて羨ましい。
反面、僕はデジカメで写真を撮って、自宅のパソコンに SD カードを差して……とやっています。電車では(せめて無駄にしないようにと)あまり読みたくもない本を読んで過ごしたりしています。ブログ更新に使えるなら使いたい。でもスマホ持ってないですし、パソコンは広げられないし、 小池スタイル は僕には合いませんし。
この差、大きいなと感じました。スマホを買う動機がまた一つ増えました。ありがとうございます。
とりあえず溜める
秘訣の話は終わりにして、やままさんが心がけているポイントの話に戻ります。
やままさんは写真はとりあえず撮るし、思いついたことはとりあえずメモするのだそう。溜めてさえいれば、あとで使えます。当たり前のことですが、やはり大切なんだなと改めて思いました。
ちなみにメモはたすくまで取っているそうです。たすくまは写真も入れることができて、ライフログみたく使うこともできるんだとか。たすくまさん、最強じゃないですか。スマホを買う動機がまた一つ(以下略
SNS でこまめに活動する
やままさんのアクセスアップ戦略は SNS でした。
ブログを更新したら Facebook や Twitter にも書き込みます。ただし書き込むのは 翌日の朝 だそうです。書き込む時には「要点」を箇条書きするようにします。そうすることで読者が「どんな記事なんだろ → なるほど大体そんな感じの記事なのか」と内容にあたりをつけやすくなり、読むハードルが減ります。実際、運営陣の一人、Tak. さんは「今(要点を箇条書きするようになってから)の方が読む率が高くになった」とコメントされていました。僕も パクろ 参考にさせていただこうかしら。
Facebook では何十という購読者がいるようです。元々は知り合いのみが 10~20 人程度でしたが、今は数倍以上。見た感じ、Facebook をかなり使われている方でした。そういえば プロフィールにも Facebook が好き と書いてありましたね。
ですが、僕は疑問を抱いていました。
僕のブログはここ二日で読者数が一気に 35 人以上増えましたが、アクセス数は 50PV/日 もありません。SNS は「コアなユーザーさん」は増えても、PV はあまり増えないと僕は感じています。
でもやままさんは 10 万 PV。このカラクリはどこにあるんだ……。
間もなく明かされます。曰く、
- 「はてなブログで気になった人のブログにはコメントを残している」
- そうやって交流が生まれる。つながっていく
- ブログでつながった人が、自分のブログを紹介してくれる
- その中には読者数 1000 人超えのブロガーさんも
なるほど。 影響力の強い方に取り上げてもらう ということか(詳しくは後述しますが、もっと言えばそうやって検索流入に強くするということですね)!氷解しました。そして、そのような機会を手に入れるためにも、地道な活動が必要なのだと。
ただ、やままさんは本当にブログを楽しく運営していらっしゃる印象があって、それゆえに多数の人とも繋がれるんだなあと僕は思います。安直にリターンを狙うために損得勘定で足跡を残しているのではなく、本心から楽しんでいる。その結果、自然と人が集まっている……とでも言えばいいのでしょうか。
大切なことなのかもしれません。流行ってるブロガーさんも口を揃えて「ブログ書くことを楽しめ」と言いますしね。
数字の話
終盤ではアクセス数やコンバーション率といった生々しいデータも登場しました。
やままさんのブログのアクセス傾向ですが、Google と Yahoo からの検索流入が圧倒的に多かった ですね。どれくらいかというと、1位を100としたら、
という感じでした。やはり検索流入は大事なのですね。
あと「Yahoo! が Google の 1/2 も占めている」のも地味に凄いと思います。検索エンジンのシェアは圧倒的に Google なので、普通は 1/10 以下だと思いますし、 僕の一番古いブログ stamemo でもそんな感じです。読者層が違うのでしょうかね。(ちなみに僕の左記ブログは技術ブログなので IT 従事者のアクセスがメインと考えられます)
ふと、「いつからブログ始めてるのかな」と気になり、調べてみたところ、 2014年の4月4日でした 。4.5 年は継続されているのですね。ちなみに当時のはてなスターは 4 つ。直近では平気で 30 個以上を叩き出しているので、継続は力なりなのだと思います。僕も頑張ります。
16:45 佐々木さんのターン
再び佐々木さんのターン。今度は司会者としてではなくプレゼンターです。
内容は習慣について。募集サイトから引用すると、
私がこれまでに「習慣化の連鎖反応」で効果大だったと思われるもの全てについて、記憶のかぎりお話しします。
とのことです。
僕はタスク管理はある程度たしなんでいますが、習慣についてはノータッチです。新しいことが知れたらな、とワクワクしながら望みます。
話1. 報酬があれば習慣は続く
習慣を守ることで「自分を満足させる報酬」が得られるなら、習慣は自然と続きます。というより、報酬を得るために続けようとします。
この報酬は人それぞれです。
ちなみに、やままさんは「たくさんの人に見てもらえること」、Tak. さんは「アウトライナーという自分の好きな手段ですべてを管理することの気持ち良さ」、佐々木さんは「タスク管理ツールに入れている予定のとおりに日々を過ごすことの気持ちよさ」でした。
話2. 持続できない予定を組むと習慣は続かない
ここは TaskChute(あるいはたすくま)について知っていないとわからない話なので、まず簡単に説明しておくと、TaskChute では「今日一日」について、いつ、どのタスクを、どの順番で、各々何分かけて行うか、という計画をすべて洗い出します。洗い出した後で、そのとおりに行動する――という使い方をします。言うなれば毎日毎日、「今日やることリスト」をつくった上で、それを全部上から消化していく、という感じですね。
で、習慣化というのは、TaskChute を使う場合は「習慣化したいことを TaskChute に登録する」ことにほかなりません。たとえば夜9時に寝て朝5時に起きる習慣を実現したいなら、TaskChute 上で「朝5時に起きて夜9時に寝るような予定」を毎日立てるのです。
……以上が前提知識です。
この前提で、佐々木さんは習慣化できる場合とできない場合の差が一つある、と説明します。それが 自分が組んだ予定を持続できるかどうか です。
初心者の方にありがちなのですが、とりあえず自分が考える理想の予定を立てようとするんですよね。それこそ、朝5時に起きて夜9時に寝る習慣を手に入れたい場合、いきなり「5:00 起床する」とか「21:00 就寝する」みたいなタスクを入れようとします。でもこれ、まず間違いなく続きません。 いきなり理想の予定を立てて、そのとおりに動けるなら苦労はしません。
習慣を続けるためには、自分が持続できる予定 を組む必要があります。そして、ここからが肝心なのですが、どこまでなら持続できるかということは「推測」や「想像」ではわかりません。
これを把握する唯一の方法は、実際にやったことを記録すること です。19:00 に帰宅して、19:02 から 19:08 まで風呂掃除をして、19:10 から 19:32 まで買い出しをして、19:33 から 20:11 までご飯をつくって……というふうに、自分の行動を TaskChute に記録していきます。
記録することで 実際に自分を取り巻く事情 が可視化されます。たとえば「いつも帰るのが遅いけど木曜日だけはかなり早く帰れているな」といったことがわかります(木曜日以外は帰るのが遅いという事情)。そうすると、「じゃあ毎週木曜日だけ寝る時間と早めてみるか」「次の日の起きる時間を早めてみるか」といった改善ができます。これは、自分が持続できそうな予定 です。ただの妄想ではなく、実際の自分の行動ログ(もっというとそこから可視化された事情)に基づいた、現実的な計画です。成功する可能性は、少なくともいきなり理想の予定を立てるよりははるかに高い。
このようにして記録 → 見返す → 改善のサイクルを回していきます。そうすれば「自分のポテンシャル」と「自分を取り巻く制約」を把握でき、その範囲内で――つまり持続可能な範囲内で習慣を盛り込むことができます。
……――佐々木さんは、こういうことを仰っていたのかなと僕は理解しました。
余談
ちなみに、「理想の予定を立ててみて、そこに近づけるように精進する」というアプローチもありますが、佐々木さんはこれを「自分とは正反対」だと仰っていました。
佐々木さんのやり方では、あくまでも 自分のポテンシャルと事情の範囲内で をベースにします。「ポテンシャルは底上げすればいい」「事情はなんとかして対処(根本から改善する)すればいい」ではないのです。それができるなら苦労はしないのですから。
言うなれば、佐々木さんは自分の手札を把握した上で最適解を考える守備的なアプローチ。一方、正反対と評された底上げと対処の方は、自分をパワーアップさせる攻撃的なアプローチとでも言えるでしょう。
佐々木さんの習慣化例
後半は佐々木さんが実際に取り組んできた習慣化についてのお話しでした。
ざっくり書くと、まず背景や契機として、
- 子どもが生まれるので年収を上げたい
- しかし子どもが生まれると、今より仕事時間が減るのは明らか
- どうやったら仕事を増やせるか
がありました。
※(補足) 佐々木さんは作家なので、仕事時間(執筆時間)を増やせば収入が上がります。
で、佐々木さんはこれを実現するために、
- 自分が現在取り組んでいる習慣を見直す
というアプローチを取っています。
データ(行動ログ)はたすくまに全部入っています。さすがはタスク管理にもお詳しい佐々木さん、既に「朝起きたらこれをして、これをして、これをする」「この時間はこれをする」といったタスクがびっちりと管理されていました。言うなれば多数の習慣が機能しているわけですね。
問題は、このままだと仕事を増やせず年収を上げられないということです。さらに子どもが生まれたら、今安定しているこれら習慣たちも相当乱れるはずです。こんな状況で、仕事を増やすにはどうすればいいか。
佐々木さんは毎日毎日データを取りました。ある程度過ごしてくると、新しい習慣が固定化してきます。たとえばこの時間帯は子どもの面倒を見なきゃいけないとか、この時間帯は家事をしなきゃいけないとか、そういうことです。
データが溜まってきたところで、改めて眺めます。増やせそうな隙を見出します。もっというと既存の習慣を変えたり、新しい習慣を入れたりします。
結局、佐々木さんが取った行動は、
- Before) 夜遅くまで起きていた
- After) 子どもと添い寝するタイミング(午後 8 時というレベルで早い)で、もう寝てしまい、朝早く起きる
でした。Before だと夜だから集中力も落ちていますし、妻もいるから集中しづらいです。しかし After で、夜の分を早朝に回すと、妻と子どもは寝ている(邪魔されない)ので仕事に集中できます。
※(補足) 執筆をはじめ、クリエイティブな仕事は「集中」が必要不可欠です。集中できるかどうかで仕事の効率も、結果の質も何倍何十倍と変わってきます。そして家族という存在は、親しくて遠慮がない上に、たいていはそんなクリエイターの事情など知りませんから、容赦なく割り込んできます。集中しづらいのです。
ここで「夜 8 時に寝ることが許されるのか」と思うかもしれませんが、佐々木さんの場合は問題ないのです。フリーランスなので執筆タイミングに制約はありませんし、またこれが一番重要らしいのですが 自分が子どもを寝かせた方が妻の機嫌が良い からです。妻が子どもを寝かせると、妻は機嫌が悪くなります。あたられると仕事にも集中できません。なので、そうならないようにしているのです。佐々木さんの事情では、妻の機嫌を取ることは、集中を確保することに繋がるのです。
……――僕は独り者なので妻帯者の苦労はわかりませんが、「自分のデータに基づいて、持続可能な範囲で習慣を変える」ということはわかりました。いやはや、TaskChute は記録が大事といいますが、その理由の一つがわかった気がします。
17:30 Tak.さんのターン
最後は Tak. さんです。
テーマは「情報発信のためのアウトライナーと習慣」。急遽、テーマが「習慣」になったとのことであたふたされていたようですが、僕としては Tak. さんのアウトライナーについて知りたかったので気になりませんでした。むしろありがとうございますでした。
(余談) アウトライナーとは何か
前提知識としてまとめておきます。
アウトライナーとはアウトラインプロセッサーとも呼ばれ、アウトライン(見出しと目次)単位で文章を操作するという文章操作術およびそのようなツールのことです。
アウトラインがない文書だと、特に長文の場合は文章がずらりと並んで、扱いづらいですよね。たとえば10万文字の小説をテキストファイル一つで管理しようとなると、相当大変じゃないですか。
しかしアウトラインを使うと、見出しをつけて階層構造化できます。「章」や「節」をつけるということです。そうすれば章単位、節単位で「次(前)の見出しにジャンプする」ことができたり、並べ替えたり、折りたたんでコンパクト表示にしたり、と色々できます。扱いが相当楽になります。また、目次として見出しだけが表示されているので、これを見れば全体構造もわかりやすい。もちろん、目次から特定の見出しにジャンプすることもできます。
アウトラインは、もっと一般的な使い方ができます。章や節にこだわらなくてもいいということです。たとえば章にあたる大見出しを「月」、節にあたる中見出しを「日」にすれば、日記を書くことができます。「この日の内容が見たい」時も、見たい日の中見出しを開くだけです。
つまりアウトラインとは、見出しという「文章のかたまり」を適宜つくることで、見出し単位で文書を扱えるようにする技術のことです。で、アウトライナーはアウトラインを実現するツールです。
Tak.さんのアウトライナーライフ
Tak.さんはアウトライナーを使うという習慣を確立されていました。
Tak.さんは何でもかんでもアウトライナーで管理されているそうです。利用ツールは Dynalist で、以下のような構造になっています。
- Days(今日クリアにすること)
- 2018/11/01
- ……
- 2018/11/17
- 2018/11/18
- ★ここに 11/18 のタスクと、その日に思いついたメモをすべて入れる
- ...
- ...
- 2018/10
- 2018/09
- ……
- All(行動面でクリアにすること)
- BE(重要なこと 外面)
- AS(重要なこと 内面)
- WordPirce(文章の断片)
Days 以外の中身はわかりませんでしたが、本当にアウトライナーに集約されていました。
一見すると「箇条書きしか書けないのか。長文の文章はどうするんだ?」と思えますし、実際僕はそう思いましたが、Dynalist には Zoom という「箇条書きの箇条一つに長文を登録する」的な機能があるそうです。ある箇条をズームすれば、長文編集エリアが開く。ここに長文を書いておけば、その箇条に対して長文を保存しておける、というわけです。実質、あらゆる文章を構造化できることになります。
もう一つ、Tak.さんは「その日に思いついたメモ」は「▼このように先頭に逆三角を付けてメモする」そうです。そうすれば あとで "▼" で検索することでメモを見返せます。その日は「どう対処すればいいかわからずメモしておいたこと」でも、あとになって見返すと対処できたりします。見返すことは重要です。
つまりTak.さんは「アウトラインベースで毎日タスク管理する」「タスクを消化しつつ、気になったことは全部書きだしておく」「書き出したことは あとになって見返す ので流れる心配はない」ということでしょうか。上手くできたシステムだと思います。
僕としては「見返す頻度はいつか」「見返すという行為自体を忘れてしまわないか」といった質問がありましたが、メモに夢中で訊くの忘れてました。ちょっと心残り。
シェイク
アウトライナーにおいて最も重要なのは シェイク という概念です。
これは一言で言えば アウトライナーでトップダウンとボトムアップを行き来する ということです。
そもそもアウトライナーを用いて文章を作り上げるプロセスにはトップダウンとボトムアップがあります。
シェイクとは、この二つのやり方を交互に使うことです。もっと言うと、とりあえずトップダウンでやってみて、いったん詰まったからボトムアップでやってみて、あ、また何かひらめいたからちょっとやってみようとトップダウンでやってみて……というふうに、トップダウンで生み出したネタをインプットにボトムアップを、あるいは ボトムアップで生み出したネタをインプットにトップダウンを 行う、ということです。
要するにアウトラインにどんどんインプットしつつ、適宜これを見返してさらにヒントを得ては、またアウトプットしていく、ということですね。「そんなの当たり前じゃないか」と思われるかもしれないが、これを実現するのは存外難しいものです。 アウトライナーという階層構造で見出しを扱えるシステムだからこそ、簡単にできる のです。
……――アウトライナーやべえ。
僕も普段からアウトラインは多用しており、たとえばこんなことをしていたりしますが、
反応が薄くて寂しい思いをしていました。また「俺は間違っているのかっ!?」と疑心暗鬼でした。しかし、Tak. さんという同志(僕如きが同志を語るのはおこがましいですが)がいらっしゃった!アウトラインは正義なんだなと改めて思いました。参加してよかった。スペシャルゲスト Tak. さんの一文に惹かれた僕は正しかった。
質問1. シェイクという言葉はどうやってひらめいた?
最後は質問タイムです。
これは僕が出した質問。
シェイクという単語はTak.さんの造語なのですが、僕的にはめちゃくちゃ素晴らしいネーミングだと思います。僕も造語は好きなので、ぜひどうやってひらめいたのかを訊きたかったのです。(ひらめきの過程を問うのは酷だと思います。すみません。。。)
Tak.さん曰く、「ある日突然、シェイクという言葉が当てはまった」んだそうです。
元々別の文脈でシェイクという言葉を使っており、またアウトライナーライフもしていたそうですが、ある日突然、アウトライナーでトップダウンとボトムアップを行き来している様について「これってシェイクじゃね?(シェイクという名前が最適じゃね?)」と、まるで歯車がカチリと噛み合ったような感覚があったそうです……いや、Tak.さんがそう仰ったわけではないですが、そういうことなのかなと僕は理解しました。
決して「トップダウンとボトムアップを行き来するこの操作に名前をつけよう → 行ったり来たりしている → まるでかき混ざっている様だ …… → かきまぜる……Shake……」みたいに、意図的に考えようとして考えたわけではない、ということでした。
……――やはりそういうものなのかもしれません。ネーミングって、意識的に考えるよりも、ふと噛み合うことが多い んですよね。僕も実体験としてそうです。
このブログのタイトル、「ストレスフリーのソロ充ライフ」だって、元々は「ストレスフリー」なんてありませんでしたが、ふと「僕の生き方ってストレスフリーの一言が当てはまるんじゃないか」と噛み合ったんですよね。
18:03 クロージング
佐々木さんが簡単にまとめて、本日は閉会です。
ありがとうございました。
おわりに
総評は大満足でした。機会があったらまたお邪魔させていただきます。
良かったこと
僕は元々ライフハックやタスク管理を嗜んでいるのですが、周囲には同志がおらず寂しい思いをしていました。
同志はいた。こうも簡単に出会えた。そして、僕以上に詳しい人達が、僕にもわかるように優しく、易しくマニアックなネタを披露してくれる。何と素晴らしいことか。
しかも今回の勉強会は、事前に佐々木さんが(申込み時に)質問を募集しており、当日ちゃんと汲み取っていました。また、勉強会中でも「質問ありませんか」「大丈夫ですか」と、しっかり問われていました。こんな凄い方々に質問できる機会が用意されている、というのも魅力的だと思います。もっと質問用意しとくんだった……。
そもそも、有料のセミナーということで「なんか胡散臭い」「しつこい営業とかあるんじゃないか」「カッチカチのビジネスマンばかりで堅苦しそう」といった懸念もありましたが、全然そんなことはなく、フランクでラフで過ごしやすい勉強会でした。少人数なところも良かったんだと思います。
悪かったこと
僕は気にしませんでしたが、話についていくためにはある程度の知識が必要だと思いました。
たとえば TaskChute を用いたタスク管理ですね。これを知っていれば、佐々木さんが上手くまとめた一言で「なるほど、そういうことか」とわかるのですが、知らなければちんぷんかんぷんだと思います。
関連記事
発表者の一人、やままさんのレポートです。